起業・経営FAQ:支払い遅延などがある状況で銀行で融資してもらえる可能性は?

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

課題・悩み

現在私は、公庫ではなく銀行での融資を検討しております。
以下の場合、融資していただくのは難しくなるものでしょうか?

・税金の支払いが遅れている
※売上が安定しないこともあり、一時支払いができずにいました。現在は支払いが遅れてはいるものの毎月支払いをしております。

・会社は厚生年金に入っていない
※売上が安定しないため、厚生年金にできずにいます(法律上、そうしなければならないのは重々承知していますが現状難しい)

・会社としては、法人税の滞納はない
私個人の支払いが遅れていたり、過去に支払いができていなかったことが気になります。
こういったケースでは融資はほぼ無理になるものでしょうか?

回答:企業が好決算をされているならば、金融機関での申し込みをおすすめします。

この質問への回答者

多胡 藤夫(たご ふじお) / V-spirits
元日本政策金融公庫の支店長まで務めた多胡アドバイザー。公庫で資金調達をお考えの方はまず相談しましょう。疑問を解消し、融資を受けるノウハウを手に入れることが出来ます。

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今回のご相談について結論から申し上げますと、今までに金融機関での借入実績がなく、企業が増収、増益で好決算をされているならば、金融機関でのお申込みをおすすめします。

●金融機関の融資について
金融機関は、赤字企業、自己資本のマイナス企業への融資を非常に嫌います。自己資本が厚いとか取引先が優良・大手である場合は、一時的、一過性の赤字であっても思い切って融資に踏み込みます。これは、取引実績があることが前提です。初めての取引で、赤字であるならば、民間金融機関を避けた方がいいでしょう。効率が悪いと思われます。

●税金の支払いの遅れと厚生年金について
この点と厚生年金について、法人と個人を区別して考えていきましょう。
法人で申込をされた場合、法人での諸支払いの確認をします。家賃、諸税(源泉税、法人税、消費税等)、銀行の支払引落し状況を確認します。代表者個人の個人情報で不良があれば、取扱いできませんが、個人の税金は別にそこでは追及されていません。もし、そのことで問われることがあれば、当局との話合いや支払状況を説明すればいいでしょう。

あと一点、厚生年金については、従業員が5人以上いる場合に、加入していない理由が明確であれば、加入が望ましいですが、未加入だから融資できないということではありません。従業員が5人以下ならば、当然不問です。(加入については、厳しく勧誘されているとは思いますが)

まずは公庫か、商工会議所中小企業相談所での相談をお勧めします。とくに、商工会議所のマル経融資(日本公庫の融資制度)を申請されることをお勧めします。これは、商工会議所会員になり、指導員から6ヶ月以上経営指導を受けていることが前提条件です。しかし、特例で短期の指導でも融資対象者となります。しかも、代表者個人の資産や支払状況の把握は公庫よりも緩いです。(商工会議所の加入は15,000円~、年会費3,000円)

厚生年金に関連して不足説明をしますと、商工会議所会員になると、中小企業退職金共済制度に加入ができ、従業員の退職金や年金の為の積立もできるようになります。(経費算入も可能)

次に、日本政策金融公庫では、申込をされると、審査の段階で法人・個人含めて資産・負債をお聞きすることになります。このとき、個人の信用情報が不良であるとなかなか先に進めません。個人の税金については、課税時期からどの様な理由で分割になっているのか、今後の見通しが妥当か問われます。税には、先取特権があるため重要なことです。公庫の場合、少々の赤字や自己資本のマイナスでも、総合的に維持力(実質自己資本:法人と個人の資産合計から負債を差引いた残りの財産)や今後の見通しが妥当であれば、融資の道はあります。民間金融機関は、この点は収益にこだわることが多いです。

●補助金・助成金の活用について
補助金・助成金の活用も検討の1つに加えてください。これは、資金使途が限られますが、補助金・助成金であり、返済義務がありません。必要資金の三分の二や二分の一が支給されます。申請には、色々と手続きが必要ですが。この業務を得意としたアドバイザーを通じ申込まれることをお勧めします。
それぞれに、一長一短があります。資金使途、必要金額、返済期間等により、借入先を選択することも考えられます。総合的にどれが妥当か、アドバイザーに相談して、進めていくことも一策でしょう。


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