今年も年末調整の季節がやってきました。事業者の皆様においても、従業員を雇用している場合や、代表が法人役員の場合などに、各スタッフや役員の年間の給与所得について税額を確定し、税務署への還付額や各スタッフへの還付額を計算することになります。
今回は、令和6年の年末調整に関係する改正事項と、近年間違えやすい留意事項についてまとめてみました。
- 目次 -
定額減税の計算
令和6年6月より定額減税の適用計算が始まり、一定の所得内の場合に一人当たり所得税3万円+扶養人数×3万円の税額控除ができるようになりました。そのため、6月支給の給与より給与明細において所得税の減税処理がはじまっているケースが多いと思いますが、この減税額について、最後年末調整でトータルの給与額から、減税額のトータル額を控除する計算を行うことになります。
6月の支給額から控除しきれなかった減税額がある場合、この年末調整時に追加で減税計算されることになります。当該計算自体は各会社の年末調整担当者が行うことになりますので、当事者としては年間の納税額が少なくなるというイメージ程度で問題ないかと思います。
年末調整の計算をする当事者様は、定額減税を踏まえた新しい計算方法に注意して手続きが必要です。
細かいお話しになりますが、事業者様においては、納期の特例にて7-12月分の給与に係る源泉所得税の納付が1/20にまとめて行われる予定の場合、今回の定額減税により納付額は相対的に少なくなる予定となります。
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「令和6年分給与所得者の保険料控除申告書」と「令和7年分給与所得者の扶養控除申告書等申告書」の簡素化
各スタッフ、役員が年末調整における記載書類の中で、「令和6年分給与所得者の保険料控除申告書」と「令和7年分給与所得者の扶養控除申告書等申告書」の様式が簡素化されております。
具体的には、「令和6年分給与所得者の保険料控除申告書」については、各生命保険料や社会保険料、地震保険料の支払や受取人に係る「続柄」の欄が無くなったため、記入の手間が少なくなりました。
また「令和7年分給与所得者の扶養控除申告書等申告書」については、前年の申告内容から記載すべき事項に変更がない場合、異動がない旨を記載した申告書(簡易な申告書)を提出することができるようになっております。
引用:国税庁HP
https://www.nta.go.jp/users/gensen/nencho_shorui/pdf/01.pdf
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/2025bun_02-2.pdf
留意事項
その他、近年間違えやすい留意事項です。
ふるさと納税は年末調整できる?
ふるさと納税についての寄付金控除は、年末調整では適用させることができません。その年12月31日までの寄付金額の総額が確定しないと控除額が確定できないという考え方からです。なおこの理屈は医療費控除にも当てはまります。
しかしながら、10年ほど前より、ふるさと納税時に申請書を提出するワンストップ特例という制度で確定申告を行わずに寄付金控除を受ける制度がありますので、手間を軽減したい場合は活用ください。
医療費控除は領収書の提出は必須か?
医療費控除については、前述の通りふるさと納税同様年末調整では適用できない控除制度です。確定申告にて控除を受けることになりますが、令和2年からの改正により、従来まで医療費の領収書の提出が必要だったのが、医療費の明細書の提出のみで可能となりました。対象の領収書はご本人様にて保管することになっております。
このように、年末調整制度も都度改正を繰り返しているので、最新の情報を確認しながら間違えのない税額計算をお願いいたします。
ご不明なことがありましたらメール相談等でご相談くださいませ。
執筆者プロフィール:ドリームゲートアドバイザー 加賀谷豪(税理士、ファイナンシャルプランナー)税理士加賀谷豪事務所
1981年 北海道札幌市生まれ
同志社大学卒業後、税理士事務所業界経験12年の内、起業者の税務顧問をメインとして携わる中で、より起業支援に特化した研修、勉強会などのサービス提供を目的として、平成26年に株式会社ピクシスを設立。マーケティング戦略・ネット集客に係るプランニングにより、売上のビジョンを明確化するという目的と、それによる充実した事業計画を作成活用することで、融資対策につながるご提案を目的とした起業者向け勉強会を継続的に行っている。平成28年に税理士登録とともに、税理士法人アクシオンを設立
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