税務調査

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

「税務調査」と聞くと、つい後ずさりしてしまう経営者は多い。重箱の隅をつつかれ、鋭く指摘されたりするのは恐怖だ。こうした経営者の心理は、多くの税理士や税務署も理解している。

悪質な脱税容疑のある会社には強制調査が行われるが、一般的なのは任意調査だ。任意調査は会社や2013年1月より納税者へ事前通知が徹底されるが、場合によって現金残高などを調べるために抜き打ち調査もある。事前通知は実施日の1~2週間程度前に電話等で知らされ、必要に応じて日程の調整が認められている。尚、調査にかかる日数は、中小規模会社で2~3日程度である。

調査内容は、まず社長に聴取が行われる。さらに帳簿等が調査され、それをもとに役員や経理担当、従業員などに対しても質問などが行われる。必要に応じて契約書に印紙が貼られているか、源泉所得税がきちんと徴収されているかなども調査される。

では、なぜ調査されてしまうのだろうか。
実は、税務調査は何かやましいことがあるから行われるものではない。一定割合は単に正しく申告しているかどうかの確認として行われることもあるのだ。しかし、税務調査にもコストがかかるわけなので、数年前に申告したその内容に間違いや怪しい点がある可能性を感じた場合には調査が行われやすい。調査の目の行き所は、売上や棚卸が正しく申告されているのか、あるいは経費の過剰計上がないかといった点だ。売上金の流れに異常がないかも調べられる。不正な資金移動が確認されると、鋭い眼差しに遭遇するだろう。一番いけないのは、個人的な支出が経費に含まれているといった事態だ。会社の会計にでは、絶対に公私混同してはいけない。
また領収書や請求書などの証票類がきちんと揃えられており、検証ができるのかも重要だ。几帳面に帳簿を作成し、領収書や請求書等と照合できるようなファイリングが大切になってくる。その他、議事録や契約書、棚卸し時の計算資料、給与台帳、扶養控除等申告書や源泉徴収簿、場合によっては稟議書や組織図、タイムカードなども調べられる。

また経費などの認識が会社側と税務署側とて一致しないといった問題は、税務調査でよく見かけられる。例えば建物を修理する場合、修繕を必要とする以前の状態より過度に手を加えていると、経費とは認められない部分が生じる。これを経費と思い込む会社側と、経費ではなく資産とする税務署側では認識が一致しないのだ。そのような際に、きちんと自らの言い分を証明できる証拠資料を準備しておく必要があるのだ。

調査の結果、すでに提出した申告内容に誤りがあれば修正申告をすることになる。ただし、修正申告をすると後から不服申し立ては出来ないので注意したい。つまり修正申告を行った段階で、誤りを自ら認めたこととなるわけだ。この修正申告を会社が提出しない場合には、税務署長が更生決定を行い通知書を発行してくる。これには理由も書かれているので、どうしても納得がいかなければ、一連の不服申し立てを行い、それでも埒が明かないな愛は訴訟となる。

調査に対しては、「隠す」「拒む」「逃げる」など不誠実な態度を取ってはいけない。調査官には法律上質問検査権という権限が与えられているのだ。あくまで、正しく誠実な会計処理および対応が重要である。何よりの対策は、しっかりと正しい申告を行うことだ。日頃から、税理士などの専門家としっかり相談・確認の上で対応すれば良い。脱税などの犯罪行為に手を染めて多額の追徴を受けたり信用を落とさずとも、合法的な範囲内できちんと節税をするだけで十分なのだ。

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