技術的、あるいは営業的な機密情報を取引開始に際して相手方に開示する場合に締結される契約書です。NDAと略称されることが多いです。これもかなり広い業界において利用されるパターンの契約書です。開示する側からすると、機密情報を開示する以上当然締結しておかなければならない契約書ですが、秘密の開示を受ける側からすれば、広範かつ漠然とした秘密保持の義務を負わされることを避けるべきです。そのため、この契約書の締結交渉にあたっては、対象となる「秘密」の定義や範囲を巡っての交渉が行われることになります。
■秘密保持義務を課すだけでは不足
一般的に秘密保持契約書には秘密保持義務についての条項が記載されています。確かに、秘密保持義務についての条項は非常に重要ですから、当然ですが記載されるべきものです。
しかし、秘密保持契約書は、秘密保持義務の条項さえ記載されていれば良いわけではありません。特に、企業間の秘密保持契約書には、秘密保持義務以外にも多くの重要な条項を記載しておくべきです。
具体的には、次のような条項です。
・秘密情報の定義(秘密情報の例外も含む)
・利用者の定義(第三者の定義や第三者の例外)
・利用目的の制限
・法令にもとづく開示の免責
・情報漏洩の場合の対応(差止請求・特定履行)