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課題・悩み
個人事業として経営している小売店を、従業員に売却したいと考えています。
従業員を個人事業主にして、日本金融政策公庫などから資金を融資してもらい、そのお金で事業を買い取ってもらう計画です。
このような事業譲渡は実現できますか?
回答:従業員に事業を売却することは可能ですが、3つのハードルがあります。
上野 光夫(うえの みつお) /(株)エムエムコンサルティング
元日本政策金融公庫の融資課長として5000名以上の起業家を支援した上野アドバイザー。現在は、資金調達の専門家として活躍されております。融資を検討されている方にはうってつけのアドバイザーです。
①従業員さんが事業の譲渡に納得するかどうか
とくに融資を受けるとなると、抵抗がある可能性もあります。従業員さんが納得してやる気になっているのなら、問題ありません。
②譲渡の金額
たとえば物件の保証金備品などの金額だけであればわかりやすいですが、それ以上の値段をつけるとなると、理屈付けが難しいでしょう。
株式会社を売却する場合は、純資産(自己資本)の金額に年間の利益の3~5倍といった値付けになることが多いです。しかし、個人事業の場合はそのような計算が難しいので、妥当性のある金額がつけにくいかもしれません。
金融機関が融資の審査をするさいに「金額の妥当性があるか」というポイントがあるので、設備関係の価格を大きく超える金額だと、融資は受けにくいでしょう。
③金融機関の審査
こうした事業承継の融資については、日本政策金融公庫など公的機関に融資制度があります。
事業を譲渡する従業員が融資を申請したときの、ご本人の個人信用情報、経営者としての能力、譲渡後の事業の収支見込などが、審査をパスするためのポイントになります。あとは先述のとおり、譲渡金額の妥当性もポイントになります。