起業・経営FAQ:ケータリング店を開業する際に、何から考えればいいですか

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

課題・悩み

都内で軽バンを利用したランチのケータリングを考えていますが、初期費用として最低200万円は必要であることがわかりました。
私のような初心者でも資金を貸与していただける機関はあるのでしょうか?

また、くわしい事業内容も自分の頭の中では整理がついてない状態です。
そんな事も含めて、まず何から始めたら良いかご教示いただければ幸いです。

回答:創業される方はビジネスモデルを具体化したうえで、日本政策金融公庫か自治体の「あっせん融資」の融資制度を利用するといいでしょう。

この質問への回答者

加賀城 剛史(かがじょう たけし) / 合同会社フェニックス経営研究所
特に建設業や製造業の創業アドバイザーとして手腕を振るう加賀城アドバイザー。元職人様でおられた創業者の方とも対等かつ気さくにコミュニケーションが取れると評判のアドバイザーです。時折見せる優しい笑顔が大きな魅力です。

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初めて創業される方でも安心してご紹介できるのは、次の2つです。

1)日本政策金融公庫(昔は国金、などと呼ばれていました)
中小企業の方には、なじみのある金融機関です。質問者様が個人事業主として事業展開されるのであれば、無担保無保証人での融資が可能です。

2)銀行や信用金庫、信用組合が窓口となっている、自治体の「あっせん融資」
金融機関からすると「事業はうまくいくだろうか、条件通りに返済されるだろうか」という観点から、ご面談と書類で審査し、OKとなった場合に貸し出します。

社歴のある企業の融資と違い、創業融資は事業実績がない中で審査をします。
通常では決算書をもとに、これからの受注予定や経営計画で必要な投資や売上の妥当性を見て審査をしますが、創業融資はそれができません。
大きく審査の対象となるのは、

①経歴、創業動機
②ビジネスモデル
③計数計画

の3つです。それぞれ簡単にご説明いたします。

①経歴、創業動機
ケータリング業をなぜ始めようと思ったのか。その目的や5年後、10年後に質問者様のケータリング事業をどう拡大していきたいのかについてです。

②ビジネスモデル
お客様は法人なのか個人なのか。お出しするランチの種類、営業日数、何分で配達するのか、など提供するサービスを、具体的に決めていく必要があります。

③計数計画
必要な資金は妥当なのか。質問者様が見積もられた200万円という額に漏れはないか。無駄はないか。売上から仕入のランチや、輸送費、人件費や水道光熱費などを払って、さらに生活費や、なにより借入の返済ができるか。売上や仕入への支払タイミングを計画して、資金がショートしないで継続的に事業が続けられるか。

という3つの観点です。

次のご質問、「まず何から始めたら良いか」ということでいうと、②のビジネスモデルを具体化することから始めましょう。

ビジネスモデル具体化は、

1)どのようにサービスを展開するのか、業者との関連性を踏まえて確認する
2)商圏を仮決めし、規模を確認する。お客様が、ランチに何を望んでいるかを把握する。
3)競合企業は誰なのか、そして、売れている競合は何を売りにしているのか
4)ケータリング店の他店にない「ウリ」を見つける

というプロセスで考えていくとよいでしょう。

1)どのようにサービスを展開するのか、業者との関連性を踏まえて確認する

ケータリング業は
①食材を仕入れ②質問者様あるいは従業員さんが、ランチを作り③それをお昼時にお客様に運び、お客様が受取り、ランチを食べる④必要に応じて容器を回収する⑤月末に費用請求する、という流れになります。

2)商圏を仮決めし、規模を確認する。お客様がどの程度いるのかを把握する。

車で運ぶのか、バイクか、自転車かによって、商圏が変わってきます。人口統計などからも、商圏規模を確認します。

例えばオフィス街であれば、
○商圏内昼間人口 20000名、ケータリング率を10%、昼食単価800円として、年間の市場は20000人×10%×800円×260日(週5日勤務として)=4億1600万円となります。

3)競合企業は誰なのか、そして、売れている競合は何を売りにしているのか

商圏内の競合企業をネットで検索したり、実際に商圏内を見学したりして、イメージを付けます。競合はケータリング業者とは限らず、昼食を提供するすべての企業となります。商圏内のレストラン、喫茶店、コンビニや弁当屋、宅配サービス(uber eats等)
といった、広い観点で競合企業を探していきます。

実査は非常に重要です。十分な実査をせずに、事業を始めようとされる方が多いです。マイホームを買うのに、内見せずに決める方はいないと思います。商圏が地域密着の範囲内であるケータリング業では、有名なチェーンでも地元密着型でも、商圏内のニーズや競合状況をどこまで細かく知り尽くしているかが勝負を分けます。

4)ケータリング店の他店にない「ウリ」を見つける

競合企業は何がウリか。値段か。デリバリーの時間か。料理の味か。種類の豊富さか。それ以外にも包装の可愛さや、注文締切時間のフレキシブルさ、などウリにしているポイントは、お店それぞれで違います。質問者様の事業では、何を売りにしたらよいだろうか、を考えていくのです。

例えば、スピードや大量発注に答えることを売りにする。と決めたら、

○輸送方法:車
○調理:何時間前にできている必要があるか、できる料理は何か。
○受注タイミング:当日何時までの受注を受けるのか。
○仕入:毎日どの程度の仕入れが必要か。

といった形でサービスを具体的に考えていきます。

具体的項目を考えると、事業をスタートするのに必要な器具、従業員、コストが明らかになっていきます。そうすると、③の計数計画が具体的に立てられます。
同時に①のなぜケータリングをしていきたいのか、を固めていきます。

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