ハード・トゥ・ゲット・テクニックとは、「私にとって、あなたは特別な存在だ」とか「あたなにだけは使ってほしい」と、相手の自己重要感を刺激し、好意や信頼を獲得する説得方法をいう。これは、「対人迎合法=イングラチェーション」にあたるものだ。
人は、「あなただけは特別」という特別扱いに弱い。なぜなら、人には特別扱いされたいという心理があるからである。特別扱いされると相手と特別な関係があるように錯覚して、相手に好意や信頼を寄せてしまう。
人間の基本的欲望である5つの欲望の1つに、「承認欲」がある。これは、人が自分を認めてほしいという願望を持っていることを表しているのだ。
アメリカの心理学者であるシェーラーは、褒められることから喜びの感情が起こり、そこから好意的行動を誘発すると述べている。このような人間の心理を応用したものが、ハード・トゥ・ゲット・テクニックなのである。
ハード・トゥ・ゲット・テクニックの活用事例としては、「手に入れにくいものを、あなただけに提供します」という提案法などが挙げられる。
希少性を訴えることで、買いたい気持ちを起こさせるテクニックである。この心理を利用したものには、タイムセールや限定サービス、レディースデイなどが挙げられる。またプレミア品や限定品なども、このテクニックを利用したものといえるだろう。
また、新規顧客のみならず「既存顧客」を「特別会員制度」などにステージアップさせる仕組みを設け、自社へのロイヤリティーを向上させる策としても使われている。
「特別会員」の組織そのものが魅力的であれば、その存在自体が「新規顧客獲得」への魅力条件ともなりうる。