ドリームゲート認定アドバイザーの田中琢郎です。10,000件以上の経営者の融資や、事業資金調達の相談対応実績を持つ株式会社ファイナンスアイの創業者でもあります。2014年から株式会社ファイナンスアイを創業し、日本全国の起業家・中小企業の経営者・個人事業主の皆様にファイナンスという強力な武器を提供しています。
起業時の開業資金、起業後の事業拡大や運転資金など経営者には常に資金の課題がついてまわります。日本政策金融公庫の新規開業資金(創業融資)を利用すれば連帯保証無しで最大7200万円の資金調達も可能です。しかし、実際に新規開業資金(創業融資)を利用する場合、どのタイミングで申込をすればよいのか?審査通過のポイントとあわせて紹介していきます。
これまでの創業融資が『新規開業資金』に改められ、内容が拡充しました。今がチャンスです。ただし、融資の審査内容が緩和されたわけではありません。むしろ、審査内容は日々厳しくなっています。後悔しないために、この記事を読んでしっかり対策を練ってください。
- 目次 -
創業融資申込みのベストタイミングはいつ?
創業時の融資を申込むベストタイミングは、「創業2〜3ヶ月前」、次に「創業後3ヶ月以内」となります。
創業前が良いのは、開業するための設備資金が融資対象となることです。また創業後3か月以内であれば赤字であったとしても、融資に大きな影響を与えない可能性があることから、創業後の融資申込は早急に行った方が良いこととなります。
理由.1 審査に有利
なぜこのようなタイミングがいいのか、それは創業後と創業前では判断されるポイントが変わってくるからです。
創業後は実績が悪いと不利になる
創業融資の審査基準には、「新たに営もうとする事業について適正な事業計画を策定しており、当該計画を遂行する能力が十分あると認められる方」というものがあります。この基準を満たしているかを確認するために、提出された創業計画書などを審査し、事業計画の内容が確認されます。そのため、将来性だけで判断してもらえるタイミングが、もっとも有利になるのです。一方で、創業後だと実績で評価され、それが悪いと不利になってしまいます。
創業前は将来性重視で判断される
創業前の申込みであれば、将来性重視で融資判断してもらえます。極端にいえば、創業計画書がしっかりと作成できていれば、融資を受けられる可能性があるのです。創業前の企業はまだ実績がないため、創業計画の実現可能性が高いと判断されることが重要です。
そのため、創業前にはしっかりと将来性を示した創業計画書を用意することが求められます。
理由.2 事業を進めやすい
事業資金に余裕があると経営者も安心して、事業に注力できます。もし資金が足りない場合は、仕入れたいものも仕入れられず、事業計画の達成に大きな支障が出ていずれは経営ができなくなる恐れがあります。
ファイナンスアイで支援してきた中で創業から順調に事業を成長させられる方は、創業1年前くらいか創業に向けて事前準備を入念に進められています。事業展開の解像度が明確に描けている方は、何をいつどのように実行するべきかについて、自分なりの仮説を持っておられます。
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創業融資の申込みはいつまでできる?
創業融資(新規開業資金)は新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方を対象としています。もちろん、新たに事業を始める方(創業前)、または事業開始後税務申告を2期終えていない方の場合は営業実績が乏しいなどの理由がある方でもサポートする融資制度です。
個人の場合
個人事業の場合は、新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方が融資申込が可能です。
法人の場合
法人の場合は新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方が可能です。
申込み~決定~実行までどのくらい?
申し込みから融資が実行されるまでの期間は、提出書類の内容や審査の結果によって変動しますが、一般的には1〜2ヵ月程度を想定しておけば良いと思います。ただし、書類に不備がある場合や、追加情報を要求される場合などは、期間がさらに延びる可能性があります。
借入はいくらまで?
創業融資(新規開業資金)の融資上限は7,200万円、そのうち運転資金4,800万円が借入可能となります。
自己資金はいくら必要
自己資金の基準は撤廃されましたが実際には、創業資金総額の20~30%程度の自己資金が望ましいとされます。
ただし、経験がある業種で開業する場合や、公庫が指定するセミナーを受講した場合には、要件が緩和されることがあります。また、自己資金以上に、創業計画書がしっかり作られていることが重視されます。
自己資金の要件がなくなったからといって、自己資金なしで起業される方でも融資審査が通るようになったというわけではありません。自己資金は必ず融資審査で見られますのでご注意ください。
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創業融資の返済期間とは
創業融資の返済期間はどのようになっているのでしょうか。こちらを確認していきたいと思います。
設備資金と運転資金で異なる
創業融資の返済期間は設備資金と運転資金とで異なります。
資金使途 | 返済期間 |
設備資金 | 20年以内<うち据置期間5年以内> |
運転資金 | 10年以内<うち据置期間5年以内> |
2024年4月からの改定により、運転資金は7年以内から10年以内と返済期間の上限が伸びました。
設備資金と運転資金の違い
運転資金とは、商品や材料仕入れ、その他諸費用などのための資金です。
設備資金は、機械、車両などの設備購入や店舗、工場、事務所などの増改築のための資金です。
据置期間とは
融資の据置期間とは、借りたお金の返済を据置してもらう期間のことですが、正確には元金の返済を猶予される期間のことです。つまり、銀行から融資を受けた際に、元金の返済を猶予してもらい利息だけを返済する期間です。ただし、利息だけを返済する期間も返済期間の中に含まれます。創業直後は赤字となる場合が多く、赤字の状態での返済は借金で借金を返済する状態となってしまい、資金が無駄になってしまいます。収支計画が赤字の期間がある場合は、据え置き期間の設定を検討するのが良いと考えます。
創業融資の返済期間はいつまで?
創業融資の上限期間は、設備融資20年、運転資金融資10年となっておりますが、一般的には10年以内となることが多いです。
返済期間の設定方法
返済期間を長く設定して月々の返済金額を低くしてできるだけ早く事業を軌道に乗せることが重要です。
具体的には収支計画から返済可能な金額を計算し、設定するのが良いでしょう。
据置期間の設定方法
据置期間は、創業赤字の期間に設定するのが望ましいです。黒字になっても据え置きを継続すると元本が減らないので元本返済時に利息が増えることや、返済実績が増えないので追加融資が受けづらくなることに注意する必要があります。
創業後でも申込みはできる?
事業開始後、税務申告を2期終えていない個人事業主、法人の場合は創業融資としての申込が可能です。
ただし、創業して一定の期間が経過すると売上実績や直近のキャッシュフローについても審査の対象となるため、可能な限り3ヶ月以内の申請が望ましいと考えられます。
ファイナンスアイでも多くの創業後の融資を支援してきました。創業後は、不安定な時期の事業実績を審査で見られますので、創業時の融資よりも非常に難易度が高いです。専門家に相談しながら進める事をおすすめします。
創業融資の特徴と審査通過のポイント
日本政策金融公庫の創業融資(新規開業資金)の特徴は無担保無保証で最大7,200万円(うち運転資金4,800万円)万円までの融資が利用できる制度設計となっていることです。
ただし、融資審査は甘くはなく、必ず審査が行われます。日本政策金融公庫の審査通過率は50〜60%ほどであり、約半分近くの方が「審査落ち」となっています。
そのため、希望額の融資を獲得したいのであれば、それに向けた十分な知識と対策が必要となります。なかにはすぐに準備できない項目もあるため、早めに取り組むことが必要です。
創業融資の審査で落ちる原因を「資金」・「経験」・「用途」・「計画」・「信用」の5つのポイントにそって説明します。さらに審査対策に役立つテクニックもあわせて紹介しています。これから融資を受けようという方は参考にしてください。
これら5つのポイントにおいて、融資の担当や決裁者が「この人(会社)にお金を貸しても大丈夫だろう」と思える材料が揃えられないと、審査で落ちてしまうことになってしまいます。
自己資金
自己資金は重要な要素のひとつです。
2024年4月の創業融資の改定により、自己資金の基準が無くなりました。これは”自己資金が必要がない”という意味ではありません。融資審査において自己資金の重要度合に変化はありません。
日本政策金融公庫が融資先の創業企業を対象として実施した調査(「新規開業実態調査」)によると、創業資金総額に占める自己資金の割合は平均で2割程度となっています。
また、日本政策金融公庫総合研究所の「新規開業実態調査」のデータによると、創業資金調達総額に占める自己資金の割合は24%となっています。
同調査によると、事業開始からおよそ1年間のうちに黒字基調となった企業は全体の約60%との結果が出ています。借入に依存した計画では、思っていたほど売上が上がらなかったり、予想外の出費がかさんだりすると、資金繰りが苦しくなる場合があります。自己資金と借入金のバランスを考え、ゆとりを持った資金計画を立てることが大切です。
自己資金の代表的なものとしては、開業までに自分で貯めたお金などがありますが、場合によっては自己資金として認められないものもあるので注意が必要です。
また、たとえ通帳に入っているお金であっても「事業に使用される予定のない資金」は、自己資金とは認められません。
一般的に創業融資において融資の目安となる金額は、自己資金額の2~3倍とされています。
したがって、自己資金の額が少ないほど安全に融資を受けられる額も少なくなってしまうということに注意してください。
参考:日本政策金融公庫Q&A
創業融資の自己資金については、主に次のようなことが審査されます。
金額と投資とのバランス
新創業融資制度の申込に自己資金の要件は無くなりましたが、融資審査においては重要視されることに変わりはありません。
「融資額は自己資金の2~3倍が目安」については、決まった規定があるわけではありませんが、実際に融資が実行された会社の自己資金の目安は融資額の30%以上であることが多いです。
貯蓄方法
金額の次にみられるのが「どうやって」その資金を貯めたのかということです。
公庫では「在職中の給与を貯めた資金」などがもっとも望ましいとしていますが、それ以外でも次のような資金は自己資金として認められます。
- 親や兄弟からもらった(贈与)お金
- 相続で取得した資金
- 退職金
- 株式や国債などの有価証券
- 生命保険の解約返戻金
- 金などの換金性のある資産
自己資金の定義
自分が保有する資金であっても、次のようなものは自己資金としては認められません。
- タンス預金
- 出所が説明できないお金
- 他人から借りたお金
また通帳に入金されている資金であっても、すべてが認められるわけではありません。「どこから調達してきたのか?」、「どのようなお金なのか?」を説明できない場合には、自己資金として認められないことに注意が必要です。
自己資金は、貯めた経緯=創業準備を説明できないと意味がありません。よって、親兄弟から贈与を受けた資金については、その入金の流れや、贈与の理由だけでなく贈与元である親兄弟の通帳の提出を求められることもあります。
融資申込前に開業準備のために使ってしまった資金(仕入れ代金や交通費などの経費)は、「みなし自己資金」として自己資金の一部として認められます。したがって、このような資金がある場合は、その使用の経緯がわかる領収書などをとっておくようにしましょう。
資金使途
「資金使途」とは、融資を受けた資金を何に使うのかということです。逆に言えば、どのような理由でその融資を申し込むのかということになります。
資金使途には、「運転資金」と「設備資金」のふたつがあります。これはその使い方に違いがあるだけでなく、返済にも影響するため、明確に説明できるようにしておくことが必要です。
資金使途は融資審査のなかでも、重要な確認項目であり、創業に必要な投資なのか?を確認されます。単に資金を確保しておきたいのであったり、どんぶり勘定では融資は難しくなります。
資金使途については、以下の点が主な審査のポイントとなります。
事業の投資であること
資金の内容が、事業に関係のないものであってはなりません。この場合には該当部分が減額されたり、場合によっては不認可になります。(代表者の報酬は運転資金から除外されることもあります)
また、不要な備品や、不相応な事務所家賃など事業と関係の薄いものが含まれる場合も、該当部分の融資が減額されることや場合によっては融資を受けられなくなります。
なお、申込みの際には、設備資金と運転資金の各項目について見積書や明細書を求められます。
業務経験
創業融資の審査、特に創業前や創業して3か月以内の場合では、これからおこなう事業に関する経験(斯業経験)の有無が、重視されます。
現在は〇年以上の事業経験が必要、といった定義はされていませんが、以前は申込み条件のひとつとされていたため、現在でも実際の審査の過程では大きなポイントとなってきます。
特に未経験の領域で創業する場合は、事業計画の作りこみ、つまり未経験でも売上が創出できる理由が非常に重要となるため注意が必要です。
また、経験が十分にあるのは当然ですが。しかし、経営をしていく上ではそれだけでは不十分で、そのほかにも、経理・会計、販売戦略、集客戦略・マーケティングなど経営者として必要な能力全般を求められます。
そのため、できるだけ経験を積み、いかに経営をする上で必要な経験を積んでいるかを創業計画書で包括的にアピールすることがポイントとなります。
事業計画
創業融資において、もっとも重要なのが「創業計画書(事業計画)」です。
日本政策金融公庫の新創業融資制度の申込み条件でも「新たに営もうとする事業について、適正な事業計画を策定しており、当該計画を遂行する能力が十分あると認められる方」に限ります。なお、創業計画書のご提出等をいただき、事業計画の内容を確認させていただきます。」
と記載されているように、創業計画書の作成と提出は必須となります。
創業計画書は、求められている項目に漫然と答えるのではなく、公庫の担当者がまず、「この計画を実現すれば融資は可能」と考え、その上で「実現の見込みがある」と判断することが必要となります。
実は、日本政策金融公庫のWEBサイトから創業計画書の記載例がダウンロードできますが、それを鵜呑みにしてはいけません。あくまで記載例ですので、アナタがこの事業で成功できる客観的な資料ではありません。
創業計画書の実現性を判断するうえで重要なポイントは、以下の4つとなります。
①ターゲットを明確にすること
ターゲットの絞りこみができていないのに、具体的な販売戦略を立案することはできません。またターゲットがないマーケティングもありません。
つまり、公庫からするとターゲットを明確化できていない計画は、実現できない計画と捉えられます。
②セールスポイントを明確にすること
セールスポイントとは、顧客が自社のサービスを選ぶ根拠となります。ほとんどの場合、創業する業種には先行者が存在し、後発するものは顧客を先行者から顧客を奪う必要があります。このため、いかに自社のサービスや商品に優位性があるかを明確かつ客観的に示す必要があります。
③客観的かつ実現可能な計画であること
創業計画書はどんなに見た目がよく作られていても、その内容が実現できないものならば意味がありません。売上を獲得するための戦略である販売戦略をしっかり考える必要があります。
④販売戦略が練り上げられていること
販売戦略とは、①ターゲット②セールスポイントがまずしっかりしており、サービスの内容や価格も定まっていないと立案することはできません。また、販売戦略が弱く、売上に自信がない場合、ターゲットやセールポイント、提供する商品の内容等のビジネスの中身を改める必要があります。
社会的に有益で創業者に熱い思いやビジョンがあったとしても、ビジネスとして利益がでないと継続することはできません。良いサービスでも短期間で無くなってしまうものなら全く意味はありません。
また返済の原資は利益です。利益は売上が立ち、原価や経費を支払って残るものです。利益が出て、返済できるという説明は、売上創出と売上に伴う原価や経費の支払や売上との関連性を説明できないと理解をしてもらうことはできません。
そのためには、収支の見込みが甘くないか、根拠のある計画となっているかを、数値やエビデンスにもとづいて説明できることが必要となります。
販売戦略はとても重要です。何故、集客ができて売上が上がるのか?マーケティング戦略の解像度が低い人、そもそも考えていない人が創業すると、大きな失敗につながります。口を開けて待っていてもお客様はやってきません。
信用情報
融資の審査では、借入人の信用情報の確認をするため、この点について問題がある場合には、融資は難しくなってします。したがって、融資の申込みをする際には、この点について問題がないかを確認してから申し込むことをおすすめします。
既往の借入に遅れや延滞がないか、信用情報の履歴に問題がないか
既往の借入の返済を確認するために、公庫や金融機関は個人信用情報を調べます。ここで現在の支払いの遅延や過去の遅延状況に問題がある場合、融資は厳しくなります。
創業融資を獲得するためには
これから開業をお考えの方には「不足する資金は借りればいい」と安易に考えている方もいるかもしれません。しかし、融資には必ず審査があり、約半数が「審査落ち」となるのが現実です。安易な考えは何も生み出しません。しっかりとした対策を立てるようにすることが重要です。
創業融資が認可されるために必要な事項を「動機」・「経験、資格」・「販売戦略」・「投資と収支」・「信用」の5つのポイントにそって説明します。さらに審査対策に役立つテクニックもあわせて紹介しています。これから融資を受けようという方は参考にしてください。
創業動機
創業動機は、創業計画書の冒頭に記載される部分です。創業計画に記載される多くの部分は数字が多く、創業動機は経営者の人柄を伝える数少ない項目となります。どのような課題を解決することを目的にしているのか?いつから創業を考え、どのような準備をしてきたのか?どのような理想や理念を掲げているのか?このような事項は、あまり重要ではないと考える方もいらっしゃると思いますが、例えば上場規模の会社で経営理念を掲げていない会社はありません。大手企業だから行っているのではなく、株主への利益還元を第一とする上場会社が行っていることに、利益に直結しないことは構造上あるはずはありません。
創業動機をしっかり作りこむことで、経営者の人柄を担当者に理解してもらうことは融資審査において大きなプラスになると考えます。
経験・資格
自身が提供しようとするサービスや商品を生み出し、競争の中で、顧客に評価され続けるためには、サービスや商品のことについて長けていないと公庫が考えるのは当然のことです。
また、サービスや商品を生み出すに至る経緯についてもしっかりと記載することにより、そのあと記載するセールスポイントや販売戦略への繋がりが明確になってきます。
販売戦略
販売戦略とはサービスや商品を売る為、つまり売上を作る戦略となります。
販売戦略を検討する前に、販売ターゲットや商品のセールスポイントについて、十分調査を行う必要があります。そのうえで、販売ターゲットや商品に合う販売戦略を検討しましょう。
公庫の面談で良く聞かれるのが、「なぜ、この商品が売れるのか?」という質問です。これは創業計画における根幹部分の質問であり、上手く回答できない場合は創業計画全体の信頼が大きく揺らぐことになりかねません。しっかり検討するようにしましょう。
投資と収支
ビジネスは儲けが出ないと成立しません。儲けとは、売上から原価や経費を差し引きした残りです。これを取りまとめたものが収支計画となります。またビジネスを立ち上げするには、必ず投資を行う必要があります。創業融資では、その立ち上げ時における投資の一部を融資にて調達するということになることから、返済可能な利益を創出する必要があります。
売上を作るための商品仕入れや、販売戦略における雇用であったり、広告費等の計上が適正に行われているか?ということも重要なポイントになります。
大儲けすれば、公庫の審査が通りやすいと思う方もいらっしゃいますが、創業融資におけるポイントは、創業計画の実現性となります。高い利益を出すということはそれだけ難易度も高くなりますので注意が必要です。
信用情報
創業融資の位置づけは、法人を興している等は関係なく、個人創業の延長線上で判断が行われます。つまり、個人の信用に関連する項目、例えば、個人信用情報や自己資金等が非常に重視されることとなります。
特に個人信用情報については、以下のポイントに注意してください。
延滞
延滞情報は全て掲載されます。(遅れて支払が完了した情報も掲載されます)また、延滞が3か月以上継続した場合、その個人情報は「異動」=ブラック情報が記載されることとなります。
延滞情報は単に口座の残高の確認不足であったとしても掲載されることから、日頃からしっかり注意することが必要です。
なお、金融機関の借入を合意の元、返済条件を変更するリスケジュールについては、契約自体を修正することから信用情報への掲載は行われません。しかしながら、リスケジュール中の借入は、しかるべき事由がない限り、通常行うことはできません。
自己破産
自己破産をした場合は、全国銀行個人信用情報センターにのみ情報が掲載されますが、他の金融機関や金融会社を含め、官報の情報を取得しているため、破産の事実を知らないということはありません。
代位弁済
代位弁済とは、信用保証協会付の融資を利用していた場合、金融機関が借入の契約を解除した場合に信用保証協会が保証している金額を銀行に支払した結果、求償権を取得し、当事者に請求することを言います。
当然、保証協会は一括弁済を申し入れてくるので、一般的には延滞債務になり、ブラック情報が掲載されることとなります。
任意整理
任意整理とは法的に債務を圧縮する手続きです。破産と異なり、債務が残ることから債務の延滞情報を引継ぎすることとなりますのでブラック情報は残る形となります。
上記の情報があれば、ブラック情報となることからこの情報が消えるまで、創業融資を資金調達の対象とせず、創業資金を確保する算段が必要となります。
まとめ
創業融資にはいくつかの審査ポイントがありますが、そのなかでも「動機」・「経験、資格」・「販売戦略」・「投資と収支」・「信用」の5つはとくに重視され、このうちのひとつでも問題があると審査落ちの原因となってしまいます。しかし、はじめて融資を受ける方がこれらを正しく公庫の担当者に伝えることは、非常に難易度が高いこととなります。
ドリームゲートは約62,000件の起業相談にのってきた専門家がそろっており、資金調達のお悩みや不安を無料でメール相談することができます。
不安なことや分からないことはメール相談や面談を利用して解消し、創業融資の審査を通過できるよう備えておきましょう。
創業融資を予定通り受けることは、ビジネスの立ち上げにとってもその後の成長にとっても、最重要課題となります。
まずはドリームゲートの認定アドバイザーに相談し、確実に新規開業資金を成功させることをおすすめします。
執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 田中 琢郎
(たなか たくろう) /株式会社ファイナンスアイ
「まずは私に相談してください」を合言葉に、無料メール相談はもちろん、電話・LINEで無料相談を受け付け、困った経営者に寄り添う資金調達の専門家です。落ち着いたお人柄で親身に話を聞いてくださいます。資金繰り・創業融資で困ったらまずは田中アドバイザーへ。
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