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課題・悩み
現在採用予定の中国人がいます。
在留資格は技術人文知識国際業務で、今年の11月に更新のようです。
雇用した際には翻訳業務などをお願いするつもりです。
在留期間はきちんと更新できるものなのですか。
また、それはだれが更新手続きをしなければいけないのでしょうか。
回答:在留期間を更新できるかどうかは、在留期間中の活動や生活状況などによって、総合的に判断されます。
田村 徹(たむら てつ) / ICT法務サポート行政書士事務所(行政書士事務所・大阪)/スカイ・スクラッパーズ株式会社(経営コンサルティング・京都)
ベンチャー企業や中小企業で多くのトップマネジメント経験を持つ田村さん。47歳で経営学修士取得や49歳で行政書士資格の取得など常に自己研磨に励んでおられます。数多くの経験をお持ちですが非常に親しみやすい人柄で多くの起業家から支持を得ています。
質問者様が採用を考えている中国籍の方をAさんとします。
「出入国管理及び難民認定法(略称:入管法)」の第21条(在留期間の更新) に規定されています。原則として、Aさんは、法務大臣から付与された在留期間に限り、日本に在留できます。
しかし、在留期間が終了するたびに中国へ帰国し、改めてビザを取得して入国する手続きをとっていると、2-3ヶ月間は職場を離れることになります。
これでは、Aさん側にも会社側にも、大きな負担となってしまいます。
そのため、法務大臣が〝相当の理由がある〟と判断した場合には、在留期間を更新して、Aさんは継続して日本に留まることができる制度があります。
この制度の手続きが、「更新許可申請」です。
〝相当の理由がある〟かどうかの判断は、「申請者の行おうとする活動」、「在留の状況」、「在留の必要性」などを総合的にみて判断されます。
そして、これらは、申請時点だけを審査の対象にしている訳ではなく、Aさんの〝過去から現在まで〟を、少なくとも在留期間中の活動や生活状況などによって、総合的に判断して行われます。
具体的には、次のような内容が含まれているものとされています。
a) Aさんが、在留資格在留資格「技術人文知識国際業務」に該当した活動を行ってきたか。
b) Aさんが、日本に入国するさいの上陸審査の基準にあった状態を維持できているか。
c) Aさんの素行が不良でなかったか。
d) Aさんの生活状況が日常生活において公共の負担となっておらず、かつ、その有する資産または技能などからみて、将来において安定した生活が見込まれる状況であったか。
e) Aさんのアルバイトを含めた雇用・労働条件が、労働関係法規に適合してきたか。
f) Aさんが、納税義務を守ってきたか。
g) Aさんが、住所変更なでの入管法に定める届出などの義務を守ってきたか。
また、質問者様がAさんを雇用した場合、在留期間の更新の審査には、質問者様ご自身の事業内容やプライバシーを含む内容も判断材料の一部になります。
次に〝誰が手続きをするのか?〟ということについて
イ) Aさんご自身
ロ) Aさんの法定代理人など
ハ) 申請時にAさんが所属している機関(申請時にAさんが勤務されている会社など)
二) 申請の取りつぎを委任された者(申請取次者の許可を持つ行政書士・弁護士など)
ということになります。
在留期間が満了するおよそ3か月前に、Aさんの住所地の地方出入国在留管理局に申請します。
質問者様は申請を取り次ぐことはできますが、 (任意)代理人ではありません。代理行為をされると違法になります。初めてのご経験であれば、地方出入国在留管理局等へ事前にご相談された上で進められることをお勧めいたします。