経済産業省は2021年3月に小規模事業者持続化補助金(低感染リスク型ビジネス枠)の公募を開始しました(*1)。
政府は、新型コロナウイルス感染防止と事業継続の両立に取り組む小規模事業者を支援するため、この補助金を給付します。感染リスクの低減につながるので「低感染リスク型ビジネス」と名付けています。
補助率は3/4で、補助上限は100万円。最終締切は令和4年3月9日となっています。
令和2年度に実施された「コロナ特別対応型」の採択率は、公募の回によって異なりますが、29%~81%でした。今年も同様の採択率になると仮定すると、採択への道は簡単ではありません。
しっかりと概要を説明するとともに、採択の成功率をたかめる方法をお伝えします。
*1:https://www.meti.go.jp/press/2020/03/20210331013/20210331013.html
- 目次 -
補助金の目的と概要
小規模事業者持続化補助金(低感染リスク型ビジネス枠)の目的は、コロナ対策に取り組みながら、新たな販路を開拓したり、ブランド力を高めたり、商品を宣伝したりする小規模事業者を支援することにあります。
企業のコロナ対策というと、消毒液の設置や換気設備の導入など、コストがかかるのに売上を増やさないものを想像するかもしれません。
しかし、顧客との接触機会を減らすシステムを導入したり、飲食店が個室を設置したりすれば、コロナ対策になりながら顧客サービスを充実させることができます。
小規模事業者持続化補助金(低感染リスク型ビジネス枠)は、ポストコロナ社会に向けてビジネスモデルを転換しようと考えている小規模事業者を支援します。
補助金名に( )で低感染リスク型ビジネス枠と追加しているのは、これとは別に小規模事業者持続化補助金(一般型)があるからです。
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補助金の対象者
小規模事業者持続化補助金(低感染リスク型ビジネス枠)の対象になるのは小規模事業者で、次の条件をクリアした企業などになります。
- 宿泊業と娯楽業の場合:常時使用する従業員数が20人以下
- 宿泊業と娯楽業以外の商業やサービス業の場合:常時使用する従業員数が5人以下
- 製造業などその他の業界の場合:常時使用する従業員数が20人以下
対象となる事業者の形態は、株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、特例有限会社、企業組合、協業組合、商工業者の個人事業主、一定の要件を満たした特定非営利活動法人となっています。
個人事業主も、商業や工業に従事していれば対象になります。
対象外になる事業者
この補助金の対象になることができないのは、医師、歯科医師、個人農業者、一般社団法人、医療法人などとなっています。
また、
1)資本金または出資金が5億円以上の法人に100%の株式を保有されている場合や、
2)直近3年分の課税所得の年平均額が15億円を超えても対象外になります。
補助対象になる事業
事業者が「何をすると」小規模事業者持続化補助金(低感染リスク型ビジネス枠)の申請条件となるのか解説します。
補助対象になる事業は次のとおりです。
- ポストコロナを踏まえて新たなビジネスやサービス、生産性プロセスを導入する
- 対人接触機会を減らすことへの投資
具体的に「何をすれば」よいのか
事業者はどのような例で申請できるのでしょうか。補助事業の具体例を紹介します。
感染リスクの低下のためにツールやシステムを導入することや、対人接触機会を減らすための仕組みの導入は申請対象になります。
- 旅館業が宿泊者のみに提供していた料理をテイクアウト可能にするための商品開発にかかる費用。
- リアル店舗の小売業がECシステムを構築するための費用。
- 大部屋しか持たなかった飲食店が個室化のために間仕切りを設置する費用。
ECサイトによる非対面販売ではなく、単なるホームページ制作費用などは通常枠の申請となる点に注意しましょう。
「どの経費」が補助されるのか
補助金は、事業者が実際に経費を使ったときに、そのお金の一部を補助する仕組みです。
この補助金が補助する経費は次のとおりです。
- 対人接触機会を減らすための機械装置を導入したときの経費
- 移動販売車両を購入したときの経費
- 新たなビジネス、サービス、生産性プロセスを導入したことを広報するためのチラシやダイレクトメールなどを作成したときの経費
- オンライン展示会に出展するための経費
- 新たなビジネスやサービスの開発に関わる原材料、設計、デザイン、製造、改良、加工にかかる経費
- 必要な資料を購入するための経費
- 補助事業を行うために臨時に雇ったアルバイトや派遣労働者に支払った賃金
- 補助事業を行うために借りた機器や設備のリース料やレンタル料
- 補助事業を行うために専門家から指導や助言をもらったときに支払う謝礼
- 新たなビジネス、サービス、生産性プロセスを導入するために設備を解体・処分したときの経費
- 第三者に必要な業務を委託、外注したときの委託費や外注費
- 感染防止対策に使った経費
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補助率と補助金の額
小規模事業者持続化補助金(低感染リスク型ビジネス枠)の補助率は3/4です。100万円の経費を使ったら75万円(=100万円÷4×3)が補助金として支給されます。
ただし補助金の上限額は100万円です。例えば134万円の3/4は1,005,000円ですが、134万円の経費を使っても給付されるのは上限額の100万円となります。
また、感染防止対策の経費については、補助金総額の1/4(最大25万円)が上限になります。
応募締切や補助事業の実施などのスケジュール
小規模事業者持続化補助金(低感染リスク型ビジネス枠)は令和3年度で計6回公募します。
補助事業は決められた期間に実施しなければなりません。また、補助事業が終了したら、期日までに実績報告書を提出します。
スケジュールは次のとおりです。
受付締切 | 補助事業実施期間 | 補助事業実績報告書 提出期限 |
|
---|---|---|---|
第1回 | 2021年5月12日 | 補助金の交付決定から 2022年2月28日まで |
2022年3月10日 |
第2回 | 2021年7月7日 | 補助金の交付決定から 2022年4月30日まで |
2022年5月10日 |
第3回 | 2021年9月8日 | 補助金の交付決定から 2022年6月30日まで |
2022年7月10日 |
第4回 | 2021年11月10日 | 補助金の交付決定から 2022年8月31日まで |
2022年9月10日 |
第5回 | 2022年1月12日 | 補助金の交付決定から 2022年10月31日まで |
2022年11月10日 |
第6回 | 2022年3月9日 | 補助金の交付決定から 2022年12月31日まで |
2023年1月10日 |
申請方法
一般型と異なり、低感染リスク型ビジネス枠はjGrantsのみでの受け付けとなります。
電子申請システムで申請する
小規模事業者持続化補助金(低感染リスク型ビジネス枠)は、電子申請システム「jGrants」のみで受け付けています。
jGrantsのURLは以下のとおりです。
https://www.jgrants-portal.go.jp/
jGrantsで申請するには下記のURLから「GビスIDプライムアカウント」を取得する必要があります。※2021年4月14日現在、GビスIDプライムアカウントの取得には3週間以上かかるようです。早めの取得をおすすめします。
経営計画書と補助事業計画書を提出する必要がある
小規模事業者持続化補助金(低感染リスク型ビジネス枠)を申請するには、経営計画書と補助事業計画書を提出することになります。
計画書には、補助事業を行える能力があることや、補助事業がポストコロナを生き抜くための新ビジネス・新サービス・新生産プロセスになっていることを記載する必要があります。
経営計画書や事業計画書の作成に慣れていない事業者は、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。
持続化補助金の採択率はどのぐらいか?
令和2年度に実施された「コロナ特別対応型」の採択率は次の通りで、締切の回によってバラつきがあり、早めの申請のほうが有利な傾向にあると言えます。
令和2年度「小規模事業者持続化補助金<コロナ特別対応型>」の採択率
回 | 受付締切 | 申請件数 | 採択件数 | 採択率 |
---|---|---|---|---|
第1回 | 2020/05/15 | 6,744 | 5,503 | 81.60% |
第2回 | 2020/06/05 | 24,380 | 19,833 | 81.35% |
第3回 | 2020/08/07 | 37,302 | 12,664 | 33.95% |
第4回 | 2020/10/02 | 52,529 | 15,421 | 29.36% |
第5回 | 2020/12/10 | 43,243 | 16,498 | 38.15% |
採択率を高めるために専門家のアドバイスを受けよう
小規模事業者持続化補助金(低感染リスク型ビジネス枠)では、対象となる事業者を審査して決めます。審査を通過するには、しっかりとした経営計画書と補助事業計画書を作成しなければなりません。そのためには、補助金の狙いに沿った補助事業を行う必要があります。また、申請する事業者が多店舗展開していたり、補助事業後に従業員の賃金を上げたりすると加点され、審査がより通過しやすくなります。
小規模事業者持続化補助金(低感染リスク型ビジネス枠)の獲得を確実にしたい事業者は、専門家のアドバイスを受けるといいでしょう。ドリームゲートアドバイザーへの初回の相談は無料なので、気軽に活用してください。
よくある質問
Q.補助金と給付金の違いはなんですか?
補助金は、国や自治体の政策目標(目指す姿)に合わせて、さまざまな分野で募集されており、事業者の取り組みをサポートするために資金の一部を給付するというものです。
補助金は政策に沿った施策に対してその経費の一部を給付する仕組みです。審査があり、全て採択されるわけではありません。また事業完了後の後払いです。一方で給付金とは、ある一定条件をクリアすれば国や自治体からもらえるお金で、その使途の指定はありません。
Q.小規模事業者持続化補助金のスケジュールを教えてください。
第1回はすでに締切しています(6/10日現在)。第2回以降は次の通りです。
第2回締切:2021年7月7日、第3回締切:2021年9月8日、第4回締切:2021年11月10日、第5回締切:2022年1月12日、第6回締切:2022年3月9日
Q.小規模事業者持続化補助金の採択率はどのくらいですか?
令和2年度の「コロナ特別対応型」の採択率は29%~81%で、平均52.88%でした。
まとめ~事業を前進させる資金です
事業者はこれからもコロナ禍を見据えてビジネスをしていかなければなりません。コロナ対策コストは、しばらくは削れないでしょう。コロナ対策を講じながら事業を前進させている事業者にとって、小規模事業者持続化補助金(低感染リスク型ビジネス枠)は力強いサポートになるはずです。
自社や自分が対象になっていれば、確実に採択されたいものです。ドリームゲートアドバイザーを活用しながら、事業を前進させる資金の確保を目指してください。