事業所税とは、東京都や人口50万以上の政令指定都市、既成都市区域を保有する指定都市等、規定された大都市に事業所が所在する場合にかかる税金である。事業所税の目的は、環境整備などとされている。支払う義務のない地域でも、今後課税される可能性があるので注意しておこう。
ただし地方税法で定められた指定都市内でも、一定規模未満の事業所には支払義務が発生しない。その一定規模とは、以下の条件だ。
・床面積の総合計が。1000㎡を超えること
・従業員の人数が100人を超えること
事業所税には床面積の免税点を超えると課される資産割、そして従業員数の免税点を超えると課される従業者割の2つがあるのだ。
資産割は1㎡×600円で、従業者割は従業員の給与総計×0.25%である。その適応を受けるには決算日から2ヵ月以内に事業所が所在している県・都税事務所に申告・納付だが、申告期限の延長はない。
この資産割の免税点には、事業所が地代家賃を払って借りている事務所や工場等も含まれている。つまり、事業所資産として計上されている部分だけではないのだ。また居住用家屋を事業所と共有している場合には、事業所部分について課税される。
従業者割の従業員には、役員や臨時に雇い入れた従業員も含まれる。パートタイマーは従業者割の免税点判定時の人数には含めないが、給与分は従業者給与総額の内に含まれる。従業者給与総額とされない給与とは、退職金や恩給、所得税法上の限度額範囲内の通勤手当等である。現物給与とされてしまう部分については、従業者給与総額に含まれるので注意が必要だ。
この事業所税は、営業成績の良し悪しと無関係だ。法人税申告書の別表で算出される「所得」がマイナスであっても、事業所税はかかってくる。住民が集中する大都市から地方に土地移転をすると、優遇税制が受けられるといった地方進出の利点もあるので、事業所税と合わせ考慮したい。