東京商工リサーチの調査では、全国の女性社長数が2010年では約21万人だったのに対し2016年では約37万人と、約1.8倍に増加するという結果で、確実に女性の起業意識が高まっています。
しかし、中にはまだ起業という夢を胸に秘めたまま「子育ての最中で」「家事があるし」「仕事を辞めて起業するのは不安」とさまざまなライフステージの中で一歩を踏み出せずにいる女性や、家族の反対にあって悩んでいる女性が多いのも現状です。
われわれドリームゲートにもそのような女性からの相談が多く寄せられています。
このコラムでは最近の女性起業家に関するトレンドを紐解くとともに、これから起業したいという女性を後押しすべく、家族の説得方法や、女性起業に役立つ助成金や補助金などについて説明します。
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女性は小さくはじめて少しずつ大きなビジネスにする方が多い
女性の起業は男性と比べて、多額の融資を借りてビジネスを始めるようなリスクを背負う形ではなく、小さく自分でやっていける範囲でビジネスを始めるローリスク起業の傾向にあります。
このローリスク起業は、女性ならではのさまざまなライフステージで起業を考えている方に向いています。
自分のライフスタイルに合わせることができる
女性は子育てや家事・介護など、仕事だけではなくやることがたくさんあります。最初から融資を借りて起業というよりは、子育てや家事と両立できる範囲のビジネスプランをたてるローリスク起業が負担も少なく始めやすいでしょう。
自分の得意分野で楽しみながら起業ができる
例えば、英語が堪能な人は自宅で週1回でも英会話教室をするのもローリスクで始められる女性の起業の1つです。子育てや家事の合間をみて、自分の得意分野をできる範囲でビジネスに繋げることで、楽しみながらビジネスを始めることができます。
経済的自立を目指し、起業という選択
非正規雇用のまま働いていることに不安を覚えている、キャリアを築くことができず収入が少なく生活が苦しい、人生100年時代と言われる昨今に今の仕事を長く続けていける自信がない・・・そんな女性が起業を目指すというパターンも珍しくありません。この場合も小さく始めて徐々に大きなビジネスへと発展する方が多いです。
女性の起業にはまだまだ不安なことがあると思いますがこのドリームゲートのコラムもぜひ1度目を通してみてください。「女性の起業」について書かれているので参考になるでしょう。
「女性起業のやり方は「手堅さ」が際立つ。経済的自立を目指す女性たちの選択と共通する想いとは?」
女性だからこその視点や優位性をもった起業ジャンルがある
いざ「起業」という形態に興味を持っても、何を始めたらいいのかわからない・・という方も多いはず。しかし女性の起業には女性ならではの利点がたくさんあります。「女性」を活かした起業家が始めやすいジャンルは次のようなものがあります。
子育てや介護の経験を活かす
経験したからこそ分かる、子育てや介護の悩み。多くの女性が経験するこれらの悩みに目を向けるのも良いでしょう。子育てや介護のときに「こういうものがあると助かるな~。」「こんなサービスあったらいいのに。」と感じたものをテーマに起業して成功した女性起業家も世の中にはたくさんいます。
きれいになりたい女性の心をつかむ美容系
美容系ジャンルの顧客はやはり女性が圧倒的に多いため、美容関係の業態は女性目線で運営できるかが成功のカギになります。
- ネイリスト・アイリスト
- エステシャン
- アロマセラピスト
これらの美容系のジャンルは同性同士の方がお客さんも話しやすいです。またこのようなジャンルは独身女性の方はもちろん、家事や子育てがあり家を長時間空けられない方でも、部屋の一室や少しのスペースがあれば起業することができるので挑戦しやすいでしょう。
インターネットを活用して起業
インターネットを活用した起業も女性が始めやすい起業の1つです。パソコン1台あればすぐに起業することができ、場所も時間も選ぶ必要がありません。
- 自分のセンスを活かしたネットショップを開く
- WEBデザイナーとして仕事を受注
- ブログを運営して広告収入を得る
こちらの記事ではスマホひとつで手軽にできる起業について具体的に説明しています。こちらもあわせてご覧ください。
「プチ起業はスマホで気軽に始めよう!すぐにできるネタをご紹介」
自分の得意なことや経験で起業
自分がすでに持っているスキルや専門分野の知識、他にも自分の趣味を活かして起業するのも良いでしょう。
- 得意な料理を活かして料理教室講師
- ぬいぐるみが大好きでぬいぐるみカフェ
- 自分のダイエット成功例を宣伝してダイエットアドバイザー
このような「これには自信がある!」「私はこれが好き」「こんな経験をしたことがある」というものがあれば、それを起業につなげるのも1つの手です。
女性が起業するには家族の理解と協力が不可欠
家族を持つ女性が超えなければいけない壁は「家族の存在」です。「起業をする」と言って、何の反対もなしに賛成されることはなかなかないでしょう。「女性は家で家事をする」という考え方が薄れたにしろ、まだまだ家族がいる女性が新しくビジネスを始めることに理解を得にくい世の中です。
最初に反対されるのは想定内
理解を得るためにはまずはきちんと家族に気持ちを話してみましょう。最初は反対されるかもしれませんが、それは想定内です。そこでくじけずに、しっかりとしたビジネスプランと熱意を伝えましょう。家族の理解と協力が女性起業家の成功には必須です。
こちらのドリームゲートの記事には、起業を考える女性が家族の理解を得るためのステップを紹介しています。まだ話せていない方や理解を得られずに悩んでいる方は、この記事に書かれていることを参考にしてみてください。
人脈を活かすのが女性起業の成功のポイント
女性の起業に限らず、起業の成功には必ず人との繋がりが重要になってきます。特に幅広い人脈作りは起業後の手助けになります。もし現時点で人脈がない、という場合には次を参考にしてみてください。
人脈づくりにはセミナーや交流会を活用しよう
まずは積極的にセミナーや交流会に参加することをおすすめします。時間が空いているときにでも起業検討中の方向けのセミナーに参加してみましょう。また、自分が起業したいジャンルが決まっているなら、そのジャンルでのセミナーを探してみるのも良いでしょう。講師の方の話を聞くだけではなく、セミナー参加者とも積極的に交流することをお勧めします。
業界の団体や商工会議所に加入する
何で起業をするのか決まっている方は、その業界の団体があれば加入してみましょう。他にも地域の商工会議所や商店街の組合を活用してみるのもお勧めです。地域の経営者や個人事業主として働いている方が集まる場なので交流する良い機会になります。
SNSでつながろう
FacebookやInstagram、TwitterなどのSNSを上手に利用することで人脈を広げることができます。最近の起業家は女性に限らずSNSを活用しているという特徴があります。
SNS上で交流会が行われていたり、他の起業家が発信していることがビジネスのヒントになったりもします。
インターネットを活用してブランディングをしよう
ブランディングとは価値のあるブランドをつくる取り組みのことです。競合との差別化を明確にするためにも、ブランディングは必須です。
起業した際には、自分のお店のWebサイトを作成すると思います。そのWebサイトを見たお客さんが自分のお店をきちんと理解し興味を持ってもらえるように効果的なブランディングを行いましょう。
まずは簡単にブランディングに必要な要素についてご紹介します。
ブランディングに必要な要素
①「誰が、誰に、何を、どうやって伝えるか」を決めよう
これらを総称すると「コンセプト」になります。自分のお店の価値を作り出すためにはこれらのコンセプトがはっきりさせる必要があります。起業前に綿密に時間をかけて考えておきましょう。
②「誰に」の部分をきちんと明確にしよう
どの年代をターゲットに商品やサービスを提供したいのか、「ターゲットを」を明確にしておきましょう。ターゲットが定まっていないと、お客さんにお店の価値を正確に伝えることはできません。
これらを決めたら、それをホームページ上に埋め込んでいきましょう。
ホームページでやること
①キャッチコピーで自分を表してみよう
コンセプトとターゲットが明確になったら、それに合わせたキャッチコピーを作るのもお勧めです。例えば「リバウンドで〇kg超え、もう繰り返さない-10kgキープのダイエットアドバイザー」だと、ダイエットに失敗している方、続けられない方をターゲットに自分が痩せてキープを実現させることができる人だということを明確に伝えることができます。
②サービスの内容が伝わる写真を入れよう
文章だけでできあがったホームページよりも、写真があれば一発で自分がどんな人物で、どのようなサービスを提供しているのか伝えることが出来ます。仕事中の写真やお客さんとの写真、1つくらいは自分の趣味の写真など、写真から親近感がわくようなものをサイト上に入れると良いでしょう。
③ブログでコンスタントに情報発信しよう
ホームページはいちど作ったらそれで終わりではありません。運用してこそ、活用できていくものです。ホームページにブログの機能をつけて、コンスタントに情報発信していきましょう。SEO対策にもつながり、集客できるホームページへと成長させることができます。ホームページを「ワードプレス」で構築するとブログ機能をつけることができます。ワードプレスのホームページは自身でも構築することができる、便利なツールです。
女性の起業に役立つ助成金や補助金
女性の社会進出が進む中、女性の起業に向けた支援制度も整ってきました。
補助金や助成金は、起業する地域によっても変わってきます。最近では、女性起業家を支援する地域も増えているので、起業する地域の補助金や助成金を調べてみてください。しかし、補助金や助成金は融資とは違い、後払いになるので注意が必要です。
女性が起業時に使える補助金の例
①創業補助金
この補助金は経済産業省が行っている補助金です。申請し、審査に通ると最大200万円の補助金が支給されます。この対象者は創業補助金募集以降に創業する人です。また従業員を1名以上採用する必要があります。この補助金として認められるのは、「店舗賃借料」「設備費」「人件費」などで、「水道光熱費」や「消耗品費」などは認められません。この申請に必要となるのが「認定支援機関の確認書」になります。申請期間は毎年変わるのできちんと確認する必要があります。
②小規模事業者持続化補助金
商工会議所の管轄内で事業を営んでいる小規模の会社を起業する人に対して支給される補助金です。補助金は補助率3分の2で、上限50万円の補助金が支給されます。また対象は、「地道な販路開拓等の取組」または「業務効率化(生産性向上)の取組」を行っている事業です。期限が定められているので、きちんと確認しておくようにしましょう。
女性が起業時に使える助成金の例
①若手・女性リーダー応援プログラム助成事業
この助成金は公益財団東京都中小企業振興公社が行っている支援制度です。東京都内に限られてしまい、場所も商店街に限られてしまいますが、店舗整備費用や実務研修費用など最大730万円もの費用が支給されます。
②起業支援助成金
これも兵庫県に限られますが、女性などに向けた支援制度です。審査に通れば上限100万円が支給されます。
まとめ
結婚や出産、子育てなど女性にはさまざまなライフステージがあります。どのライフステージでも「起業をしたい」と思ったら、自分に合ったビジネスプランを立てれば女性も起業をすることができます。そこには家族の理解や協力はもちろん必要になります。「子育てがあるから」、「家事があるから」と女性ならではの環境で起業の夢を諦めるのではなく、自分に合ったローリスク起業で女性起業家を目指しましょう!
また、ドリームゲートにはさまざまな女性起業家の方のインタビューの内容が紹介されています!こちらも大いに参考になるのでぜひ読んでみてください。
https://www.dreamgate.gr.jp/dg_news_list?st=7