提案に対して顧客から同意を得られれば、顧客に契約を働きかけて成約に結びつける。営業フローや商談の中で最後の仕上げともいえるこの段階を、クロージングと呼ぶ。
クロージングは、営業マンが顧客に対して最後の決断を促すことである。とはいえクロージングに至るまでには、それまでの適切な段階を経ていることが条件だ。クロージングの段階まで来ると熱意で突っ走ってしまうことがあるが、そこは冷静さを保ちたい。また、顧客に決断を迫る上では、それまでの過程で決断を促すための演出も必要になる。
その視点から、クロージング前に確認しておきたい事項を覚えておこう。
■顧客の要望の確認
クロージングの段階で、問題を提示されたり、断る理由を未然に防止するために、顧客の要望を再確認しておくことが大切である。提案からクロージングまでに変さらになったことや、検討し直したこと、競合の提案内容などを確認して、きちんとケアしておく必要がある。
■優先順位の確認
顧客の優先順位をしっかり見極めて再度確認しておくことである。機能もコストもデザインもすべて満足にすると、当然のことながら見積り金額は上がってしまう。あらかじめ削れる部分がどこであるかを確認しておく必要がある。
■決裁者の確認
交渉相手が決裁者であるかを確認しておくことは重要である。交渉してきた相手が決裁者でなければ、役員や部長に会っておく必要があったということになる。「上に話しはしている」と言われても鵜呑みにせず、クロージングまでに決済者と会って話しをしておくことは、成約につながりやすくなるので、なんとか決済者と会う機会を作るべきだ。
これらの確認と同時に、相手の状況を把握することが重要だ。
クロージングは、相手がまだ契約を結ぶ条件が整っていないうちに迫っても成約に繋がらない。相手の状況が見えていないとタイミングを間違えてしまい、最悪の場合には失注になる可能性もあるのだ。
各確認事項については、クロージング前の各段階で確認するチャンスがある。企業では最終的に会議によって決裁可否が決まるわけなので、場合によってはこちらからその場に必要な資料を用意するという方法も考えられるだろう。商談相手が決裁を得やすい状況をサポートするのも、クロージング環境を整えるという意味で、とても重要なことなのだ。
尚、クロージングでは小手先だけの心理誘導テクニックはやめよう。相手が「これはクロージングのテクニックだな」と気付いた時点で、嫌悪感を抱かれてしまうためだ。
相手が、商談のステージで充分な「興味」を頂き、売り手の事を「信用」してくれていれば、「どうか、ご結論ください」とか「お付き合いしたいのでご購入ください」とストレートにクロージングをするだけで十分である。
決して「説得」で売ってはならない。会社の売上を最大化し、持続的成長を促すためには「納得」で売ることが必要なのだ。