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課題・悩み
前社長から事業承継の形で会社を引き継いだ、元従業員の代表取締役社長です。 私は経営の知識やノウハウがまったく無く、どのように経営をすすめればいいのかわかりません。
成長していける体制づくりのために、根拠のある経営計画の立て方を教えてください。
回答:まずは会社のミッション、経営理念、ビジョンを考え、現状と「あるべき姿」とのギャップを特定しましょう。
水谷 弘隆(みずたに ひろたか) One Step Beyond株式会社
これまで数多くの経営支援・著者輩出を行い、2016年に経営コンサルタントとして独立された水谷アドバイザー。
起業における全てのフェーズで的確な回答をしてくださる信頼できるアドバイザーさんです。
社長が内部登用で会社を社員に承継する場合、必ず強い理由があります。 質問者様が経営者としてのポテンシャルを買われたのは間違いありません。
経営者としてのポテンシャルとは、以下のようなものです。
- 経営という難しい業務をこなせる能力(判断力、実行力、視野など)
- 重い役割を担う覚悟と責任感
- 組織や人をまとめて、引っ張っていく人望、リーダーシップ
- これから長く経営を行っていくための「若さ」
経営トップには、従業員や幹部(管理職)とは異なるマインドとスキルが必要です。最初から完璧な経営者などおらず、誰でも未熟なところから経営者として成長していきます。
それでは経営計画の立て方について回答します。
世の中の中小企業の多くは、経営計画がないままに「経営」をおこなっています。経営計画がないと、場当たり的な対応になって失敗しますが、経営計画を作っている企業は安定性、成長性に優れているという統計調査もあります。
経営計画の立て方には手順、基本的な考え方があります。
①大きいところから考える
- 経営ミッション:会社が社会で存在している意義
- 経営理念:経営者としての考え方、社員に求める行動、会社が大切にしている価値観など
- 経営ビジョン:会社をどのような方向にもっていきたいのか、規模・売上の拡大など
② 戦略を策定する
①のミッション、経営理念、ビジョンに基づいて、方向性を考えます。
- 現状と今後のビジネスモデル(収益を上げる仕組み)を整理する
- 市場、顧客、製品・サービスについて、どこで戦うか(戦わずに勝つか)を決める
③現状を知り、「あるべき姿」とのギャップを特定する
- 現状の経営分析:強み、弱み、事業環境、財務、マーケティング、顧客基盤、組織、人材、業務プロセス、外部サプライヤー、情報化など
- 「あるべき姿」を決める:長期(10~20年)、中期(3~5年)、短期(今年)の目標の決定 ・目標と現状の差異を特定する
- 強みを伸ばす方法/弱みを克服する方法を洗いだす
- 市場のビジネスチャンスを考える ・優先順位をつける
④ アクションプランを具体化する
- 機能別の課題と実行計画を立てる(営業、財務経理、生産管理、製造、品質管理、マーケティング、人材採用・育成、業務プロセス・IT化など)
- 実行計画について、誰が、いつまでに、何を、どうやって、どこでおこなうのかを決める
- 計画を数値目標化する
- 計画の進捗を管理する
⑤ 経営者としての判断基準を持つ