公益財団法人東京都中小企業振興公社のTOKYO戦略的イノベーション促進事業を紹介します。TOKYO戦略的イノベーション促進事業は、都内の中小企業やスタートアップ企業などを対象に、研究開発費用の一部を助成する制度です。助成額は3年間で最大8,000万円になり、助成金のため返済不要となっています。
申請エントリー期限である2023年8月8日が迫っていますので、関心のある企業の経営者や個人事業主は対応を急ぎましょう。
- 目次 -
TOKYO戦略的イノベーション促進事業の概略とスケジュール
まずはTOKYO戦略的イノベーション促進事業(以下、本助成金)の全体像を把握するため、その概略とスケジュールを紹介します。なお、詳細な解説は後段にて説明します。
本助成金のポイントは5つ
本助成金のポイントは以下の5点です。
- 対象は都内の中小企業とスタートアップなど
- 助成額(補助額)の上限は8,000万円で、補助率は2/3以内
- 助成金の対象となる事業は、イノベーションマップに掲げられた開発支援テーマに合致した技術・製品の研究開発
- ほかの企業、大学、公設試験研究機関などと連携している
- 早期の事業化を目指している
イノベーションマップと開発支援テーマについては、のちほど説明します。
スケジュール~事実上の締切日は8月8日
本助成金の申請提出期間は2023年8月10日~8月30日となっています。しかし、事前に申請エントリーをおこなう必要があり、日程は以下のとおりです。
●申請エントリーの期間:2023年6月30日~8月8日
したがって8月8日が事実上の締切日である、と認識して手続きを進めることをおすすめします。申請エントリーと申請の違いについては、後段の「申請の流れ」の章で紹介します。
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どの事業者が対象になるのか
本助成金は対象となる事業者をかなり絞り込んでいるため、その要件を解説します。どの事業者が対象になるのかみていきましょう。
開発支援テーマに合致した研究開発をしている事業者
本助成金の対象になるための第1条件は、イノベーションマップに掲げられた開発支援テーマについて研究開発をおこなっている事業者であることです。
イノベーションマップとは、「次代の都内産業の礎となる技術の創出を目指して、大都市・東京が抱える課題の解決に役立ち、国内外において市場の拡大が期待される産業分野への都内中小企業や都内スタートアップの参入を促進するための指針」であり、東京都が策定しています。
イノベーションマップに掲げられた開発支援テーマは、以下の9項目になります。
■開発支援テーマ
- 防災・減災・災害復旧
- インフラメンテナンス
- 安全・安心の確保
- スポーツ振興・障碍者スポーツ
- 子育て・高齢者・障害者などの支援
- 医療・健康
- 環境・エネルギー・節電
- 国際的な観光・金融都市の実現
- 交通・物流・サプライチェーン
令和5年度TOKYO戦略的イノベーション促進事業募集要項
概要版 より抜粋
本助成金の対象になる事業者は、上記9項目のいずれかの領域でビジネスを展開している都内の中小企業やスタートアップなどになります。ただし、そのほかにも条件があるので紹介します。
法人、個人事業主、創業予定者のいずれか
本助成金の対象となる事業者の第2条件は、法人、個人事業者、創業予定者のいずれかであることです。先ほどから「中小企業やスタートアップなど」と表記してきましたが、具体的な事業者がこの3者(法人、個人事業者、創業予定者)になります。
なお、次の法人や組合などは助成対象外であるため、注意してください。
- 社会福祉法人
- 医療法人
- 特定非営利活動法人
- 一般社団・財団法人
- 学校法人
- 有限責任事業組合(LLP)
続いて、本助成金の対象となる3者(法人、個人事業者、創業予定者)の詳細を紹介します。
本助成金の対象となる法人とは
本助成金の対象となる法人は、基準日(2023年8月1日、以下同じ)に以下のAまたはBの要件をクリアしている事業者です。
要件A
- 中小企業であり、設立から1年以上の法人
- 都内に登記簿上の本店または支店がある
- 都内の事業所で1年以上事業をおこなっている
要件B
- 中小企業であり、設立から1年未満の法人(未決算法人)
- 都内に登記簿上の本店または支店がある
- 都内で創業し事業期間が1年未満
本助成金の対象となる個人事業者とは
本助成金の対象となる個人事業者は、基準日に以下の要件をクリアしている事業者です。
- 中小企業である個人事業者
- 都内に開業届出がある
- 都内の事業所で実質的に1年以上事業をおこなっている、または、都内で創業して事業期間が1年未満
「中小企業である個人事業者」はあまり聞き慣れない言葉だと思います。中小企業である個人事業者とは、一定の業種で従業員数などの要件を満たした個人事業者を指します。
本助成金の対象となる創業予定者とは
本助成金の対象となる創業予定者は、基準日に以下の要件をクリアしている事業者です。
- 都内での創業を具体的に計画している
- 本助成金の交付決定後速やかに登記簿謄本(履歴事項全部証明書)または都内税務署に提出した個人事業の開業届出の写しを提出できる
どの研究開発が対象となり、どの経費が助成されるのか
本助成金の助成対象は、中小企業やスタートアップなどが研究開発をおこなう際の経費の一部です。では、研究開発とはどのような取り組みなのでしょうか。また、経費とは何を指すのでしょうか。次項から解説をおこないます。
審査内容にマッチする研究開発
研究開発については、「この行為をすれば研究開発とみなす」といった説明はありません。したがって「どの研究開発が助成の対象となるのか」の質問の回答としては「先ほど紹介した9つの開発支援テーマに関する研究開発」となるでしょう。
ただし、審査内容については公表されており、参考とすることが可能です。以下に紹介する審査内容にマッチする研究開発であれば、審査に通過しやすくなると考えることができるでしょう。
審査内容
技術審査の項目は次のとおりです。
- イノベーションマップとの適合性
- 新規性(従来技術にない新しい開発要素など)
- 優秀性(従来技術に対する優位性など)
- 市場性(市場動向、ニーズの把握、販売見込みなど)
- 実現性(技術的能力、社内外体制など)
- 計画の妥当性(事業計画や資金計画の適切性など)
なお、審査では経理面も対象となり、財務内容、事業予算、資金確保状況がチェックされます。
助成対象となる経費か
「どの経費が助成されるのか」については、くわしく説明されているので紹介します。
助成対象となる経費
●原材料・副資材費
直接使用し消費される原料、材料、副資材の購入に要する経費(特注品は「委託・外注費」に該当)
●機械装置・工具器具費
機械装置・工具器具の購入、リース、レンタル、据え付けの経費(サーバやソフトウェアも対象)
●委託・外注費
委託費、外注費、共同研究費、試作品などの運搬委託費、ユーザーテスト費
●専門家指導費
外部の専門家などからの技術指導費、外部の専門家への技術相談費
●直接人件費
研究開発に直接従事した主な社員の人件費、統括管理者の人件費
●規格等認証・登録費
開発品の規格適合、認証の審査・登録経費、規格等認証・登録に係る外部専門家の技術指導、研修経費、薬事承認申請のための臨床・非臨床試験経費
●産業財産権出願・導入費
開発した製品の特許・実用新案などに関する調査、出願、審査請求に要する経費、特許・実用新案などをほかの事業者から譲渡または実施許諾を受けた経費
●展示会などへの参加費
出展小間料、資材費、輸送費、通訳・翻訳費
●広告費
広告物の製作に要する経費、広告の掲載に要する経費
研究開発をおこなう際に上記の経費が発生した場合、本助成金で助成されるしくみです。
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申請の流れ~申請エントリーしてから電子申請へ
申請の流れと、申請エントリーと申請の違いについて紹介します。
申請エントリーから助成金の支払いまでの段取り
本助成金の申請の流れは以下のとおりです。
●申請エントリー(2023年6月30日~8月8日)
↓
●申請書などを提出し申請(2023年8月10日~8月30日)
↓
●助成対象者の決定(2024年3月上旬)
↓
●事業(研究開発)の実施(2024年1月1日~最長2026年12月31日)
↓
●事業の完了報告
↓
●完了検査の実施
↓
●助成金の確定通知
↓
●助成金の請求
↓
●助成金の支払い
助成金は、対象事業の研究開発をおこなったあとに支払われる後払いの形式になります。そのため、まずは自己資金や融資で得た資金などで研究開発をおこなう必要があります。なお、「申請書など」については後段で紹介します。
申請エントリーと申請の違い
上記の申請の流れに「申請エントリー」と「申請」がありますが、両者は異なる手続きです。混同しやすい手続きのため、わけて解説します。
申請者(中小企業やスタートアップなど)が最初におこなうことは、GビズIDと呼ばれるコンピュータ・システムでアカウント「gBizIDプライム」を取得することです。gBizIDプライムを取得したのちに、申請エントリーをおこなうのですが、申請エントリーには、事前のネットクラブ会員への登録が必要です。
申請エントリーで必要なのは、必要事項の登録だけです。ここまでが「申請エントリー」の手続きとなります。
申請エントリーが終わったら、申請書をダウンロードできます。申請書に必要事項を記載して、添付書類とともに「Jグランツ」と呼ばれるコンピュータ・システムで申請をおこないます。この手続きが「申請」です。
申請書など~添付書類の紹介と各種計画
申請時に必要になる添付書類は、申請者(中小企業やスタートアップなど)の属性(法人、個人事業者、創業予定者)によって異なります。必要となる添付書類は、以下のとおりです。
法人(設立1年以上)が申請するときに必要になる添付書類
- 申請書(実施計画、資金計画を含む)
- 補足説明資料(企画書、仕様書など)
- 特許・実用新案などの証拠書類の写し
- 見積書の写し
- 関心表明書
- 申請前確認書
- 申請にかかる誓約書
- 事業成果の広報活動について
- 確定申告書の写し(直近2期分)
- 登記簿謄本原本(履歴事項全部証明書)
- 法人事業税と法人都民税の納税証明書原本
- 社歴書または経歴書
法人(設立1年未満)が申請するときに必要になる添付書類
- 申請書(実施計画、資金計画を含む)
- 補足説明資料(企画書、仕様書など)
- 特許・実用新案などの証拠書類の写し
- 見積書の写し
- 関心表明書
- 申請前確認書
- 申請にかかる誓約書
- 事業成果の広報活動について
- 代表者直近の源泉徴収票原本
- 資金繰り表
- 助成事業(研究開発)を遂行できる資金保有の裏づけ書類
- 登記簿謄本原本(履歴事項全部証明書)
- 代表者の所得税納税証明書その1原本
- 代表者の住民税納税証明書原本
- 社歴書または経歴書
個人事業者が申請するときに必要になる添付書類
- 申請書(実施計画、資金計画を含む)
- 補足説明資料(企画書、仕様書など)
- 特許・実用新案などの証拠書類の写し
- 見積書の写し
- 関心表明書
- 申請前確認書
- 申請にかかる誓約書
- 事業成果の広報活動について
- 確定申告書の写し
- 開業届の写し
- 代表者の所得税納税証明書その1原本
- 代表者の住民税納税証明書原本
- 代表者の経歴書
創業予定者が申請するときに必要になる添付書類
- 申請書(実施計画、資金計画を含む)
- 補足説明資料(企画書、仕様書など)
- 特許・実用新案などの証拠書類の写し
- 見積書の写し
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- 代表者の経歴書
申請書(実施計画、資金計画を含む)について
申請書には申請者の概要を記すだけでなく、各種計画を盛りこむ必要があります。申請書の内容は以下のとおりです。
●申請者概要
●事業説明
研究開発の概要、技術の特徴、市場投入計画、達成目標など
●事業実施計画
スケジュール、資金計画など
各種計画の作成は、慣れていない事業者だと難航するかもしれません。しかし、審査では各種計画の充実度や実現可能性がチェックされるので、しっかりつくりこむ必要があります。
各種計画の作成は、本助成金の対象となるための大きな壁になるでしょう。そこで頼りになるのが、ドリームゲートの専門家です。
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「TOKYO戦略的イノベーション促進事業」は、補助上限額が8,000万円と高額です。そのため、研究開発のための資金繰りを検討している都内の中小企業やスタートアップなどの経営者には、魅力的に映るのではないでしょうか。
本助成金に関心を持つ都内の経営者には、ドリームゲートの専門家への相談をおすすめします。ドリームゲートには、本助成金に精通した「助成金や補助金の専門家」が多数在籍しています。初回のメール相談は無料なため、お気軽にご利用ください。
執筆者プロフィール:ドリームゲート事務局
ドリームゲートは経済産業省の後援を受けて2003年4月に発足した日本最大級の起業支援プラットフォームです。
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