起業、異業種進出で利用できる主な助成金を紹介します。創業時から利用できる助成金は大きく分けて3つに分けられます。
A)創業関連の助成金
B)雇用促進の助成金
C)職場環境の整備の助成金
それぞれ代表的なものをあげて解説します。
A)創業関連の助成金
■中小企業基盤人材確保助成金
起業、新規創業、あるいは異業種進出の時に利用できます。
・要件
創業等に伴い、250万円以上の経費支出+助成金の対象となる人材(基盤人材)に対し、年間350万円以上の給与を支払うこと(残業手当、賞与等は含みません)
・支給額
基盤人材1人に対し、140万円。最大5人、700万円までもらえます。
・助成対象経費
林業、運輸、情報通信、介護事業等、対象業種が限定されています。事前に県に改善計画を提出する必要があります。
・問合せ先
都道府県労働局 http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/dl/230906_sinsei.pdf
最寄りのハローワーク http://www.mhlw.go.jp/kyujin/hwmap.html
■受給資格者創業支援助成金(この助成金は、平成25年3月末で廃止予定)
退職後ハローワークにて職探しを行い、失業手当(基本手当)をもらえる権利のある人=受給資格者が利用できる助成金です。
・要件
(1)雇用保険に加入している期間が5年以上ある
(2)失業手当の受給日数が残っている間に自ら創業し、1年以内に雇用保険の加入者となるべく人を雇った
・支給額
1人雇えば助成対象経費の3分の1、最大150万円。
2人以上雇えば50万円増額になり、最大200万円の助成金を受けることができます。
・助成対象経費
家賃、備品、内外装工事、求人広告、就業規則等。
・問合せ先
都道府県労働局 http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/dl/230906_sinsei.pdf
最寄りのハローワーク http://www.mhlw.go.jp/kyujin/hwmap.html
B)雇用促進の助成金
■派遣労働者雇用安定化特別奨励金
派遣期間が満了するまでに派遣労働者を直接雇用する事業主の方で、次のいずれにも該当する場合は、奨励金の支給対象となります。
・要件
① 6か月を超える期間継続して労働者派遣を受け入れていた業務に、派遣労働者を無期または6か月以上の有期(更新有の場合に限ります。)で直接雇い入れる場合。
② 労働者派遣の期間が終了する前に派遣労働者を直接雇い入れる場合。
・支給額
派遣労働者1人当たり、最大100万円(期間の定めのない労働契約の場合)
詳細は下図を参照。
・問合せ先
都道府県労働局(職業安定部) http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/f01.html
最寄りのハローワーク http://www.mhlw.go.jp/kyujin/hwmap.html
■試行雇用(トライアル雇用)奨励金
業務遂行に当たっての適性や能力などを見極め、その後の常用雇用への移行や雇用のきっかけとするため、経験不足等により就職が困難な求職者を試行的に短期間雇用(原則3か月)する場合に奨励金が支給されます。
・要件
以下に該当する者のうち、試行雇用を経ることが適当であると公共職業安定所長が認める者を、公共職業安定所の紹介により試行的に短期間(原則3か月)雇用すること
1 45歳以上の中高年齢者(原則として雇用保険受給資格者に限る)
2 40歳未満の若年者
3 母子家庭の母等
4 障害者
5 日雇労働者・ホームレス
・支給額
対象労働者1人につき、月額40,000円(最高3ヶ月)
・問合せ先
都道府県労働局(職業安定部) http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/f01.html
最寄りのハローワーク http://www.mhlw.go.jp/kyujin/hwmap.html
C)職場環境の整備の助成金
■特定就職困難者雇用開発助成金
原則としてハローワークからの求人紹介により、雇用した、高齢者(60歳以上65歳未満)、母子家庭の母等、障害者を採用するともらえる助成金です。
・要件
高年齢者(60歳以上~65歳未満)、障害者等の就職困難者をハローワーク若しくは地方運輸局又は適正な運用を期すことのできる有料・無料職業紹介事業者若しくは無料船員職業紹介事業者の紹介により、新たに継続して雇用する労働者として雇い入れること。
・支給額
もらえる助成金は、採用した人が短時間(週20時間以上30時間未満)か、一般(週30時間以上)かにより、助成金の金額が異なります。中小企業か、大企業かによっても金額は異なります。
・短時間労働者(週20時間以上60時間未満) 最大90万円
・一般労働者(週30時間以上) 最大240万円
対象労働者 (一般被保険者) |
支給額 | 助成対象期間 | |||
---|---|---|---|---|---|
大企業 | 中小企業 | 大企業 | 中小企業 | ||
短時間労働者以外 | 高年齢者(60歳以上65歳未満)、母子家庭の母等 | 50万円 | 90万円 | 1年 | 1年 |
重度障害者等を除く身体・知的障害者 | 50万円 | 135万円 | 1年 | 1年6か月 | |
重度障害者等※1 | 100万円 | 240万円 | 1年6か月 | 2年 | |
短時間労働者※2 | 高年齢者(60歳以上65歳未満)、母子家庭の母等 | 30万円 | 60万円 | 1年 | 1年 |
身体・知的・精神障害者 | 30万円 | 90万円 | 1年 | 1年6か月 |
・問合せ先
都道府県労働局(職業安定部) http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/f01.html
最寄りのハローワーク http://www.mhlw.go.jp/kyujin/hwmap.html
■高年齢者雇用開発特別奨励金(特定求職者雇用開発助成金)
65歳以上の離職者をハローワーク等の紹介により所定労働時間が週20時間以上の1年以上雇用する労働者として雇い入れた場合、賃金相当額の一部を助成するものです。
・要件
雇入れ日の満年齢が65歳以上の離職者をハローワーク若しくは地方運輸局又は適正な運用を期すことのできる有料・無料職業紹介事業者若しくは無料船員職業紹介事業者の紹介により新たに一週間の所定労働時間が20時間以上かつ1年以上継続して雇用する労働者として雇い入れること(派遣雇用や有期契約雇用の場 合も契約の実態から判断して1年以上の雇用継続が確実に見込まれると認められる場合は対象となります。)
・支給額
対象者1人につき、90万円 (短時間労働者(※)は60万円)もらえます。
対象労働者
|
支給額 | 助成対象期間 | |
---|---|---|---|
大企業 | 中小企業 | ||
週当たりの所定労働時間が
30時間以上の者 |
50万円 | 90万円 | 1年 |
週当たりの所定労働時間が
20時間以上30時間未満の者 |
30万円 | 60万円 | 1年 |
・問合せ先
都道府県労働局(職業安定部) http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/f01.html
最寄りのハローワーク http://www.mhlw.go.jp/kyujin/hwmap.html
■職場意識改善助成金(労働局)
中小企業における労働時間等の設定の改善を通じた職場意識の改善を促進するため、職場意識改善に係る2カ年の計画を作成し、この計画に基づく措置を効果的に実施した中小企業の事業主に対して、助成金を支給する制度です。
・要件
中小企業であって、労働時間等の設定改善をするために必要な事項を盛り込んだ計画(職場意識改善計画:2年間)を策定し、同計画に基づき一定の成果をあげているものです。
改善助成金は、次の1から6までのいずれにも該当する事業主に対して支給します。
1 労働者災害補償保険の適用事業主であること。
2 資本金又は出資の総額が3億円(小売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については5,000万円、卸売業を主たる事業とする事業主については1億円)以下である事業主およびその常時使用する労働者の数が300人(小売業を主たる事業とする事業主については50人、卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については100人)以下である事業主であること。
3 業種が次の(1)又は(2)の区分による事業主であること。
(1)建設業、情報通信業又は運輸業に属する事業主
(2)(1)以外の業種に属する事業主にあっては、事業開始前1年における労働者の年次有給休暇の取得率が50%未満又は1か月平均所定外労働時間数が10時間以上であるもの
4 事業場の所在地を管轄する都道府県労働局長(以下「都道府県労働局長」という。)に職場意識改善計画認定申請書および労働時間等の設定の改善に向けた職場意識改善に係る計画(以下「職場意識改善計画等」という。)を届け出、次の(1)および(2)の認定を受けた事業主であること。
(1) 職場意識改善計画等を策定すること
(2) 2年間にわたり、所定外労働の削減や年次有給休暇の取得促進など労働時間等の設定の改善に向けた職場における意識の改善に積極的に取り組む意欲があり、かつ成果が期待できること。
5 職場意識改善計画に基づき、労働時間等設定改善委員会の設置等労働時間等の設定の改善を促進するために必要な体制の整備など、職場意識改善に係る措置を行い、効果的に実施した事業主であること。
6 4および5に基づく措置の実施の状況を明らかにする書類を整備している事業主であること。
・支給額 1年度目 最大100万円。2年度目 最大100万円。
※期間「職場意識改善計画」の実施期間は、都道府県労働局長による認定日が属する年度を含めて、2年間となります。
・問合せ先
最寄りの都道府県労働局労働基準部監督課(東京労働局、大阪労働局、愛知労働局については労働時間課)へお問い合わせください。