起業・経営FAQ:節税を第1に考える場合、個人事業主・法人どちらの形態がよいのでしょうか?

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

課題・悩み

現在、会社員として働いております。また会社員をしながら副業をしています。

節税のために副業で得た収益を分散させたいなと考えており、妻を代表にして法人を設立してはどうかと計画しています。

しかし、法人を設立すると維持費や税務が複雑になると思います。そこで質問なのですが、節税を第1に考える場合、個人事業主がいいのか法人を設立するのがいいのか教えて欲しいです。

回答:一概には言えませんが、収益が少なければ個人、多ければ法人が良いでしょう。

この質問への回答者

森 滋昭(もり しげあき) / 森公認会計士事務所
誠実な人柄とわかりやすい説明で、多くの起業家や中小企業の資金繰りや資金調達の支援をされている森アドバイザー。資金調達や資金繰りでお悩みの際にお勧めのアドバイザーです。

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法人を設立した場合

(1)会社の維持コスト

個人事業主とくらべて会社の方が、維持コストがかかります。

  • 赤字でも税金7万円がかかる
  • 申告が複雑なため、税理士に依頼しないと申告が難しい

税理士にも寄りますが、20万円以上は見ておいた方が良いかと思います。(もっと安い先もあります)

(2)会社にするべきかどうか?

会社にした場合と個人事業主と比較して、一般的には、売上1千万円、あるいは利益500万円くらいになれば法人化した方が良いと言われています。個人の場合、ご家族や保険の状況などにより納税額が変わるため、売上いくらになれば法人化した方が得と、明確には言えないためです。ただ、売上200-300万円であれば、個人事業主の方が税務上はメリットがあります。先ほど見たような会社にする目的・意義がなければ、個人事業にした方が良いかと思います。

(3)会社にした場合

勤務先に知られたくないなどの理由で法人化した場合、奥様が給与を取ることになります。どのくらいの経費がかかるビジネスかはわかりませんので、いくらくらいの給与を取るべきか、お答えしかねます。ただ、社会保険で、ご主人の扶養からはずれないようにするためには、130万円未満の給与にする必要があります。また、所得税の方で言えば、いわゆる103万円の壁があるため、月額85千円以下の給与にする必要があります。

個人事業主の場合

(1) 事業所得

個人が副業をした場合、税務上「事業所得」と「雑所得」どちらになるのか明確ではありませんでした。昨年、社会的に副業が増えたことから、国税庁としては、きちんと帳簿をつければ事業所得にして良いという判断を示しました。一般的には、事業所得の方が、青色申告特別控除などの税務上のメリットがあります。すでにご提出されているのかもしれませんが、

  • 開業届
  • 青色申告特別控除の申請書
  • 青色専従者の申請書

を税務署にご提出なされば、事業所得として、確定申告をすることになります。

(2) 青色専従者

個人事業主の場合、家族に給与を支払う場合「青色専従者の申請書」を届け出る必要があります。ここで給与を85千円/月以下の設定すれば、社会保険等の扶養に入ったまま、給与を経費として認められます。ただし、青色専従者は、パートが出来ないのでご留意ください。パートをすると、青色専従者として認められなくなります。

(3)赤字の場合

個人でも、会社でも経費が認められます。大きな違いは、すでにご説明したご家族の給与です。個人の方が、交際費に対して厳しいといわれているなど、多少の差はありますが、基本的には同じように経費が認められています。ただし、個人で事業所得の場合、赤字になれば、損失を給与所得と相殺(損益通算)できます。結果として、本業の収入の節税になります。ただ、本業の給与の税金を減らすために、わざと赤字の副業をする方がいて、懲罰的に税務調査をする場合もあるようですので、ご留意ください。

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