起業・経営FAQ:外国籍の者が融資を受ける際の注意点、融資の概要について教えてください。

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

課題・悩み

日本人の夫と結婚した際に国籍を取得しまして。日本に住んでいます。日本での生活を送る中で、徐々にではありますが日本語も覚えてきました。

今回は創業融資についての相談です。

自分と同じように結婚して日本にやってくる方などは多いのですが、やはり日本語の習得が大変なようです。自分としてはそのような問題を解決したいと考えており、なにか塾のようなものを開業できたらなと考えています。

その際に資金が必要になるので融資を受けたいのですが、概要について教えてくれませんか?

回答:日本に生活基盤があるか、しっかりとした事業計画ができているかが注意点です。

この質問への回答者

森 滋昭(もり しげあき) / 森公認会計士事務所
誠実な人柄とわかりやすい説明で、多くの起業家や中小企業の資金繰りや資金調達の支援をされている森アドバイザー。資金調達や資金繰りでお悩みの際にお勧めのアドバイザーです。

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(1) はじめに

外国の方が、日本で起業をして融資を受ける場合、

  • 融資できるような事業か
  • 外国人として融資をしても問題ないか

という2つの視点からみられます。それぞれの視点ごとに、見ていきます。

(2) 創業融資について

起業をしたばかりの時は、まだビジネスとして実績がないため、通常の融資とはいろいろな点で異なります。

まず、融資をしてくれる金融機関が限られます。最初に、起業をしたときに受けられる融資は、基本的に、

  • 日本政策金融公庫(以下、公庫)
  • 制度融資(都や県、市区町村での融資です)

の2つになります。都市銀行や、地銀、信用金庫などでも、ベンチャー企業に融資することもゼロではありませんが、現実的には、難しいために、公庫か制度融資を活用することになります。

この公庫と制度融資を比較すると、

公庫は、

  • わかりやすい(制度融資と比べて)
  • 融資手続きが簡単(1カ月程度)

制度融資は、

  • 自治体により条件や手続きが異なり、わかりにくい
  • 中小企業診断士との面談(指導)を受けるなど、時間がかかる
  • 自治体による利子補給があり、利率が低い

といったメリット・デメリットがあります。まずは、公庫の融資の方が“わかりやすい”ということもあり、公庫の融資をご紹介します。

(3)新創業融資

一般的に、起業したときは、日本政策金融公庫の「新創業融資」という制度を利用します。

この融資は、無担保・無保証ということで、大変使い勝手のいい制度ですが、

A)新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方

B)これから始める事業の勤務経験など

C)融資限度が、3,000万円(うち運転資金は、1,500万円)

D)総資金の1/10は、自己資金を用意する

(例えば、1000万円の融資を受ける場合、10万円の自己資金が必要になります)

といった条件があります。

これら要件のうち、B)の勤務経験は、必ず必須ではありませんが、新しく事業をするため、それを成功させるだけのノウハウの有無や、販売先の確保などができているか、と言ったことが見られます。

C)の融資限度額ですが、3,000万円が上限とされていますが、実際には、1,000万円もいかないことの方が多いかと思います。なお、当然、希望する金額が大きくなればなるほど、審査は厳しくなります。

D)の自己資金ですが、自己資金は1/10だけ用意すればいいというわけではなく、実際には、自己資金が多い方が評価されますし、1/3程度は、自己資金を用意してもらいたいようです。

(4)外国人であること

融資上、外国人であることは審査上考慮されます。お金を借りて返済しなくても、母国に帰れば、金融機関としても、貸したお金を回収することは、実務上難しいためです。差別と言うことではなく、実際、そういう方を見たこともあります。

そのため、個別に評価されますが、

  • ビザのタイプ
  • 日本での滞在年数
  • 日本人の家族の有無
  • 代表取締役に日本人も入っているか(会社の場合です)

と言ったことで判断されます。つまり、日本に生活基盤があり、これからも日本で生活していくのかどうかということです。外国人の融資をサポートしたこともありますが、外国人のために不利な扱いを受けたことがあります。しかし、これは、日本人でも、海外に住んでいて日本で融資を受けようとすると、それだけで扱いが厳しくなっています。

また、外国人である以前に、事業計画がしっかりしていないことも多いように感じます。起業は、日本人にとっても難しいことです。しっかりと起業の準備をされることが大切だと思います。

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