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課題・悩み
インターネットショップを運営する上で発送業務を業務委託することを考えています。
委託先は、自宅で作業ができるような在宅の方を検討しています。
法律に関することもふまえ、契約事項についてくわしく教えてください。
回答
「アウトソーシング」とは「業務委託」や「外注」といった契約の形態のことで、アウトソーシング(委託)先は、一般的には「自営業者」とみなされます。つ まり、「自営=個人事業主」として、業務を行う上で、指示命令(従属関係がなく)を受けず、働く場所、時間、働き方の制限もなく、自由な働き方をいいま す。
会社として社会保険や雇用保険からは適用が除外となるので、経費の削減が可能です。
最近では「外注」や「業務委託(自営)」などという、名目上の契約形態だけで、実態としては「雇用」であるという実態があるので注意しましょう。
「労働者」とは、「職業の種類を問わず、事業または、事務所に使用されるもので、賃金を支払われる者」をいいます。この「雇用契約」である場合、労働者は「労働基準法」等、労働者を守るための法律の保護を受けることになります。
このように、「雇用契約」か「請負(業務委託・アウトソーシング)契約」かで契約事項に関する法律が異なってきます。
「雇用契約」の場合の注意点を記載します。
●雇用契約書・労働契約書が必要です。
●「損害賠償や契約不履行の予定する契約」はできません。
つまり、「不良品を作ったら違約金一律10万円を払ってもらいます。」や「途中で退職したら、違約金を払ってもらいます。」という「予定」の契約は違法となります。
また「実際に損害を生じた金額」を損害賠償するという契約は問題ありません。
●会社として労災保険に加入する必要があります。
ただし「在宅ワーク」の場合「労災事故」と認められるか難しいかもしれません。
●契約期間を定める必要があります。
契約期間があり、契約期間満了すれば、契約は終了です。また、次の期間も継続(再契約)することも可能です。これを何度も繰り返すと「期間の定めのない契約(無期限)」となります。「解雇制限や解雇予告(少なくとも1ヶ月前には通知する)」などにも注意しましょう。
●最低賃金法の適用について
いくら「出来高払制」で報酬を支払うことと定めても、「労働時間に応じ、一定額の賃金の保障をしなければならない」という決まりがあります。「出来高による賃金」が「労働した時間給」に見合うものかどうか、検討しておく必要があります。
次に「業務委託契約」を前提とした契約についてです。
業務内容・処理方法・委託期間・委託単価・契約の解などが盛り込まれる内容です。「委託単価」などは「別紙」(別途覚書)等としてもよいでしょう。
まず、現在の業務内容を把握して、誰に委託するのか、問題点はないのかを正確に確認しましょう。業務に係る時間も必要です。トラブルの多くはこれら原因になると考えられます。
そして委託する業務内容を契約書に詳述します。まずは契約書作成ツールで業務委託契約書を作成して、細目を調整してみてはいかがでしょうか。
注意事項として、再委託の禁止・損害賠償・納期に(遅延)関する規定・個人情報保護に関する規定・などが考えられます。その他、トラブル時の処理や、業務範囲の中の、業務の流れ(=スケジュール)等も決めておけばいいでしょう。
情報管理および流出防止は、契約書等に記載するのはもちろん、その契約内容に基づき徹底的に管理し、万が一情報流出が発覚した場合の為の制裁事項の記載も整備する必要があります。契約書とは別に「誓約書」として作成することも考えられます。
「雇用契約」に準じて判断しても、「商品の実質弁償額」を限度に賠償規定を盛り込むことは差し支えないかと思います。
相手が「請負の個人事業主」であれば、業務上のケガも本人の責任となりますから、会社としては「免責等の」規定を行うことも可能でしょう。ただし、万一相手から損害賠償請求をされた場合に備え、賠償責任保険等に加入しておくことも、重要なリスク管理かと思います。
相手が個人事業主であれば、トラブル発生などにより、委託業者を変更する場合する場合もあるでしょう。どのような場合に、契約を打ち切るのかをきちんと明記しておく必要があります。
賃金についても、請負であれば、事由に規定することができるかと思いますが、「雇用契約」に準じて判断すると労働時間に比して著しく対価(報酬)が劣る と、問題になる可能性があります。たとえ「出来高払い」をとるにしても、一般的な人が、1つの作業に平均してどれくらい時間がかかるのかを見積もった上 で、最低賃金を考慮した単価を設定しておけば、問題はないでしょう。