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課題・悩み
複数のリハビリ施設を経営していますが、コロナ禍の影響で、都内の施設を休業することになりました。 緊急事態宣言が出されている間は休業補償として6割の賃金を支給する予定ですが、経営が厳しいので、今後は人員を削減して事業規模を縮小することも考えています。
休業補償は必ず支払わなければならないのでしょうか?
また、解雇や人員削減を回避するために休業手当を支給したさいに使える補助金等はありますか?
回答:不可抗力による休業の場合は、休業手当の支払義務はありません。また、「雇用調整助成金制度」を検討できます。
溝上 哲也(みぞがみ てつや) / 護士法人バリュープラス・特許業務法人バリュープラス
大阪で弁護士・弁理士として活躍をされている溝上さん。地域に密着した法律事務所として一般の弁護士業務を行っているのみならず、産業財産権の調査・出願から訴訟・ライセンスまでの知的財産権の分野の弁護士業務と弁理士業務を幅広く行っている強い味方です。
使用者(雇用主)の責に帰すべき事由による休業の場合は、労働基準法第26条により、休業期間中の休業手当(平均賃金の60%以上)を支払わなければなりません。 しかし不可抗力による休業の場合は、休業手当の支払義務はありません。
不可抗力による休業は、
- その原因が事業の外部より発生した事故であること
- 事業主が通常の経営者としての最大の注意を尽くしても、なお避けることができない事故であること
という要素をいずれも満たす必要があります。
1.については、今回のコロナの影響における休業は、外部より発生した事故であると言えます。
2.については、使用者として休業を回避するために具体的な努力を最大限尽くしていることが認められる必要があります。
つまり、休業予定の施設の経営が本当にできない状況なのか(特別な工夫などで継続できないのか)、他の経営する営業中の施設で就かせることができる業務があるにもかかわらず休業させていないかが問題となります。
また、解雇や人員削減を回避するために休業手当を支給したさいに、中小企業だと事業主が支払った休業手当等のうち、90%を国が助成する「雇用調整助成金制度」があります。 事業規模を縮小する前に、雇用調整助成金制度などを利用して雇用を守る選択もできます。