進む高齢化などへの公共福祉サービス維持を賄うという方針のもと、近く段階的に10%まで引き上げられることになりそうな消費税。広く浅く公平に負担される消費税は、支払う者と納める者が異なる間接税の一つである。現行では消費税は5%と広く認識されているが、内1%は事業所の所在する都道府県に一旦納められる。その後、都道府県の間で清算が行われ、額の1/2はその都道府県の各市町村に分配されるのだ。国税である消費税とは区別し、この1%分を地方消費税と称ぶ。
国内では商品やサービスといった殆どの取引が課税対象となる「課税資産の譲渡等の額」だが、取引によっては不課税や非課税となるものも存在する。
例えば基準事業年度の課税売上高が1000万円以下の事業所は、事務作業軽減を考慮されて消費税の免税事業者となる。また、資本金1000万円未満の法人は設立後2期は免税事業者とされるが、1期目の期首から6ヵ月間の課税売上高が1千万円を超える場合、あるいは給与の額が1000万円を超える場合、課税事業所となるよう適用要件が見直されている。これを免れるために、あえて第1期をこの適用がない7ヶ月以内にする会社もある。
通常は消費税を上乗せされた商品を仕入れ、消費税を上乗せした商品を売ることとなる。この商品に対する課税方式が、2種類あることを覚えておきたい。それが会社が預かった消費税と支払った消費税の差額を納付するといった「原則課税」と、課税売上高の消費税にみなし仕入率を乗じたから消費税額を算出する「簡易課税」である。
基準期間の課税売上高が5000万円以下の事業所では、消費税簡易課税制度選択届出書を提出することで課税方式の選択が可能だ。みなし仕入率は事業所の業種により異なり、人件費など課税仕入とならない経費の比率が高い業種では、簡易課税を選択することで納税額が減少する場合がある。原則課税方式との比較をした上で、選択届出書提出の考慮が重要なのだ。課税仕入とならない経費には、以下のようなものが挙げられる。
・給料
・法定福利費
・保険料
・地代
・租税公課
・減価償却費 など
取引には不課税、非課税、課税、免税とあるが、課税売上高が5億円を超える会社においては、課税売上の割合95%ルールが適用対象外と改正されている。そのため会社の課税売上割合を計算し、この割合に見合う消費税額を計算しなくてはならなくなった。計算方法には「個別対応方式」と「一括比例配分方式」の2種類があるが、個別対応方式が有利とされている。
インターネットの普及なども手伝い、グローバル化に歯止めが効かない現在では、円高が叫ばれる中でも商品を輸出する企業が減らないであろう。輸出売上には消費税が課税されないため、国内で商品を仕入れて国外に売上げると、仕入にかかった消費税は申告によって還付されることになる。