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課題・悩み
友人と一緒に会社を立ち上げようと考えています。
できれば上下関係が生まれないようにして会社を運営していきたいと考えています。なにかいい方法はありませんか?
回答:上下関係が生まれないようにしたい場合は、二人ともが代表取締役になるという選択肢があります。
服部 純子(はっとり じゅんこ) / 服部純子税理士事務所
どんな相談にも明るく接してくれるフットワークの軽さに、若い経営者から支持を集める税理士の方です。じっくり時間をかけてアドバイスをくれる姿勢が、人気の秘密です!!
共同経営とは、共同で経営に携わることです。会社で経営者といえば役員です。株式会社であれば取締役、合同会社でいえば業務執行社員です。株式会社の経営陣は取締役です。取締役が複数いれば、その中から代表取締役を選びます。
共同経営をする場合は、取締役として名を連ねる場合が多いです。どちらかが代表取締役と名乗ることが多いですが、全て平等にしたいという共同経営者は、二人とも代表取締役になることもあります。
代表取締役は複数置くことができますが、社長は基本的に1人だけです。 代表取締役が複数いる場合、一人が代表取締役社長で、もう一人が代表取締役「副社長」、あるいは代表取締役「会長」などとすることが一般的です。この「社長」「副社長」「会長」などは法律用語ではなく、登記もされません。
株式会社であれば資本金を出資している人を株主と呼びます。合同会社であれば、出資している人を社員と呼びます。出資している人たちは、ある意味で会社役員よりも強い影響力を持ちますから、共同経営社がどれぐらいの影響を会社に与えるかは重要です。
株式会社設立する場合は共同経営者の出資比率に注意が必要です。株数の比率が株主総会の議決権が変わるからです。
もし取締役会を置かない場合は、会社の大切な事項はすべて株主総会で決めますので、共同経営者同士がどれぐらいの出資比率を持つのかが会社の影響力に違いをもたらすわけです。
合同会社設立の場合は出資をした人が経営の権利も一緒に持つことになります。株式会社と違う点は、出資比率によって会社への影響力が変わるわけではない点です。
共同経営者がどれぐらいの影響力を持つかは定款によって設定されます。たとえば全体の出資比率が10%だったとしても、半分以上の議決権を設定できるのが合同会社の特徴です。合同会社で共同経営をする場合は、定款の設定に注意しましょう。
共同経営をする時は、一人で足りない能力を補たり、責任を分散できたり、一緒に目標を追いかけるパートナーができることなど、自分の足りない能力を補えるというメリットが存在します。経営における重要な意思決定をしなければいけない時に、相談できる相手がいることは心強いです。
役割が曖昧だと意思決定や経営が混乱することがあります。資金の使い方から、重要な経営にかかわる決断を求められた時に、最終的にどうやって決めるのか、どの分野に対しては誰が責任を持つのか、などを明確にしておきましょう。
合同会社設立は株式会社設立と比べて設立費用が安くて済みますので、費用を抑えて会社設立したいという方には向いています。
株式会社について、最後にまとめさせていただきます。
・株式会社で共同経営をする場合
会社に与える影響力は出資した金額の割合になります。たくさん出資をしている=たくさん株を持っている=株主総会での議決権をたくさん持っているという流れです。
(1)議決権の過半数を持つことで普通決議については決定権を持つ
株式会社では過半数の議決権を持つことによって、普通決議と呼ばれる内容については決定権を持つことができます。例えば取締役を誰にするかとか、取締役の報酬はどれぐらいにするかなどはこの普通決議によって決められます。
(2)議決権の3分の2以上を持つことによって特別決議の決定権を持つ
定款の変更や、会社の合併・解散などは特別決議というもので決められます。特別決議は3分の2以上の議決で決まりますので、ここを抑えておけば会社運営上のほとんどの実権を握れると考えてもらえれば大丈夫です。
お互いにある分野のスペシャリストであればなおさら共同経営というかたちを取れば、責任もやる気も倍増できるかもしれません。逆に共同経営だからこそ、利益が凄い出た時や、売上が激減した時には人間の欲深さを垣間見るかもしれません。
事前に仕事の決定事項の責任範囲や、株式や利益に配分については良く話し合っていた方が良さそうです。