起業・経営FAQ:飲食店閉業からしばらく経過していても事業再構築補助金で採択される可能性はありますか?

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

課題・悩み

住宅街でうどん屋を経営していましたが、コロナウイルスの影響で客足が伸びず、閉店することになりました。 閉店以降、会社は残していますが活動はしていません。現在介護食専門の弁当店(店頭販売・宅配)での開店を考えています。 下記3点ご質問させていただきます。

  1. 会社としてしばらく活動していない状況ですが、事業再構築補助金の申請の対象でしょうか?
  2. 事業再構築補助金の補助対象となっている建物費は、どの範囲の費用が対象なのでしょうか?
  3. 事業再構築補助金の他に、現在の状況で交付の可能性がある補助金はありますか?

回答:まずは事業再構築補助金の内容を確認していきましょう。

この質問への回答者

森 滋昭(もり しげあき) / 森公認会計士事務所
誠実な人柄とわかりやすい説明で、多くの起業家や中小企業の資金繰りや資金調達の支援をされている森アドバイザー。資金調達や資金繰りでお悩みの際にお勧めのアドバイザーです。

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1.会社としてしばらく活動していない状況ですが、事業再構築補助金の申請の対象でしょうか?

(1)事業再構築補助金の考え方 事業再構築補助金の基本的な考え方は、新型コロナで急に大きく減少し、従来のビジネスモデルのままでは、事業の継続が難しいため、新しいビジネスにチャレンジするかたを、国としても応援しようというものです。

新しいビジネスにチャレンジすること自体が困難なことなので、最初の設備投資と、事業が立ち上がるまでの広告宣伝費など特別にかかる経費は、国が補助を出そうというものです。設備投資などそれなりに大きな資金を必要とするため、補助金の額も大きくし、成長する企業を後押しするものです。

その一方で、大きな資金を提供するのだから、きちんと成功してくれないと、投資効率が悪いことになるので、きちんとした事業計画書を作成してくださいということです。新しいビジネスにチャレンジするので、既存ビジネスとのシナジーがなさそうなところで成功を求められるという、一見矛盾したようなハードルの高い補助金です。

(2)事業再構築の類型要件

新しいビジネスへの挑戦ということで、事業再構築の類型が示されています。

その中で、ビジネスモデルの転換ということでは、

  • 飲食店のデリバリー事業への進出
  • 対面ビジネスのECサイトでの販売

などが、比較的容易かと思います。通常の飲食店からデリバリーサービスへの転換は、事業再構築の類型の要件は満たしていると思います。

(3)売上高減少要件

コロナ以前の売上と比較して、売上(または付加価値額)が、減少している必要があります。

具体的な要件としては、

(A)「2020年4月以降の連続する6か月間のうち任意の3か月の合計」が、「2019年または2020年1~3月の同月」と比較し、10%以上減少していること

かつ

(B)「2020年10月以降の連続する6か月間のうち任意の3か月の合計」が、「2019年または2020年1~3月の同月」と比較し、5%以上減少していること

なお、付加価値額(人件費+減価償却費+営業利益)の場合、数値が、

  • (A)は、15%以上
  • (B)は、7.5%以上

となっています。

また、分母となる「2019年または2020年1~3月の同月」の売上高については、2019年1月1日から2020年3月31日までに創業した場合、特例があります。

具体的には、創業日から2020年3月31日までの1日当たりの平均売上高に、申請に用いる任意の3か月と同日数分を掛けた売上高をコロナ以前の売上高として用いることができます。

実際に貴社の数値に当てはめて頂ければと思いますが、文章だけで見るとわかりにくいので、

  • 設例が載っているリーフレットを参考にする
  • 事務局に電話をしてご確認いただく

のがいいかと思います。

(4)審査項目(実質的な要件)

先述の(2)と(3)の要件を満たせば、事業再構築補助金への応募は可能になります。ただ、審査項目に「事業化点」として、新しい事業をきちん立ち上げることができるのか、という項目があります。

具体的な項目として、

  • 事業実施のための人材等の体制
  • 金融機関等からの資金調達

などが挙げられています。

一方、貴社の業歴としては、閉業しており、その後、事業活動をしていない状態だと思われます。

こうした業歴や事業内容が、直接・間接、審査に影響を与える可能性があるかと思います。そういう意味では、実質的にはハードルは高くなるかと思います。

2.事業再構築補助金の補助対象となっている建物費は、どの範囲の費用が対象なのでしょうか?

新ビジネスの立ち上げに特別にかかる設備投資や経費について補助の対象となります。通常の経費については対象となりません。

例えば、

  • 事務所等に係る 家賃、保証金、敷金、仲介手数料、水道光熱費
  • 借入金などの支払利息

などは、対象外です。一方、店舗の内装等の改修費用などは対象となります。

3.事業再構築補助金の他に、現在の状況で交付の可能性がある補助金はありますか。 (1)小規模企業持続化補助金

国の補助金としては、小規模企業持続化補助金があります。(https://www.jizokuka-post-corona.jp/)低感染リスク型ビジネス枠であれば、補助額100万円、補助率2/3となっています。

こちらも

  • 「新型コロナウイルス感染症感染防止と事業継続を両立させるための対人接触機会の減少に貢献する前向きな投資」
  • 「新しいビジネスやサービス」

に対する支援を行うものです。

厳密には、現在事業をしていないというと、事業継続という点に関して、微妙なところはありますが、広くは対象となるかと思います。

(2)業態転換支援(新型コロナウイルス感染症緊急対策)事業

こちらは東京都の補助金になりますので、エリアによっては対象外かもしれませんが、ご紹介いたします。(https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/jigyo/conversion.html

助成額が100万円で、助成率は4/5となっています。対象が、東京都で飲食店を営む方がテイクアウト事業を始める場合ですので、厳密には対象となるのか微妙なところではあります。また、東京以外でもテイクアウト事業への転換の支援を地方自治体で行っている場合がありますので、ご確認いただけますか。

(3)IT導入補助金

IT導入補助金は、特定のベンダーでのECサイト構築について、最大300万円の補助が出ます。テイクアウト店舗開業のための直接的な補助金ではありませんが、継続的に募集している補助金ですので、タイミング等が合えば、検討してみる価値があるかと思います。(https://mirasapo-plus.go.jp/hint/6014/

*こちらは2021年8月時点での内容となっております。

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