飲食店を開業したいけれど、一体どれぐらい資金がかかるのか分からないという方は少なくないでしょう。また融資で資金調達をする場合も自己資金がどれぐらい必要なのか知りたいでしょう。
そこで今回は飲食店の開業について、必要な開業資金の目安から利用できる補助金・助成金、融資などを一挙に説明していきます。
- 目次 -
飲食店の開業にかかる資金はどのくらい?自己資金ゼロでも開業できる?
よく「自己資金ゼロで飲食店開業」といううたい文句を見ますが、本当にそんなことが可能なのでしょうか?結論から言うと、自己資金ゼロでの開業はとてもむずかしいです。
融資で資金を調達するなら、現実的には目標額の1/3~1/2は自己資金で用意する必要があります。以下にて、詳しく見ていきます。
データから見る、飲食店開業にかかるコスト
実際に飲食店を開業した人が、どのぐらいの自己資金を用意し、どのぐらいの運転資金がかかっているのでしょうか。ドリームゲート「開業レポート2013年改訂版 アンケート調査より」によると、次のとおりです。
平均従業員数 | 5.05人 |
平均年間売上高 | 2322.27万円 |
平均営業利益 | 303.06万円(年) |
平均運転資金 | 155.09万円(月) |
平均手持ち資金 | 733.65万円 |
運転資金は月に150万円以上かかり、また自己資金は平均733万円用意して開業したことがわかります。
開業資金はお店の規模や場所によっても変わる
当然ですが、開業資金はお店に関する条件を変えると大きく変わります。お店が大きい規模になればそれだけ必要な資金は大きくなります。また、開業する場所は田舎より都会の方が必要な資金は大きくなります。
東京都内で開業する場合はどれぐらいかかる?
都内で普通規模の飲食店を開業する場合は1,000万以上かかると考えておくべきです。この内訳としては、内装及び厨房機器+不動産の取得費+食器類等の消耗品+運転資金(2ヶ月)です。
運転資金に余裕を持たせる場合や内装などを充実させる場合は1,500万円程度かかるようなケースもあるでしょう。
小規模店舗の場合はどれぐらいかかる?
普通より小規模の飲食店でも700万円ほどかかることを覚悟しておくべきです。
自己資金ゼロでの開業は限りなく不可能に近い
飲食店を開業するにあたり、不動産の契約金額である保証金、仲介手数料、礼金、前家賃は自己資金で賄わなければなりません。そのため、自己資金ゼロでの開業は限りなく不可能に近いと考えておいてください。
開業してからのランニング・コストも必要!
自己資金は全て飲食店の開業資金になるというわけではありません。自己資金は開業資金にあてるだけでなく、約2か月の運転資金にもあてなければならないからです。
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運転資金の内訳は?
運転資金は、以下の数値を目安として考えておいてください。
- 家賃・・・飲食店の家賃の相場は売上の約10%が適正であると言われています。月の売り上げが150~200万円だと考えると家賃は約15~20万程度です。
- 光熱費・・・飲食店の光熱費の相場は売上の約10%が適正であると言われています。月の売り上げが150~200万円だと考えると、光熱費は約15~20万円です。
- 材料費・・・飲食店の材料費の相場は売上の約30%ぐらいであると言われています(これは何の飲食店かによっても大きく異なりますので目安です)。月の売り上げが150~200万円だと考えると、材料費は約45~60万円です。
- 人件費・・・飲食店の人件費の相場は売上の約30%が適正であると言われています。月の売り上げが150~200万円だと考えると人件費は約45~60万程度です。
このようにして考えると、1か月売上の約80%程度が1か月の運転資金です。月の売り上げが150~200万円だと考えると、約120万円~160万円です。そのため、理想で言えば、開業資金のうち、運転資金として250万~300万程度はほしいところです。
自己資金を最大限に抑えて起業したいならフランチャイズという選択肢もある
飲食店の開業には、フランチャイズという選択肢もあります。フランチャイズなら、自己資金を最大限おさえられます。かなり少ない資金で開業できるケースもあるようです。
飲食店を開業する際の資金調達方法を紹介!
飲食店を開業する際の資金調達方法としては、大きく分けて、補助金・助成金、融資、クラウドファンディングの3つが考えられます。
補助金・助成金には返済義務はありません。金融機関からの借り入れとは異なり、国や自治体から貰えるものです。
融資は、基本的には、日本政策金融公庫や信用保証協会に申し込んで行う借金です。クラウドファンディングは、インターネットを介して資金調達を募る仕組みのことです。
以下にてこれらを具体的に見ていきましょう。
飲食店開業で受けられる可能性のある補助金・助成金は?
ここでは飲食店の開業にあたり受けられる可能性がある補助金・助成金について触れていきます。
ただし補助金や助成金は使う(使った)金額のすべてが賄えるものは少なく、また後払いのものもありますので、創業時に使うには注意が必要です。
地域創造的起業補助金とは
「地域創造的起業補助金」は、新たな需要や雇用の創出等を促し、我が国経済を活性化させることを目的に、新たに創業する者に対して創業に要する経費の一部を助成してもらえるものです。
次のような条件があります。
- 事業実施完了日までに、従業員を新たに1名以上雇わなければなりません。
- 産業競争力強化法に基づく認定市区町村又は認定連携創業支援事業者による認定特定創業支援事業の支援を受ける必要があります。
- 産業競争力強化法に基づく認定市区町村での創業のみを対象とします。
※現在は募集が終了しているので再開までお待ちください。
小規模事業者持続化補助金とは?
小規模事業者持続化補助金は、持続的な経営に向けた経営計画に基づく、小規模事業者等の地道な販路開拓等の取り組みや、あわせて行う業務効率化の取組を支援するため、それに要する経費の一部を補助するものです。
出典:https://r1.jizokukahojokin.info/
次のような条件があります。
- 従業員は5人以下
- 事前に最寄りの商工会議所で事業支援計画書を作成・交付してもらうことが必要
キャリアアップ助成金とは?
出典:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html
「キャリアアップ助成金」は、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といった、いわゆる非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成する制度です。
出典:https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000616643.pdf
キャリアアップ助成金には7つのコースがあり、コースごとに補助金の金額が異なります。
トライアル雇用助成金とは?
出典:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/trial_koyou.html
「トライアル雇用」は、職業経験の不足などから就職が困難な求職者を原則3カ月間の試行雇用することにより、その適性や能力を見極め、常用雇用への移行のきっかけとしていただくことを目的とした制度です。
出典:https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000497220.pdf
トライアル雇用助成金は、トライアル雇用を行った際に助成金が貰える制度です。
特定求職者雇用開発助成金とは?
高年齢者や障害者等の就職困難者をハローワーク等の紹介により、継続して雇用する労働者(雇用保険の一般被保険者)として雇い入れる事業主に対して助成されます。
出典:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/tokutei_konnan.html
次のような条件があります。
- ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇用すること
- 雇用保険一般被保険者として雇い入れ、対象労働者の年齢が65歳以上に達するまで継続して雇用し、かつ、当該雇用期間が継続して2年以上であることが確実であると認められること
食店開業に使える、日本政策金融公庫や信用保証協会の融資制度
ここでは、日本政策金融公庫や信用保証協会の融資制度について説明していきます。
日本政策金融公庫の融資制度
日本政策金融公庫では、飲食店を開業する方について、飲食店の開業が雇用の創出を伴う場合などで、創業資金総額の10分の1以上の自己資金を用意した場合について、融資を行うケースがあります。
日本政策金融公庫のホームページでは「創業資金総額の10分の1以上の自己資金が必要」と書かれていますが、実際には創業資金総額の3分の1~2分の1以上の自己資金を必要とする場合が多いです。
信用保証協会の融資制度
信用保証協会では、創業等関連保証として中小企業等経営強化法に基づく創業者、新規中小企業者に対して、保証限度額1,500万円とする融資を行っています。
クラウドファンディングについて
最近では、クラウドファンディングによって資金調達を行う店もあります。クラウドファンディングは自分のアイデアをインターネットで発信し、それに賛成した人から資金を集めます。
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融資を受ける時には事業計画書が重要になる!
融資制度が存在することは飲食店を開業しようとしている方にとって、非常に心強い限りですが、条件さえ満たせば誰でも融資してもらえるというわけではありません。ここでは融資を行ってもらえる大きなポイントである事業計画書について見ていきましょう。
融資を受けやすくする為に事業計画書を作成しよう
ある程度、融資を受けられる条件を満たしていれば、あとは事業計画書の出来・不出来で融資額が決まると言っても過言ではありません。
事業計画書は飲食店を開業しようとしている方のビジネスプランを書面にしたものです。この事業計画書を元に融資担当者にプレゼンを行うと考えれば、いかに事業計画書が大切であるか分かっていただけると思います。
事業計画書を作成するには、事業計画作成サポートツールを使うと非常に便利です。業種別にテンプレートが用意されています。
https://kaigyou.dreamgate.gr.jp/supporttool/
融資を受けやすくなる、良い事業計画書とは?
ではどのような事業計画書をつくると融資を受けやすくなるのでしょうか?ここでは「良い事業計画書」の条件を3つ挙げます。
- コンセプトが明確である・・どういった飲食店をどういった経歴の人が開業しようとしているのか、コンセプトが明確である事業計画書が良い事業計画書です。
- 収支計画書は3年分・・ある程度先のことまで融資担当者に伝える事が必要ですので、収支計画書は3年分用意しましょう
- コストが明確・・何にどれだけコストがかかるのか、根拠を明確にして説明できるようにしましょう。機材の購入や改装には見積書をもらいましょう。人件費の場合は時給いくらの何人が週何日働くという計算が重要です。
資金をおさえて飲食店を開業させる方法とは?
飲食店開業にかかる費用の目安やその調達方法について説明しましたが、どうしても初期費用をおさえて開業したい、という場合はどのようにすればいいのでしょうか。
居抜き物件で開業する
居抜き物件とは、過去に入っていたお店の内装や厨房設備、空調設備、什器などの設備が残ったままになっている物件のことです。店舗を開くために必要なさまざまな設備が残っている状態なので、それらを上手に利用できれば開業資金を安くおさえることができます。
ゴーストレストランとして開業する
ゴーストレストランとは実店舗を持たない飲食店のことです。シェアキッチンを利用したり、夜にしか開店していない居酒屋を昼間だけ借りたりして、デリバリーやテイクアウトを中心に展開します。コロナ禍により急増している形態です。
自分の扱っているメニューに人気がなければすぐに方向を変えるなど迅速な対応ができる点もゴーストレストランの大きなメリットです。
M&Aで開業する
このコロナ禍において手放される飲食店が増え、活況となっているのがM&Aによる開業です。M&Aのいいところは、すでに固定客がいたり従業員もそのまま雇用できたりする点です。また契約によっては前のオーナーに数年間、指導を受けることもできます。
最近ではスモールM&Aの仲介を扱うサービスも増えています。
飲食店の開業についてのまとめ
飲食店の開業資金はお店の規模や立地によって700~1,500万円と大きな幅がありますが、工夫次第ではそれらをグッとおさえることも可能です。
まずは自分が考えているプランがどのぐらい現実的なのか、事業計画書をつくってみると問題点が浮かび上がり、現状を把握することができるでしょう。
飲食店用の事業計画書の作成ができる「事業計画作成サポートツール」を使ってみることをおすすめします。
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事業計画作成サポートツールでは、健全経営をしている先輩経営者を独自調査した結果と、あなたが作成した事業計画とを比較・判定が出来ます。
開業資金と売上見込みを入力するだけで、あなたの事業計画の安全率を測定することが可能です。
さらに、作成した事業計画はCSV形式、Excel形式、PDF形式でデータをダウンロードでき、日本政策金融公庫の融資申請時の事業計画書としてご利用頂けます。
あなたの事業計画は成功する計画かどうか、ぜひチャレンジしてみてください。