Q.日本で自社開発した製品をアメリカで展開しようと思っています。気をつけることは?
新しいデバイスを開発して、日本で非常に売れています。ぜひ、アメリカにも販売したいと考えています。法的に気をつけることはありますか?
A.回答
どのような商品なのか、くわしくお聞きしないお答えできない部分が多いのですが、デバイスということで電子機器的なものと仮定してお話します。
まず最初に自社開発した技術が、偶然であっても、他社がすでに特許を取得した技術に基づいていないかを確認する作業が必要になります。これはいくら自社開発したと言い張っても、同じ技術がすでに特許されていた場合、他社特許の侵害行為とみなされるからです。非常にユニークな技術で、類似品の可能性はないとお考えの場合を除いて、「Freedom to operate opinion(販売しても大丈夫でしょうというお墨付き)」を米国の特許弁護士から得ておくことが一番安全になります。
日本で販売を開始したのが、それほど前でなく、特許を1年以内に申請していた場合、すぐに日本語でPCT出願を日本の特許庁にすることで、アメリカの市場の立ち上がり具合を見ながら、申請日から30ヶ月以内にアメリ特許を申請することが可能です。
商品名の命名も難しい問題です。トヨタは名車クラウンをアメリカで販売するに当たって、別の名前を付けざるを得ませんでした。FordがCrown-Victoriaという車種(警察車両に採用されています)をすでに持っていたためです。カルピスもあのおいしいカルピスをアメリカで販売するに当たって、カルピスの語感が、「カウピス(Cow Piss)」に似ていることから、カルピコに名前を変えて販売しました。Cow piss=牛の小便の意味では、いくら水で割っても飲みたくないですよね。また、日本で商標登録が出来ていても、アメリカで出来るとは限りません。これも他社が商標を登録していることを確認せずに販売を始めた場合、侵害になるばかりでなく、故意の侵害と見られる危険性があります。
アメリカ支社を作って自社販売するのか?販売網を構築して販売を任せるのか?一部の製造拠点をアメリカに移すことで関税や税金を節約する方法を利用するのか?考えることはさまざまです。その場合、販売事務所の開設、あるいは、現地法人の設立、人員の派遣に伴うVisaの取得。同行家族のVisa。現地従業員の採用、事務所探し、賃貸契約、銀行口座開設、Distributor探しとその相手との契約、政府規制のクリア、などなど、さまざまな問題をクリアしなければなりません。
私どもStrategic Legal Solutions Inc.は一緒にそのような問題に取り組むだけでなく、駐在事務所の開設をまさにTurn Key Operationの形でご用意することも可能です。駐在員の方には、まず、とりあえず、飛行機に飛び乗って来ていただくだけ。全米各州の事業所開設をお引受できます。ぜひ一度ご相談ください。