小規模の法人や個人事業主など(以下、小規模事業者)を対象とした小規模事業者持続化補助金(以下、持続化補助金)を紹介します。
小規模事業者持続化補助金とは、持続的な経営に向けた経営計画を作成したうえで販路拡大や生産性向上などの取り組みをする小規模事業者にその経費の一部が補助されるというものです。
持続化補助金はすでに7回分の公募が実施されていて、今後は第8~11回の募集が始まります(2022年4月下旬現在)。
- 目次 -
小規模事業者持続化補助金の上限額はいくらか
持続化補助金の上限額は以下のとおりです。
- 通常枠:50万円
- 特別枠のうちインボイス枠以外:200万円
- 特別枠のうちインボイス枠:100万円
持続化補助金はすでに7回分の公募が実施されていて、今後は第8~11回の募集が始まります(2022年4月下旬現在)。
小規模事業者が持続化補助金の対象になる事業を行うと、その経費の一部が補助金として補助されます。
「経費の一部」(補助率)は原則的に経費総額の2/3で、一部は3/4です。
例えば経費を50万円使った場合、その2/3である約33万円を補助金として受け取ることができます。
|
通常枠 |
特別枠 |
||||
---|---|---|---|---|---|---|
賃金引上げ枠 |
卒業枠 |
後継者支援枠 |
創業枠 |
インボイス枠 |
||
補助金上限額 |
50万円 |
200万円 |
100万円 | |||
補助率 |
2/3 |
2/3
ただし赤字事業者は3/4 |
2/3 |
「枠」によって補助金の上限額などが異なります。それぞれの枠には条件が設定されていて、対象となる小規模事業者は自身が当てはまる枠を選んで申請します。
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対象者は誰か、誰でも利用できるのか
持続化補助金は小規模事業者なら誰でももらえるわけではありません。
対象者は1)小規模事業者であり、2)補助の対象になりうる事業を行う、3)枠の条件に該当する事業者となります。
小規模事業者とは
持続化補助金における小規模事業者は、次のいずれかにあてはまる法人、個人事業主、特定非営利活動法人です。
- 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く):常時使用する従業員数5人以下
- 宿泊業・娯楽業:同20人以下
- 製造業その他:同20人以下
さらに以下の要件を満たす必要があります。
- (法人のみ)資本金または出資金が5億円以上の法人に直接または間接に100%株式保有されていない
- 直近過去3年分の各年または各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超えていない
- 過去10カ月以内に持続化補助金を受け取っていない
補助の対象になりうる事業とは
一般的に補助金は、対象者が何か事業をしたときに補助されます。持続化補助金でも、申請者(小規模事業者)が経営計画を作成したうえで販路拡大や生産性を向上させる取り組みをするとその一部が補助金として支払われます。
この取り組みのことを補助事業といいます。
持続化補助金の補助対象になりうる事業は、販路拡大や生産性を向上させる取り組みとなります。
枠の条件
申請者(小規模事業者)は、自分がどの枠で申請するか選ぶことになります。
枠は、通常枠と特別枠(賃金引上げ枠、卒業枠、後継者支援枠、創業枠、インボイス枠)があり、特別枠のほうが補助金上限額が高いので、特別枠に該当しない場合に通常枠で申請することになるでしょう。
通常枠の条件は「特別枠に該当しない小規模事業者」となるので、以下では特別枠のみ紹介します。
●賃金引上げ枠とは
補助事業の終了時点において、事業場内最低賃金が地域別最低賃金よりプラス30円以上になる。(赤字事業者においては、補助率 3/4に引上げるとともに加点の実施もあり)
●卒業枠とは
補助事業の終了時点において常時使用する従業員の数を増やし、小規模事業者の従業員数を超えて規模を拡大する。
●後継者支援枠とは
申請時において「アトツギ甲子園」のファイナリストになった事業者。
●創業枠とは
特定創業支援等事業による支援を過去3年以内に受けて開業した事業者。
●インボイス枠とは
免税事業者であることが見込まれる事業者のうち、インボイス(適格請求書)発行事業者の登録をしている事業者。
小規模事業者持続化補助金はどのような経費に使えるのか
持続化補助金はどのような経費を補助するのか解説します。
補助金申請から入金までの流れ
他の補助金にも言えることですが、補助金は先に補助事業を実行して経費を使ってからその経費に対して支払いがされます。
以下のような流れになります。
●申請
↓
●採択・交付決定(採択案件を補助金事務局ホームページに公表の上、「交付決定通知書」で通知
↓
●補助事業を行う
↓
●経費として使う(経費を計上する)
↓
●経費の承認を受ける
↓
●補助金の請求
↓
●入金
↓
●事業効果報告(補助事業の完了から1年後に文書で提出)
補助金は原則的に後払いで、申請が採択されて交付が決定しても、その時点でお金が振り込まれるわけではありません。
まずは自己資金や融資等で用意したお金で補助事業を行って経費を使い、その後、補助金事務局に経費を報告して、承認を受けたら経費の一部の額が入金されます。
対象となる経費は11種類ある
持続化補助金の対象となる経費は次の11種類です。
- 機械装置等費:製造装置の購入など
- 広報費:新サービスを紹介するチラシ作成・配布、看板の設置など
- ウェブサイト関連費:ウェブサイトやECサイトを構築、更新、改修するために要する経費など(ウェブサイト関連費のみによる申請は不可
- 展示会等出展費:展示会・商談会の出展料など
- 旅費:販路開拓(展示会等の会場との往復を含む)を行うための旅費など
- 開発費:新商品・システムの試作開発費(販売商品の原材料費は対象外)など
- 資料購入費:補助事業に関連する資料・図書など
- 雑役務費:補助事業のために雇用したアルバイト・派遣社員費用など
- 借料:機器・設備のリース・レンタル料(所有権移転を伴わないもの)など
- 設備処分費:新サービスを行うためのスペース確保を目的とした設備処分など(補助対象経費総額の1/2を上限とする))
- 委託・外注費:店舗改装など自社では実施困難な業務を第3者に依頼など
内容によっては対象とならない場合もありますので、詳細は下記の公募要領をご確認ください。
令和元年度補正予算・令和 3 年度補正予算 小規模事業者持続化補助金<一般型> 公募要領
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申請のスケジュール
持続化補助金は何回かにわけて申請受付しています。2022年4月現在、第7回まで終了していて、これから受付するのは第8、9、10、11回です。
そのスケジュールは以下のとおりです。
|
申請受付締切日 |
事業支援計画書の受付締切日 |
補助事業の実施期間 |
実績報告書の提出期限 |
---|---|---|---|---|
第8回 |
2022年6月3日 |
2022年5月27日 |
2023年2月28日まで |
2023年3月10日まで |
第9回 |
2022年9月中旬 |
2022年9月上旬 |
未定 |
未定 |
第10回 |
2022年12月上旬 |
2022年12月上旬 |
未定 |
未定 |
第11回 |
2023年2月下旬 |
2023年2月中旬 |
未定 |
未定 |
申請の受付の締切日より先に、事業支援計画書の受付の締切日が到来するので注意してください。
計画書には何を書けばよいのか、どうつくるのか
持続化補助金の申請では、
1)経営計画書兼補助事業計画書と2)補助事業計画書、3)事業支援計画書の添付が必要で、小規模事業者は1)と2)を作成しなければなりません。
事業者の基本情報以外でそれぞれの計画書に記載しなければならない内容は以下のとおりです。
1)経営計画書兼補助事業計画書に書くこと
- 顧客ニーズと市場の動向
- 自社や商品、サービスの強み
- 経営方針・目標と今後のプラン
- 補助事業で行う事業名
- 販路開拓等(生産性向上)の取り組み内容
- 業務効率化(生産性向上)の取り組み内容
- 補助事業の効果
2)補助事業計画書に書くこと
- 経費明細表(経費区分、内容、必要理由、経費内訳、補助対象経費)
- 補助金交付申請額
- 資金調達方法(自己資金、持続化補助金、金融機関からの借入金など)
3)事業支援計画書に書くこと
こちらは商工会や商工会議所に記入してもらいます。申請者(小規模事業者)が商工会や商工会議所に依頼することになります。
過去の採択率は回によって大幅に異なる
過去に公募された小規模事業者持続化補助金は回によって大幅に採択率が異なります。中には29%台の採択率となった回もあり、かんたんに申請が通る補助金とは決して言えないでしょう。
令和2年度の小規模持続持続化補助金<コロナ特別対応型>申請数・採択率
回 |
公募締切 |
申請件数 |
採択者数 |
採択率 |
---|---|---|---|---|
第1回 |
2020年5月15日 |
6,744 |
5,503 |
81.60% |
第2回 |
2020年6月5日 |
24,380 |
19,833 |
81.35% |
第3回 |
2020年8月7日 |
37,302 |
12,664 |
33.95% |
第4回 |
2020年10月2日 |
52,529 |
15,421 |
29.36% |
第5回 |
2020年12月10日 |
43,243 |
16,498 |
38.15% |
合計 |
|
|
|
52.88% |
ドリームゲートの専門家が頼りになります
持続化補助金は小規模事業者の貴重な資金源になるはずです。そのため対象になる企業や個人事業主などは、ぜひ前向きに検討してみてください。
ただ補助金の申請に慣れていない企業や個人事業主だと、計画書の作成が難航するかもしれません。審査通過のためには、不備のない計画書が必要です。ドリームゲートの専門家には小規模事業者をサポートして持続化補助金の獲得につなげた専門家が数多くいます。
専門家は計画書づくりをサポートするだけでなく、ビジネスを進化させるために補助事業として何に取り組んだらよいのかもアドバイスできますので、ご相談ください。
執筆者プロフィール:ドリームゲート事務局 月見里
ドリームゲートは経済産業省の後援を受けて2003年4月に発足した日本最大級の起業支援プラットフォームです。
運営:株式会社プロジェクトニッポン
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