- 目次 -
課題・悩み
起業を考えています。しかし起業に関する知識、経験がない状態です。
内容としては、英語学習用のSNSを作成しようと考えています。アプリ開発には、1000万円以上かかるようなので助成金、クラウドファンディングなどの利用を考えています。
上記2つを利用しても資金が足りない場合、銀行などから借り入れすることはできますか?おすすめの助成制度、クラウドファンディングなどがありましたら、教えていただけないでしょうか?また、起業をするにあたって個人事業主、法人設立のメリット、デメリットなども教えていただきたいです。
回答:助成金、クラウドファンディング、公庫の融資を利用して資金調達しましょう。
上野 光夫(うえの みつお) /株式会社 MMコンサルティング
元日本政策金融公庫の融資課長として5000名以上の起業家を支援した上野アドバイザー。現在は、資金調達の専門家として活躍されております。融資を検討されている方にはうってつけのアドバイザーです。
助成制度について
以前は国の「創業補助金」というものがあったのですが、今は起業のときに使える補助金や助成金は、残念ながらあまりないのが実態です。
数少ない中で、年に何回か募集されるのが「小規模事業者持続化補助金」と「東京都創業助成金」です。「小規模事業者持続化補助金」は、主に広告宣伝費用などに使える補助金で、補助上限が50万円です。基本的には何年も事業をされている方向けなのですが、これから起業される方も応募は可能です。(https://r1.jizokukahojokin.info/)
また東京都内で起業される場合に対象になるのが、「東京都創業助成金」で、こちらは300万円まで出ます。対象となるのは、指定の起業セミナーを受講したなど、条件がいくつかあります。もし東京都内での起業をお考えでしたら、今年中にセミナーを受講して、来年に申請することが可能になります。(https://www.tokyo-sogyo-net.metro.tokyo.lg.jp/finance/sogyo_josei.html)
このほか、お住いの自治体で何か起業に関する補助金等があるかもしれませんので、「○○県 起業(創業) 補助金」といった検索をしてみるといいでしょう。 ただし、補助金や助成金は審査にパス(「採択」といいます)する必要があります。パスするには、補助金や助成金の「募集要領」をよく読んで、とくに「審査の方法」に記載された文章を意識しながら申請書を書くことが重要です。
また、補助金や助成金は、採択されてもすぐにお金を出してくれるのではなく「後払い」になります。つまり、先に自分のお金を使ってモノなどを購入して、1年くらい後に出るものになりますので、先に資金準備が必要になります。
補助金や助成金は、返さなくてもいいお金なので、その点は大きなメリットです。しかし、申請はけっこう大変で、採択された後も細かい書類を求められますので、そのあたりは覚悟が必要だといえます。
クラウドファンディングについて
ぜひトライすることをお勧めします。お勧めとしては「Makuake」が、有名なので見られる確率が高いといえます。(https://www.makuake.com/)
クラウドファンディングは、それほど大きな金額は調達できないのが普通ですが、広告宣伝の効果がありますので、トライする価値が大きいです。
また、アプリを製作して起業するなら、個人事業主で十分だと思います。株式会社や合同会社など、法人を設立すれば、対外的な信用は高まるというメリットがありますが、設立費用がかかること、税金がかかることなどを考慮すれば、事業が大きくなってからがいいと思います。
融資制度について
どんな方でも、しっかりとした事業計画をお持ちなら、融資を利用できる可能性は十分あります。普通の銀行だとハードルが高いので、国の金融機関である「日本政策金融公庫」のほうをお勧めします。日本政策金融公庫は、各都道府県に1支店以上ありますので、最寄りの支店へ相談できます。(https://www.jfc.go.jp/)
起業の際の融資は「創業融資」という名前です。創業融資を利用するためにも、審査をパスする必要があります。そこで、創業融資について、審査をパスするためのポイントをご説明します。知っていただきたいこととして、融資担当者が審査するときのチェックポイントがあります。
融資について、融資担当者がチェックするポイントは、「財政状態」、「経営者としての資質」、「事業の見通し」という三つの視点です。
- 財政状態
本人の財産がどれくらいあるか、逆に借入金などの負債はどうか、という点です。当然、預金などの財産は多いほうが、負債は少ないほうがいいということになります。とくに財産については、同居家族名義も含めて積極的に情報開示することが、高評価につながります。
- 経営者としての資質
これは、「この事業をする経営者としてのスキルやノウハウをもっているか」という観点です。大切なことは、「経歴書」に、「今回の事業と関係する経験を積んでいる」ということが明確に分かるように記載することです。例えば、社会経験としてアルバイトで考えるのならば、どんなアルバイトをして、どのようなスキルを身につけたか、といったことを思い出すといいです。
もしInstagramなどSNSやブログをやっていて、でフォロワーが多いとかでしたら、それもアピールできるポイントになります。これから起業するテーマに関係する情報発信をするのも大切です。
- 事業の見通し
これは、「創業計画書」で示すべきポイントです。予定しているビジネスの内容については、相手が中学生でも理解できるように、分かりやすく記載することがコツです。なお、アプリを制作することをお考えとのことですが、高額の資金が必要ですし、成功確率は高いとは言えないのが実態です。まずはWebサイトを構築して、サービスを提供する方法もあります。Webサイトであれば、「Wordpress」というツールを利用すれば、低料金で構築可能です。勉強すれば、自分で作ることもできます。まずはWebサイトでサービスを提供して、ある程度の収益が得られてからアプリ開発をするのも一つの方法だと思います。