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個別指導塾が注目されている理由
少子化によって子どもの数は減少傾向にある一方、1人の子どもにかける教育費は年々増加しています。これは、一人っ子の増加による経済的な余裕に加え、学校の授業だけでは補いきれない学習ニーズや受験事情の変化など、複合的な要因が影響していると考えられます。
こうした背景から、個々の学力や目標に合わせて柔軟に指導が行える「個別指導塾」は、より手厚いサポートを求める保護者や生徒に注目されています。学校教育にプラスアルファの学習環境を提供することで、受験対策や苦手科目の克服など、多様なニーズに応えられる点が大きな魅力です。
参考:止まらない少子化、学習塾への影響は?(経済産業省HP)
特定サービス産業動態統計から、学習塾の売上高指数と受講生一人あたりの売上高指数をみると、売上高指数はパンデミックがあった2020年を除いて増加傾向にあり、一人あたりの売上高指数も2016年以降着実に上昇しています。
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質の高い授業を求める声が強まっている
学校教育だけでは対応しきれない個々の学力差や学習ニーズに応えるため、質の高い授業を求める声が高まっています。個別指導塾は生徒一人ひとりに合わせたオーダーメイド型の指導を提供できるため、柔軟性が支持されています。
また、一人あたりの売上高増加の背景には、首都圏での中学受験ブームや、受講料単価の高い中学受験塾の人気が影響しています。さらに、個別指導と集団指導の併用といった多様な学習ニーズへの対応が、売上の押し上げ要因として考えられます。
以上のことから少子化の時代ではありますが、学習塾業界はまだまだ成長の見込みがある業界と言えるでしょう。
個別指導塾開業のメリット
個別指導塾は、一人ひとりの生徒に合わせた学習計画や指導が可能な点が大きな魅力です。大手塾では対応しきれない個別のニーズに応えることでより高い満足度を得られます。また、マンツーマン指導による成果が認知されることで、口コミや紹介による集客効果も期待できます。この柔軟性が、保護者や生徒から高い支持を受ける理由の一つです。
①小規模な塾なら、低コストで開業が可能
個別指導塾は、広いスペースや多くの設備を必要としないため、小規模から始められます。そのため、初期費用を抑えることができ、資金面での負担を軽減できます。
②柔軟な運営が可能で大手と差別化できる
大手塾が画一的なカリキュラムを提供する一方で個別指導塾では柔軟な運営が可能です。生徒のニーズに合わせた指導内容を提供できるため、独自の強みを活かした差別化が図れます。
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あなたはどれを選ぶ?開業スタイルのメリット・デメリット
個別指導塾の開業スタイルには、自宅、テナント、フランチャイズ、オンラインなど多様な選択肢があります。
自宅の一角を使用する
自宅の一角を使用して個別指導塾を開業することは、初期費用を抑えたい方にとって非常に有効な方法です。設備や内装に大規模な投資をしなくても、机や椅子、最低限の教材があれば始められるため、スモールスタートが可能です。一方で、自宅を使用する場合は、近隣住民への配慮や防音対策が必要になる場合があり、子どもたちが安心して通える環境を整備し、信頼を得ることが重要です。
また、注意点としてご自宅が賃貸の場合、賃貸借契約上は禁止されている場合があります。賃貸でなく分譲マンションを購入した場合であっても、店舗の営業など営利を目的とする利用は、マンション管理組合が規定する管理規約等で制限されている場合があります。
開業前に契約書を確認するか、大家さんや管理組合に確認をとる必要があります。
テナントを借りる
テナントを借りて開業する場合、広いスペースや立地条件を活かして、より多くの生徒を受け入れることが可能になります。
また、塾専用の空間を用意することで、プロフェッショナルなイメージを与えやすくなり、生徒や保護者からの信頼を得やすくなります。ただし、テナントを借りる場合は、家賃や光熱費、内装費用などの固定費がかかるため、資金計画をしっかり立て、資金が足りない場合は日本政策金融公庫の「新規開業資金」を利用して資金を調達することを検討しましょう。
フランチャイズに加盟して開業する
個別指導塾を開業する際、フランチャイズに加盟するという方法もあります。フランチャイズに加盟することで、開業時のノウハウや運営サポートを受けられるだけでなく、知名度の高いブランド力を活用することができます。集客や教材の準備、指導マニュアルなどが整備されているため、初めての開業でも安心です。また、運営後も定期的な研修やコンサルティングがあるため、経営の改善や拡大を目指す際の心強いパートナーとなります。一方で、加盟金やロイヤリティといった初期費用や継続的なコストが発生するため、事前に資金計画を立てることが重要です。
・ 個別指導スクールIE
・ 個別指導Axis
・ 完全個別指導塾「松陰塾」
家庭教師から始めてみる手も
自宅での開業やテナントを借りることが難しい場合、家庭教師から始めてみるのはいかがでしょうか?家庭教師であれば設備や広いスペースを必要とせず、最小限のコストで始められます。また、実績や口コミを積み上げることで信頼を獲得し、後に塾として拡大する際の基盤作りにもつながります。
個別指導塾の開業にあたって受けられる融資制度や補助金は?
資金調達は、事業を成功させるために欠かせません。主な方法として、日本政策金融公庫の融資や政府の補助金・助成金などがあります。それぞれの特徴や申請のポイントを押さえ、自社に合った資金調達手段を選びましょう。
個別指導塾の開業に向いている融資制度は?
個別指導塾を開業する際に検討したい資金調達方法として、日本政策金融公庫の「新規開業資金」が挙げられます。自己資金が少ない場合でも比較的申請しやすく、無担保・無保証で借りられるケースもあるため、初期費用を抑えたい方には有効な選択肢といえるでしょう。融資を受けるには、具体的な事業計画書を作成し、収支計画やターゲット層を明確にしておくことが求められます。個別指導塾の場合は、学年や教える教科など、どのようなニーズを持つ人たちを対象にサービスを展開するかをしっかりと示すことが重要です。
また、通常よりも有利な条件の「女性、若者/シニア起業家資金」などの融資制度もあるため、該当する方はぜひチェックしてみてください。これらの制度をうまく活用することで、塾の開業費用を大幅に抑えることが可能になります。
個別指導塾の開業で受け取れる助成金や補助金は?
個別指導塾を開業する際には、東京都の「創業助成金」をはじめとした各種補助金・助成金を検討することができます。これらの制度では、人件費や賃料、塾の内装費用などが助成対象になる場合があり、初期投資の負担を軽減できる可能性があります。
また、自治体ごとに独自の補助金制度を用意していることも多いため、「開業する地域+補助金+創業(開業・起業)」や「開業予定の事業内容+補助金」などのキーワードで検索してみるのがおすすめです。複数の制度を比較・検討し、個別指導塾の開業計画に合った補助金をうまく活用しましょう。
対象者 | 都内で創業を予定されている方または創業後5年未満の中小企業者等のうち、一定の要件(※)を満たす方 ※「TOKYO創業ステーションの事業計画書策定支援修了者」「東京都制度融資(創業)利用者」「都内の公的創業支援施設入居者」等 |
助成金限度額 | 上限額400万円/下限額100万円 |
助成対象経費 | 賃借料、広告費、器具備品購入費、産業財産権出願・導入費、専門家指導費、従業員人件費、委託費(市場調査・分析費) |
個別指導塾開業の流れ
個別指導塾の開業には、事前準備が欠かせません。市場調査や立地選定、資金調達などを計画的に進めることが重要です。開業後の集客や運営も視野に入れ、成功する塾経営を目指しましょう。
①事業計画を立てる
市場調査を行い、ターゲット層や授業料の設定、収支計画を具体化します。
- 生徒の指導方針
- 一度に集める生徒の人数
- 対象学年
などを具体的に決めていきます。
特に「生徒の人数」と「指導方針」について個別指導塾の場合、集団学習塾に比べた時の競合優位性につながるため、念入りに調査し事業計画に落とし込む必要があります。
②開業場所を決め必要に応じて改装工事をする
通いやすさや需要を考慮し、適切な場所を選びます。賃料の安さも考慮しつつ、生徒や生徒の保護者にとって通いやすい場所を選ぶ必要があります。例えば、駅前の繁華街に近い場所は一見通いやすい場所に見えますが、学生にとっては誘惑が多く、保護者からはマイナスに思われてしまうことがあります。
また、生徒の通塾に保護者が車で送り迎えをする場合も考えられるため、近隣で駐車場が近い場所や車が止めやすい場所にするなど、場所選びには想像力を働かせて決める必要があります。
③収支計画を立てる
初期費用や運営費用、生徒数に基づいて収支シミュレーションを行います。最初に必要な費用としては以下に一覧化しました。
必要なもの(初期費用) | 運営費 |
教室スペース(物件取得費、内装費) 備品(机、椅子、ホワイトボードなど) 教材費 宣伝費(チラシ、ウェブサイト制作、広告費) 登記費用や許認可申請費用 |
家賃 講師の人件費 水道光熱費 通信費(インターネット、電話) 教材費の更新・補充 広告宣伝費(継続的な集客活動) |
予算:50万円~ | 予算:60万円~* |
*日本政策金融公庫が出している経営指標から算出
これらを考慮して収支計画を立てることで安定した運営を目指しましょう。初期費用や運営費用、生徒数に基づいて収支シミュレーションを行います。
④生徒を募集する
開業の準備が整ったら生徒を集めましょう。生徒を集める具体的な方法は、以下のものがあげられます。
オフライン施策 | オンライン施策 |
ポスティングやチラシなどを配布 学校や駅でチラシの配布 地域イベントや説明会への参加 体験授業の無料開催 地元の商店や施設での提携広告 |
SNSでの発信 webサイトを作成し、SEO対策をする メールマーケティング 学習塾に関連したポータルサイト*への掲載 |
*ポータルサイトとは
ポータルサイトとは、飲食店でいう食べログや美容室でいうホットペッパービューティーのようなもので、塾を探す保護者や生徒に向けた情報発信の場として活用されます。掲載することで認知度を向上させ、興味を持った保護者や生徒を効率的に集客することができます。特に、口コミや評価を通じて信頼感を高めることができるため、他の集客方法と併用することでさらなる効果が期待されます。掲載料金はポータルサイトによって多種多様なため経済状況にあったポータルサイトを選ぶ必要があります。
成功するためのポイント
個別指導塾で成功するには、地域との連携や費用の最適化、生徒が集まりやすい立地選び、効果的な集客施策が重要です。これらをバランス良く実践し、地域に根ざした運営体制を整えることで、安定した成長を目指しましょう。
地域コミュニティと連携する
地域の学校やイベントと連携することで、塾の認知度を高めることができます。学校のPTAや地元の商店会などと協力し、学習支援イベントや体験授業を開催するのも効果的です。また、地域の情報誌や掲示板に広告を掲載することで、地元住民との接点を増やし、信頼感を構築することが可能です。こうした取り組みは、口コミによる集客効果を高めるだけでなく、地域に根ざした塾として長期的な運営の基盤を築く助けになります。
開業初期は固定費や変動費をできるだけ低く抑える
開業初期は資金繰りを安定させるため、固定費や変動費を抑える必要があります。テナントを借りる場合は家賃の安い物件を選ぶか、初期費用を抑えられる自宅開業を検討しましょう。また、教材や設備も必要最低限のものでスタートし、生徒が増えるにつれて徐々に拡充していく方法がおすすめです。経費を抑えながら運営を軌道に乗せることで、安定した経営が実現できます。
生徒が集まりやすい場所を選ぶ
塾を開業する場所は、生徒の集まりやすさを考慮して選ぶことが成功のカギです。例えば、生徒数が多い学校の近くや大学への進学実績が高い公立の高等学校の近くは、集客の効率が良くなります。また、駅やバス停に近い立地であれば、通いやすさをアピールできるため保護者にも安心感を与えられます。アクセスの良い場所に開業することで、多くの生徒を効率的に集めることが可能です。
集客の仕組みを構築する
塾の成功には、継続的な集客が欠かせません。口コミを促進するために、紹介制度や体験授業を積極的に活用するのも効果的です。さらに、地域広告やチラシの配布も地元住民に塾を認知してもらう良い方法です。多角的な集客施策を取り入れることで、安定した生徒数を確保できる仕組みを作り上げましょう。
監修者プロフィール:須田 幸宏(すだ ゆきひろ)
東北の起業家のみなさまをサポートします! 三楽る(みらくる)オフィス
東北を拠点に資金調達の支援で活躍する須田アドバイザー。元日本政策金融公庫融資課長で、日本公庫に33年勤務し、融資を通して、延べ2万以上の事業者、5,000以上の起業家をサポートされてきました。非常に親切・温厚なお人柄で、事業だけでなくライフプランニング(生活・家計の設計・見直し)もサポートされていますので経営者の強い味方となるでしょう。
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