手当に関しては近年、減少傾向にあります。古くからある会社や大企業はさまざまな手当が用意されていたりしますが、不況のあおりや計算・集計に手間がかかるということで減っています。
まず、基本給があります。基本給は原則として、所定労働時間で除した場合に各都道府県の最低賃金以下にならないように注意しなければなりません。そのため、完全歩合制度は導入できません(完全歩合に関しては業務委託にて説明)。基本給があった上で手当を支給することになります。もちろん、基本給のみでも可能です。
最近人気があるのは、各従業員に対するインセンティブにかかるものや、近距離手当です。近距離手当は、会社の近くに住む従業員に対して手当を支給し、逆に遠い従業員に住宅手当を支給しないという制度です。ただし、通勤の負担が減るとは言え、仕事とプライベートを分けたい従業員や深夜残業の可能性をほのめかすような手当にも見えるので、説明が必要です。
また、労使トラブルという観点からすると、昨今、未払い賃金の問題があります。これを職務手当や固定残業手当として、あらかじめ支給する企業が増えています。これらはあらかじめ「20時間分の時間外手当を職務手当に含む」等と雇用契約書や就業規則にて明確にすることで、効力を発揮します。注意点として
・長くても60時間程度の時間外手当まで
・実際に割増賃金として支払った場合以上の金額であること
・設定した時間を超えた場合は、超えた部分を支払う
・基本給を所定労働時間で除した場合に最低賃金法違反にならないようにする
ことが必要です。
特に、基本給15万円、固定残業手当40万円(ただし、100時間分の割増賃金を含む)なんて金額を設定すると、逆に会社が100時間の残業を毎月強いているという見方をされるので、安全配慮義務の観点からも問題があるでしょう。