昨今では、福祉関連や教育関連の事業を創業しようと計画している人が増えてきた。こうした方の中にはボランティア活動として事業を進め、その組織化を図ろうとする例もある。その組織化として、NPO法人の設立が見られるのだ。
NPOとは、Nonprofit Organizationの略である。「非営利組織」の名のとおり、株式会社の営利組織との大きな違いは、収入から費用を引いて出た利益を関係者に配分することができない点である。この利益は、事業に還元することになるのだ。事業の内容が同じでも、営利組織とは違った性格の組織体にということになる。
NPOの主な要件としては、以下のようなものが挙げられる。
・NPO法人の設立には、10人以上の構成員が集まらなければならない。加えて、役員が4人以上(理事3人以上、幹事1人以上)必要になる。尚、役員には配偶者や3親等以内の役員が、役員総数の3分の1を超えてはならない等の規定もある。
・活動の内容が、特定の分野に限定されている。(20の活動分野)
・サービスの対象者が、不特定多数でなければならない。
・情報公開制度が適用され、設立省類等の縦覧により一般の人に公開される。
このように、会社法の法人とは違う点がいくつか挙げられるのだ。
また公証人の定款認証は不要だが、内閣総理大臣または都道府県知事の設立認証が必要になる。この申請から認証までには、約4カ月程度の期間かかることとなるだろう。そしてその後、2週間以内に登記をしなければならないのだ。そのため通常の株式会社よりも、設立手続きや運営は大変といえる。