IT業界で会社設立を検討するさい、ビジネスモデルの種類や現実、設立の流れなどが気になっていませんか?
IT系のスタートアップ企業が大きな成功をおさめる様子がたびたび話題になりますが、その裏で失敗する企業も数多くあるのが現実です。しかし、会社設立の効率的な方法は確立されており、成功するためのノウハウも蓄積されているので、専門家の情報に目を通せば成功に近づけます。
そこで今回、ITを含めてこれまでに6万件以上の起業相談が寄せられたドリームゲートが、IT会社設立を成功させるポイントを紹介します。これを読めば起業するかどうかを判断するきっかけになり、設立する会社の成功確率を高められるでしょう。
- 目次 -
IT会社設立で成功したいと思ったら知るべきこと2つ
IT会社を設立して成功したいと思ったら、まずはつぎの2つのことを知り、じっくり考えていくのが重要です。
- IT会社のビジネスモデルの種類をはっきりさせる
- 事業計画書の作成
上から順に考えるとスムーズな会社設立と成功確率アップにつながるので、それぞれについてくわしく説明します。
IT会社のビジネスモデル10種類を紹介
一口にIT会社といってもさまざまなビジネスモデルで収益化されています。ある程度こういった事業で起業しようというイメージがあるかもしれませんが、より自分自身に適していたり興味が持てたりするビジネスモデルがあるかもしれません。そこでつぎの5つのIT業界ごとに、ビジネスモデルを紹介していきます。
- インターネット・Web業界
- ソフトウェア業界
- ハードウェア業界
- 通信業界
- 情報処理サービス業界
インターネット・Web業界
インターネットを利用したサービスを展開して収益を上げているのがインターネット・Web業界に属する会社です。代表的なビジネスモデルとしては、次のようなものがあります。
- Webサイト制作:会社やサービスなどのサイトを制作する。コンサルティングなどで収益化も可能。
- 広告:広告代理店や仲介店を運営する方法と、アフィリエイターや動画クリエイター、インフルエンサーとして収益を得る方法がある。
- EC:商品やサービスを販売する、いわゆるオンライン通販。商材はオリジナルでなくても良く、いわゆる「せどり」や個人輸出入での会社設立も可能。
ソフトウェア業界
スマートフォンやパソコン用のアプリを提供したり、他企業からアプリ開発依頼を受けたりして収益を上げているのがソフトウェア業界です。代表的なビジネスモデルとしては、以下があげられます。
- SaaS開発:主にクラウドで提供するアプリケーションソフトウェアを開発する
- PaaS開発:アプリを動かすデータベースやプログラム実行環境などを開発、提供する
- IaaS開発:仮想サーバーやファイアーウォールといったインフラをネット上のサービスとして提供する
ハードウェア業界
スマートフォンやパソコンといったハードウェアを販売して収益を上げている業界がハードウェア業界です。
新しく設立したIT会社が、企画の提供だけで十分な収益を上げるのは難易度が高いので、基本的には何らかの製品を販売することになります。もっとも消費者に受けいれられてしまえば、まったく新しい製品でも売上はたてられるので自由度はあります。
また、UMPC(超小型パソコン)などのニッチな分野で会社設立するのも1つの手段です。
通信業界
インターネットや電話といった通信のインフラを商材にするのが通信業界です。大手企業が参入しているので、多額の資本金がない場合はインフラを新しく用意して収益を上げていくのは難しいでしょう。しかし、ネットワークの保守や設計を専門にして収益を上げることは可能です。
情報処理サービス業界
ITを活用して業務効率化を実現したり、システムの構築や保守を代行したりして収益を上げているのが情報処理サービス業界です。主なビジネスモデルとしては、SIerとSESがあげられます。
- SIer:開発や運用をプロジェクトとして請け負う
- SES:プロジェクト担当者のメンバーとしてクライアント先に常駐したり、人材を派遣したりする
事業計画書を作成しよう!重要性と書き方の基本を解説
ある程度、会社設立の構想がかたまってきたら、事業計画書を作成します。見切り発車で起業すると失敗するリスクが高まってしまうので、事業計画書をつくることはとても大事です。
たとえば、収益化もままならないうちに次々と手を広げたり設備投資をしたりしてしまうのはありがちな失敗例といえるでしょう。事業計画書があれば余計なことをしてしまうリスクを下げられます。また、融資や出資を受ける場合にも事業計画書は必要になります。
事業計画の完成度しだいで、融資・出資されるかが左右されると言っても過言ではありません。事業計画書作成の具体的な流れは次のとおりです。
- 6W2H形式で事業計画の要素を決定していく
- 事業名や経営計画、資金計画などの必須項目を決定していく
- 実現性や代替品、競合の脅威などのチェックをして事業計画をブラッシュアップする
事業計画のより詳しい書き方については、専門的にわかりやすくまとめた記事があるので参考にしてください。事業計画のテンプレートも無料ダウンロードできます。
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IT会社を設立する際に必要な費用と手続き
IT会社設立には費用が発生し、手続きも必要になるのでそれぞれの詳細を解説していきます。
会社設立費用は7万円~か21万円~
一口に会社といって4種類の形態があり、設立費用が異なります。
- 株式会社
- 合同会社
- 合名会社
- 合資会社
新たに会社設立をする場合は無限責任を避けるために、株式会社か合同会社にするのが一般的です。株式会社の設立費用の目安としては21万円、合同会社の場合は7万円以上となります。
IT会社設立に必要な手続き10ステップを解説
IT会社を営むには法務局に届出を出して登記をしなければいけません。具体的な手続きの手順は、以下の10ステップです。
- 会社名の決定
- 事業目的の決定
- 出資者と取締役の人数と任期の決定
- 本店の所在地の決定
- 類似番号がないかを確認
- 定款の作成と認証
- 発起人の口座に資本金を振り込み
- 必要な書類を準備して法務局で登記手続き
- 登記簿謄本を取得して法人口座を開設
- 社会保険の資格取得届の提出などの会社設立後の手続きを随時実施
各ステップの詳細は、専門家がまとめた記事があるので参考にしてください。また、会社設立後の手続きは期限があるので、あらかじめ必要な手続きや届出を確認しておくのがおすすめです。
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IT会社設立時の資本金は1,000万円未満がおすすめ
先述のIT会社設立の流れで資本金振り込みのステップでありましたが、資本金は1,000万円未満にしておくのがおすすめです。なぜなら、資本金が1,000万円未満になると消費税と住民税を節税できるからです。
一方で資本金は、会社のスタート時の体力を表わしますので、資本金が多い会社の方が融資を受けやすいのが一般的です。金融機関からお金を借りることを考えているのであれば、資本金は多いほうが借り入れはしやすくなります。
IT会社設立の資金調達方法3選
IT会社を設立するには資金が必要です。自己資金がじゅうぶんにあれば問題ありませんが、足りない場合のために、代表的な資金調達方法を紹介していきます。具体的には次の3つです。
- 融資制度の利用
- 補助金・助成金の利用
- VCの利用
それぞれメリットとデメリットがあるので、詳細を解説していきましょう。
融資制度を利用する
会社設立直後に銀行から融資を受けるのは難しいのが実情です。しかし、創業融資に向いた金融機関もあります。具体的には、次の2つです。
- 日本政策金融公庫
- 信用金庫
日本政策金融公庫は、政府が100%出資している金融機関です。信用保証協会の利用が必要なく、IT会社設立時にも融資を受けやすいです。
信用金庫は、主に中小企業を資金需要に応えて地域を活性化する役目を担っている金融機関です。個人を含めて融資を受けやすい機関なので、積極的に活用を検討すると良いでしょう。
補助金・助成金の利用する
返済義務のない補助金や助成金を活用するのも1つの手段です。IT会社設立時に利用できるものとしては、次のようなものがあげられます。
- 特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)
- トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
- ものづくり補助金
- IT導入補助金
- 小規模事業者持続化補助金
- 若手・女性リーダー応援プログラム助成事業
また、新型コロナウイルスの流行で事業がうまくいかない場合は、以下の補助金の利用を検討すると良いでしょう。
- 持続化給付金
- 小規模事業者持続化補助金
補助金・助成金について詳しくまとめた記事もあるので参考にしてみてください。
VCを利用する
IT企業の場合、VC(ベンチャーキャピタル)を利用するのも1つの手段です。IT業界はベンチャーからスタートして大きく成長した企業が多数あります。そして、有望なベンチャー企業に出資したがっているVCは一定数あります。
VCから資金調達をしすぎると経営の自由度が下がるデメリットが出てきますが、会社を成功させるのに資金は不可欠なので、適度にVCを活用するのがおすすめです。
成功するIT会社に必要な「人材」
いわゆるVUCAが叫ばれる昨今、確実に成功するIT会社は存在しません。しかし、成功したIT企業に共通している条件があるのも事実です。以下の3つが代表的なものだといえるでしょう。
- 事業に関する経験があったり没頭できたりする人の存在
- 理系学部出身者の存在
- 求心力のある人の存在
事業に関する経験があったり没頭できたりする人の存在
事業に関する経験があったり没頭できたりする人の存在は、設立したばかりのIT会社にとって重要と考えられます。たとえば、実業家として有名な堀江貴文氏はインターネット黎明期にパソコンやプログラミングの経験を活かして成功した人物です。
ライブドアの前身であるオン・ザ・エッヂの成功は、中学時代に複雑なプログラムを組めるほどプログラミングに没頭していた堀江氏なしではあり得なかったといわれています。
理系学部出身者の存在
IT会社設立の場合は、理系学部の出身者がいると心強いでしょう。論文や研究をする上で学ぶCREC法などの論理的な考え方が、業務に直結します。実際、プレゼンなどで使うPREP法とCREC法はよく似ています。
MECEやロジックツリーといったビジネスを成功に導くための考え方も身につけて、設立したIT会社を成功に導いてくれることでしょう。
求心力のある人の存在
先にあげたような優秀な人材を集め、維持するために求心力ある人の存在も成功条件の1つといえるでしょう。
たとえば、ECで成功した前澤友作氏やインターネットインフラ事業などを営むGMOグループ創業者の熊谷正寿氏は、ITの専門性を有しているわけではありませんが、若いころからビジネスは積極的におこなっており、成功体験を積み上げて独特のカリスマ性や求心力、知名度などを有しています。
彼らが大きな成功をおさめている事実から1人ですべてをやる必要はなく、優秀な従業員を集めて成果を上げていくことが成功への近道だといえるでしょう。
IT会社特有のメリット2つ
IT業界での会社設立には特有のメリットが主に2つあります。メリットを知った上で最大限活かすことで、他の業界とは違う成功法が見えてくる可能性もあるので、解説していきます。
パソコン1台あればどこでも仕事ができる
インフラ事業などの例外もありますが、やろうと思えばパソコン1台を持って、いつでもどこでも仕事ができてしまうのがIT業界です。事業を始めるにあたって大きな資本は必要なく、人件費などに資本金を回せます。
最近はテレワークの普及も後押しされているので、幅広い人材に、任意の時間分だけ働いてもらうといった雇用も可能です。
また、SNSやサイトを使えばサービス展開も低費用ででき、時間と場所の制限もありません。エバーグリーンローンチなビジネスモデルの確立や既存の枠組みにとらわれない働き方で人材を集めることを目指せます。
海外で現地法人として起業
昨今、IT会社設立を海外でおこなう人もいます。国内では競合がひしめいていても海外ではブルーオーシャンだったり、起業コストが安かったりするのがメリットです。起業家同士の仲間意識も強いと言われています。
場所の例としては、フィリピンのセブ島やタイのバンコクなどがあげられます。先のパソコン1台さえあれば仕事ができるメリットとあわせて、海外での起業も視野に入れてみると良いでしょう。
まとめ
今回はIT会社のビジネスモデルの種類や設立方法、資金調達など、会社設立の基本を解説しました。
会社は設立してからが本番です。またアイデアや戦略が正しくても人手や時間が足りなくて失敗する可能性もあります。すべてを自力でおこなっていると失敗リスクが高まる恐れがあるので、適度に外部の手を借りることも検討するのが重要です。
たとえば会社設立の段階から発生する会計業務の手間をへらすために、クラウド会計システムの導入などは積極的に検討したいところです。具体的なソフトとしては、弥生会計オンラインがおすすめです。知識がなくても簡単に使え、会計の手間を大きくへらせます。また、今申し込むと起業家にとってうれしい特典が2つあります。
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