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課題・悩み
テナント用の物件をローンで購入し、完済まであと5年残っています。場所は幹線沿いで、需要のある場所に立地しています。
現在入居している複数の店舗から、コロナ禍の影響で売り上げが減ったため家賃を3ヶ月間、50%減額してほしいと言われました。物件のローンも残っているため、家賃の大幅な減額は厳しいです。
しかし、もしこれらの店舗に一斉退去されると、このコロナ禍では新たな入居者がつかないのではないかと懸念しています。
回答:テナント需要のある立地なら、新たな入居者を探した方が良いでしょう。
井出 龍治(いで りゅうじ) /オリエ不動産グループ
飲食店2店舗を営む傍ら、不動産会社を設立。店舗オーナー向けに、大家さんとの家賃交渉アドバイスなど、不動産コンサルタントとしても活躍をされております。
賃料保証会社の有無や、普通賃貸借・定期建物賃貸借の種別がわかりませんが、記載いただいた内容についていくつか述べさせていただきます。
①大きな家賃の減額をする必要はありません。 業種にもよりますが、立地条件が良い場所にもかかわらず現在でも経営が難しい入居者さんであれば、撤退していただいた方が安心です。 物件の客付けにコロナ禍の影響はありますが、それでも業績が伸びている会社が多いのも確かです。テナント需要のある立地なら、それほど客付けには困らないでしょう。
②入居者の入替 現在が普通賃貸借でれば、これを定期借家に変更するか、オーナーの意向で賃貸契約を解約できるように設定しましょう。それを条件に賃料の減額に応じる方法もあります。 設定を変更した上で、新たな入居者を見つけられるよう募集をかけると良いでしょう。
③猶予額を保証金から差し引くことは、おすすめできません。なぜなら、経営が厳しくなって倒産したさいに、原状回復をしてもらえない可能性があります。 もし夜逃げなどをされた場合は、残置物の処理や法的な手続きの費用が必要になります。滞納家賃や解約告知期間分の賃料も保証されないので、リスクが大きいです。
さらに法務省民事局から、「コロナの状況下で3ヶ月程度家賃を滞納しただけでは、信頼関係が破壊されたとは言えず、立退き要請が認められることは難しい」とアナウンスされています。ですので、家賃を滞納したままギリギリで入居者がいなくなってしまう可能性があります。