どこよりも詳しい「コロナ借換保証」後編~最大の難関:経営行動計画書の作成について

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 佐藤 達也 (さとう たつや) いかづち株式会社

新型コロナウイルス感染症の影響で売上高が減少した中小企業者が、民間金融機関から借入を行った「民間ゼロゼロ融資」の返済に困る事業者に向けた施策「コロナ借換保証」が始まりました。

前編では「コロナ借換保証」の創設の経緯および概要について説明しましたが、後編となる本編ではコロナ借換保証の最大の難所である経営行動計画書の作成について説明していきます。

借換保証を利用検討する事業主の方はぜひ参考にしてください。

経営行動計画書の作成について

図表8 経営行動計画書のサンプル ※クリックで拡大

経営行動計画書の作成について

「コロナ借換保証」の経営行動計画書(図表8)は、伴走支援型保証制度の経営行動計画書と同様の内容になっています。2023年1月10日の保証協会申込からは計画終了時点における将来目標と収支計画及び返済計画、資金の活用方法が追加され、より詳細な計画が求められています。

経営行動計画書は信用保証協会から入手してください。

融資の借換により返済期間、据置期間の変更が必要な状況ですから、経営行動計画書を作成して、融資を返済できるように収益力改善を行います。

金融機関の担当者は多くの顧客を担当していて多忙です。これから3月決算期を迎えるため、更に忙しくなる時期です。

また、「コロナ借換保証」は新制度であり、経営行動計画書についても経験が少ない又は経験されていない担当者が多いと考えられます。

経営行動計画書の作成には時間がかかります。忙しい担当者と相談して経営行動計画書を作成するのは実際には難しいと思われるため、事業者で経営行動計画書を作成後に、担当者に説明される方が現実的です。

経営行動計画書の記載項目の説明

経営行動計画書の記載項目について説明します。

項目1.現状認識

自社の現状認識を①事業概要、②外部環境、事業の強み・弱み、③経営状況、財務状況の3つの項目から記載します。

項目1-①事業概要

他の欄で記載している法人名、所在地、代表者名以外の業種、具体的な事業内容、資本金、従業員数、沿革等を記載します。

項目2-②外部環境、事業の強み・弱み

次の内容と課題を記載します。

外部環境は、市場動向、市場規模、市場シェア、競合他社との比較、顧客リピート率、新規開拓率、主な取引先企業、顧客からのフィードバックの有無等を記載します。

事業の強み・弱みは、技術力、販売力、ITに関する投資・活用の状況、1時間当たり付加価値(生産性)向上に向けた取り組み等を記載します。

項目2-③経営状況、財務状況

次の内容と課題を記載します。

売上・利益の状況、売上・利益減少の要因、借入金の状況、資金繰りの状況等を記載します。

①②③は、ローカルベンチマークの非財務ヒアリングシートで代替可能です。

Excel形式のシート以外にも、中小企業庁が運営するwebサイト(ミラサポplus)で、ローカルベンチマークを作成できます。

ローカルベンチマークとミラサポplusのURLは次のとおりです。

【ローカルベンチマーク】

https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/sangyokinyu/locaben/

【ミラサポplus】

https://mirasapo-plus.go.jp/

項目2.財務分析

売上持続性、収益性、生産性、健全性、効率性、安全性の6つの領域から企業の総合的な経営力を判断します。

図表9 財務指標 ※クリックで拡大

項目3.計画終了時点における将来目標

計画5年目終了時点は4期終了時点の将来目標です。

<将来目標>

将来目標については、「現状認識」を踏まえた計画終了時点における事業の具体的な将来目標を記載します。

直近決算の売上高利益率が赤字の場合は、黒字化に向けた具体的な取組を記載します。

<EBITDA有利子負債倍率>

計画1~5年目の計画を記載します。

EBITDA有利子負債倍率の計画の算出には、借入金、現預金、営業利益、減価償却費が必要です。

損益計算書の計画を作成するために、営業利益と減価償却費の数値はわかります。

小規模事業者では貸借対照表を計画する事業者は少ないため、借入金と現預金の数値は少し苦労されるかもしれません。

借入金は返済予定表、現預金は資金繰り表を作成することで簡易的に入手できます。

項目4.具体的なアクションプラン

課題に対する取組計画等、本資金の活用方法を記載します。

<課題>

課題については、「現状認識」②③の課題について計画1~5年目の取組計画等 (取組計画、改善目標指標、目標値)を記載します。

「現状認識」②③の課題の内、いずれか1つの課題に係る記載でも可能です。

計画1年目は計画策定日の属する事業年度ですので、進行期(今期)と来期以降は4期分の取組計画等を記載します。

<改善目標指標>

改善目標指標には、「財務分析」の①~⑥(④を除く)のいずれかの指標を記載し、目標値には同指標の計画年度毎の目標値を記載してください。

<本資金の活用方法>

「本資金の活用方法」は取組計画との関連性を中心に資金使途、資金効果等を記載してください。

課題が複数の場合は、いずれか1つの取組計画に係る記載でも可能です。

項目5.収支計画及び返済計画

売上高、営業利益、税引き後当期純利益、減価償却費、借入金返済額について、直近決算(前期)の実績と計画1~5年目(進行期(今期)と来期以降4期分)の計画を記載します。

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さいごに

金融機関に「コロナ借換保証」の申込が集中すると、融資実行までに時間がかかるため、早めに経営行動計画書を作成して、金融機関の担当者に申込をされた方が良いです。

特に経営行動計画書の作成は、事業計画の作成が慣れていない方にはハードルが高く、手間と時間がかかるため、「コロナ借換保証」の相談ができるドリームゲートのアドバイザーにお気軽にお問い合わせください。私の方でもご相談を受け付けています。

なお、本制度の利用に関しては、金融機関または最寄りの信用保証協会にお問い合わせください。

 

執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 佐藤 達也(さとう たつや) / いかづち株式会社

CFOとして実績がある経理財務のプロフェッショナル。事業再構築補助金の採択率は90%を誇り、補助金支援をはじめとする資金調達のサポートが得意です。真摯で真面目なお人柄が頼りになります。

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