損益計算書は、一会計期間の収益と費用の状態を表す。営業や投資でどのように利益が生み出されたのかを、収益項目や費用項目を区分して分かりやすく表示しているのだ。単純に儲けがいくらというだけではなく、その発生原因が分かるように項目を分けて表示しているため、経営上も有用な情報を読み取れるだろう。
損益計算書に表示されている利益には、以下のように5つの段階がある。
■売上総利益(粗利)
売上から商品や製品等の原価を引いたもの。
■営業利益
給料や交通費、広告宣伝費など、販売費および一般管理費を引いた営業活動の成果。
■経常利益
預金についた利息や本業以外の利益を加え、借入金の利息などを差し引いた企業の経常的活動の結果。
■税引前当期純利益
通常の年度には発生しない、臨時的な利益や損失(災害など通常は発生しない特別な損失や、大きな資産の売却などから得る特別利益 など)を加減した利益。
■当期純利益
法人税・法人住民税・法人事業税などの税金を差し引いた、企業の最終的な利益。
では経営者として、どの利益区分に注目すべきなのか。
銀行からの借り入れを考えた場合、きちんと経常利益を確保できない会社に対しては「お金を貸しにくい」と判断される。銀行は預金者から預かったお金を元本保証をして企業などに貸し出しているので、返済されないリスクの高い企業に融資することは困難なのだ。そのため、どの区分で利益を計上するかということは重要なポイントとなる。
例えば災害や固定資産の買い換えなどで単年度の損失が膨らんだ場合は、きちんと特別損失に計上しておく。そうすれば「何も起きていなければきちんと利益を確保できたのだ」ということを、経常利益の数字を通してアピールすることも可能である。
また税金については、最終の当期純利益を減らす項目となる。できる限り節税をすることで、利益を増やすことも可能なのだ。そうなれば節税に関する知識を身につけるということも、経営者にとって重要な仕事といえるだろう。
・損益計算書のサンプル