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課題・悩み
弊社は特定技能ビザで外国人労働者を雇い入れております。
弊社の外国人労働者に対して日本語教育をしたいのですが、日本語教育の委託先として何か指定などはあるのでしょうか?
回答:日本語教育の委託先に指定などはありません。
田村 徹(たむら てつ) / ICT法務サポート行政書士事務所(行政書士事務所・大阪)/スカイ・スクラッパーズ株式会社(経営コンサルティング・京都)
ベンチャー企業や中小企業で多くのトップマネジメント経験を持つ田村さん。47歳で経営学修士取得や49歳で行政書士資格の取得など常に自己研磨に励んでおられます。数多くの経験をお持ちですが非常に親しみやすい人柄で多くの起業家から支持を得ています。
企業が外国人労働者に対して受けさせるべき日本語教育を委託する場合、委託先に指定などはありません。日本語教師が個人事業主として活動する場合でも、特別な許可などは必要ありません。
〈解説〉
1)「特定技能所属機関(=特定技能外国人を雇用する企業など)」は、「1号特定技能外国人(=在留資格「特定技能1号」で企業などに雇用される外国人)」を雇い入れるさいに、『1号特定技能外国人支援計画(以下、「支援計画」といいます)』を出入国在留管理局へ提出しなければなりません。
支援計画は、特定技能外国人に対する「職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援」を計画するもので、この中に「本邦での生活に必要な日本語を学習する機会を提供すること」も含まれています。
2)日本語を学習する機会の提供については、次のいずれかによる方法で、かつ、1号特定技能外国人の希望に基づき支援をおこなう必要があります。
- 就労・生活する地域の日本語教室や日本語教育機関に関する入学案内の情報を提供し、必要に応じて1号特定技能外国人に同行して入学の手続の補助をおこなうこと
- 自主学習のための日本語学習教材やオンラインの日本語講座に関する情報を提供し、必要に応じて日本語学習教材の入手やオンラインの日本語講座の利用契約手続の補助をおこなうこと
- 1号特定技能外国人との合意のもと、特定技能所属機関などが日本語教師と契約して、当該外国人に日本語の講習の機会を提供すること
この①から③の支援を「義務的支援」と呼んでいます。
3)義務的支援に加えて、任意で次の支援をおこなう場合にも、支援の時期、支援方法、外部へ委託するさいの支援先について、支援計画に記載することになっています。
- 支援責任者または支援担当者その他職員による1号特定技能外国人への日本語指導・講習の積極的な企画・運営をおこなうこと
- 1号特定技能外国人の自主的な日本語の学習を促すため、日本語能力に係る試験の受験支援や資格取得者への優遇措置をすること
- 日本語学習を実施する場合において、特定技能所属機関などの判断により、日本語教室や日本語教育機関の入学金や月謝などの経費、日本語学習教材費、日本語教師との契約料などの諸経費の全部または一部を、当該機関が自ら負担する補助など学習のための経済的支援をおこなうこと
この①~③の支援を「任意的支援」と呼んでいます。
4)義務的支援で必要な費用は、特定技能所属機関が負担しなければなりません。いっぽう、任意的支援で必要な費用については、特定技能職機関が全部を負担しなければならないわけではありません。 日本語の習得は継続的な学習により促進されるものなので、1号特定技能外国人の日本語の習得状況に応じた適切かつ継続的な学習の機会を提供していくことが求められます。
そのため、1号特定技能外国人が受け取る給与の額、社宅費の負担などから総合的に判断して、1号特定技能外国人にとって過度な学習費用の負担が発生するような場合には、指導がおこなわれています。