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課題・悩み
2つの会社の従業員になる場合、法的に問題が生じることはありますか?
例えば弊社の役員が他の会社の役員あるいは従業員になる場合、商法に違反するのでしょうか?
回答
〈各他の会社の取締役になるケース〉と、〈他の会社の従業員になるケース〉に分けてご説明します。
〈他の会社の取締役になるケース〉
まず、商法において、複数の会社の役員を兼務することを禁止している直接的な規定はありません。A社とB社の役員を兼務している例というのはたくさんあります。
しかし、役員の兼務が法的に問題になるケースもあります。
(問題その1)商法は、取締役に「会社のため忠実にその職務を遂行しなければならない」とする義務を負わせています。(254条の3)これを、「忠実義務」といいます。したがって、先の例でいうと、2社が競合同業者である場合や、あまりにもB社の業務ばかりにかかっていて、A社を放置している、という ケースでは、この「忠実義務」が問題になりえます。もちろん、A社の営業上の秘密を利用してB社に利益を得させることも、当然問題です。忠実義務違反によって、会社に何らかの損害が生じた場合には、出資者や取引先から問題とされる可能性もありえます。
(問題その2)たとえば、B社の取締役として取引行為を行う場合で、その取引がA社と同じ営業の部類に属する取引であった場合には、事前にA社の取締役会の承認を得なければなりません。(商法264条1項)
(問題その3)これは、取締役のケースではなく、監査役のケースですが、商法276条は、監査役はその会社または子会社の取締役や従業員にはなれない、と規定しています。
〈他の会社の従業員になるケース〉
基本的に、従業員のケースも、取締役のケースと同じです。違う点は従業員のケースでは「会社との雇用契約」で問題となりうることです。通常、会社との雇用契約には、兼業を禁止する規定が盛り込まれています。そこで、他の会社の従業員になったり、取締役になったりすると、この規定に反することになります。
結論として、複数の会社の役員を兼務することがあったりしても、その事を会社が知っていて、問題にしないようであれば、兼務自体が法律的に違反することはありません。
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