【専門家監修】ベンチャーキャピタルとは?初心者でもわかりやすく解説

この記事は2020/03/13に専門家 上野 光夫 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

ベンチャーキャピタルとは、かんたんに言うと「スタートアップ企業などの小規模な事業者に対して出資する機関」のことだ。VC(ヴイシー)と略されることもある。

上場まえに出資し、増資した資金をもとに事業を成長させて上場後にその株式または事業を売却することで利益を得ることを目的としている。

では、ベンチャーキャピタルについてもう少しくわしく説明しよう。

詳しいベンチャーキャピタルの仕組み

まずベンチャーキャピタルの仕組みだが、有限責任組合の場合を例にとると、一般的には以下のような構成になっている。

ベンチャーキャピタルの仕組み(有限責任組合の場合)

一般的にベンチャーキャピタル会社が1つ~複数のファンドを立ち上げて、その業務執行者(GP)となり、出資者(LP)から資金を集めてファンドの運用を行う。そしてファンドの資金をベンチャー企業に投資するという仕組み。日本の場合は、出資者の多くは金融機関や事業法人といった法人が中心となっている。

この仕組みを理解しておくと、ファンドの規模や目的、ベンチャーキャピタル会社や出資者の内容によって、どのような投資を行うのかが見えてくる。

仕組みの中で中心的な役割を担い、投資判断を行うのがベンチャーキャピタル会社(単にベンチャーキャピタルと言う。略してVC)だが、一口にVCといっても、いろいろな性格をもったVCがある。ここでは大まかであるが、簡単にカテゴリー分けをして解説しよう。

ベンチャーキャピタル(VC)の種類

ベンチャーキャピタルには大きく6つの種類があるので紹介していこう。

金融機関系VC

銀行や証券会社の系列にあるベンチャーキャピタルで、上場している会社もある。例えば、野村証券系のジャフコは日本の代表的なVCで1,500億円以上のファンドを運用している。

親会社のサービスの一環として手がけている会社も多く、役職員も親会社からの出向者等で占めることが多い。自らが進んで投資を行うというよりも、他のVCが投資をすることが確実となった場合に検討を行うといった比較的安定志向のVCともいえる。そのため、投資後に経営コンサルティング的な動き(ハンズオンという。)をすることは少ない。

事業会社系VC(CVC)

いわゆるCVC(Corporate Venture Capital)とよばれるもので、成功したベンチャー企業や一般事業会社の子会社としてのVCである。親会社の特徴などで1社1社タイプが異なるため、これといった共通の特色といったものはない。親会社と相互送客するといった事業シナジーを求めて投資するケースが多くみられる。投資後に企業価値向上のための成長支援を行うことも多い。

独立型VC

アメリカのシリコンバレーなどでよくみられるVCで、ファンドの運営責任者個人の嗜好や能力を前面に投資を行うVCである。企業のステージが非常に早い段階から投資を行い、ハンズオンに熱心なVCが多い。近年では独立型VCも大規模化の傾向があり、有名なベンチャーキャピタリストも多数登場している。

政府系VC

中小企業向け、革新的な技術を持った企業向けなど公的資金をもとに投資を行っているVCであり、幅広く投資していることが特徴である。他のVCと比べて、成長支援などのサポート力は小さいが特定の企業色が付かずに資金調達することができる。農林漁業向けのファンドなど業種を絞ったファンドも数多く存在している。

大学系VC

大学発のベンチャー向けに投資することを目的としたVCである。大学のゼミや研究所により設立されたベンチャーであるため、シード期の投資が多くなることが特徴的である。学生起業家であれば、自分の大学のVCがあるかどうかを確認してみよう。東京大学、京都大学、慶應大学、東北大学、東京理科大学など数々の大学VCが存在している。

地域系VC

都道府県、市町村と限定した地域にある企業だけに投資することを目的としたVCである。地域活性化に利用されることもあり、IT企業に限らず様々な業種へ投資を行っている。少子高齢化で地方経済は年々悪化している状況ではあるが、近年、地方創生ファンドという地方創生を目的としたファンドも組成されている。


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VCで資金調達するメリット・デメリット

VCから資金調達するメリットは大きいが当然にデメリットもある。経営者として何を優先させるべきかを事前にきちんと検討したうえで、VCから資金調達するようにしよう。

VCで資金調達するメリット

一番のメリットは返済不要な資金であることだ。仮に借入金により資金調達した場合は、将来的に必ず返済をしなければならない。経営者自身が連帯保証をしていれば、返済金のため自身の生活に影響を及ぼす可能性もある。また、有名VCから調達できればネームバリューを得ることができ、今後の資金調達や採用にも好影響がある。当然、VCから経営上のアドバイスや成長支援を受けられる点も見逃せないポイントである。

VCで資金調達するデメリット

起業家にとって株式は血液であるとも言われている。VCから調達するということはその血液を分け与えることであり、経営者の持株比率が希薄化する点が大きなデメリットである。一度希薄化した持株比率を戻すことは困難であり、株主総会の特別決議を通せる2/3超、普通決議を通せる1/2超の議決権は維持するように意識しておこう。

この記事の監修者
上野 光夫(うえの みつお)
(株)エムエムコンサルティング
資金調達コーディネーターⓇ/中小企業診断士
元日本政策金融公庫の融資課長として5000名以上の起業家を支援した上野アドバイザー。現在は、資金調達の専門家として活躍されております。融資を検討されている方はぜひご相談ください。
著書「事業計画書は1枚にまとめなさい」「起業は1冊のノートから始めなさい」など。
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