「業績が悪化したので、なんとか生き残りの策を見つけたい」「以前から業態転換を考えていたが、コロナ禍を好機と捉えて思い切ってチャレンジしてみよう」そう考えている経営者にとって、ぜひともチャレンジしていただきたいのが「事業再構築補助金」です。最大1億円が補助されるため、逆境から起死回生を狙うことも夢ではないでしょう。
ただし、事業再構築補助金を受けるためには説得力のある事業計画書が欠かせません。第1回目の公募では採択率36%と、きびしい数字が出ています。
この記事では、補助金獲得を多数サポートしてきたドリームゲートが事業計画書のポイントや認定支援機関の選びかたをわかりやすく解説しています。ポイントを確実におさえて、補助金を確実に獲得できる事業計画書をつくりましょう。
- 目次 -
事業計画書づくりにかける時間は「120時間」で採択率アップ?!
事業再構築補助金の事業計画書づくりのポイントを説明する前に、興味深いデータを紹介します。
よく事業再構築補助金は「ものづくり補助金」と比較されることが多いのですが、令和2年度のものづくり補助金に関する採択状況のデータによると、第6次締切(平均採択率47.4%)において事業計画書の作成に120時間かけた申請者がもっとも採択率が高いことが発表されています。
「120時間以内」が採択率54%であるのに対し、10時間以内では35%と、その差は19%もあります。
補助金獲得のための事業計画書作成は1日8時間かけても15日もかかる、非常に大掛かりな作業であると理解しましょう。
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事業再構築補助金に採択される事業計画書のポイント
事業再構築補助金は新型コロナウィルスに影響を受けた中小企業等を立て直すためにできた補助金で、コロナ後を見すえた新分野展開や思いきった業態転換などに使えます。1兆円を超える予算規模で話題になったので、名前だけでも知っているという人も多いことでしょう。
中小企業の場合、最大1億円の補助が受けられるのでぜひ獲得したい補助金ですが、そのためには採択されなければなりません。まずは事業再構築補助金を獲得する事業計画書のポイントや注意点を確認していきましょう。
事業再構築補助金の事業計画書は原則15ページ以内
事業再構築補助金の申請には、事業再構築に向けた事業計画書の提出が必要です。
事業計画書の書き方にはページ数の指定があり、「15ページ以内」と指示されています(補助金額が1,500万円以下の場合は10ページ以内)。
15ページ(10ページ)以上になっても審査はしてもらえますが、公募要領で具体的にページ数の上限が提示されているので、原則として指定ページ内におさめましょう。
公募要領にも明記されていますが、文章量が多いからといって審査にプラスにはたらくわけではあなく、長すぎる事業計画書は要点がまとまっていないとマイナスの印象を与える可能性すらあります。
なお、事業再構築補助金の申請はすべてオンラインです。事業計画書を提出するときにはデータをPDF形式に変換し、電子申請システムでの申請のさいに添付して提出することになります。
「認定支援機関」と策定するのがルール
事業再構築補助金の事業計画書は、「経営革新等支援機関(認定支援機関)」と一緒に策定する必要があります。認定支援機関とは地域の商工会や税理士、経営コンサルタントなど、経営のプロとして認定された機関のことをいいます。事業再構築補助金に使う事業計画書は通常のものとちがって、新規事業や業種転換をして事業を成長させていくことを説明するものです。
しっかり支援してくれる認定支援機関と一緒に計画を策定すれば補助金に採択される可能性が高くなるので、補助金申請を考えている中小企業等にとっては、具体的なノウハウを知ることよりも、自分の事業プランに合った認定支援機関を選ぶことのほうが重要だと言えるでしょう。
なお、補助金を申請するときには認定支援機関の「確認書」の提出が求められます。自力で計画策定ができたとしても、認定支援機関の監修は必須になるのでご注意ください。
(補助金額が3,000万円を超える場合は金融機関も一緒になって計画策定する必要があります)
誰が見てもわかる言葉で
事業再構築補助金の審査員は、個別の事業内容についての専門知識がありません。業界知識のない人が審査するのですから、業界用語や専門用語を知らず知らずのうちに使わないよう注意しなければなりません。たとえば中学生が読んでもどんな事業をしているか理解できるくらいに、誰が見てもわかりやすい説明を心がけましょう。
収支計画・マーケティング計画は根拠をしっかり示す
こちらの令和3年度行政事業レビューによると、すでに提出されている事業計画は「顧客規模の積算根拠が甘い」という発言があります。つまり、マーケティング計画部分の想定根拠に不十分さがあるということです。
この補助金の事業目的はコロナ以降の経済社会の発展です。社会に受け入れられる、多くの消費が期待できる事業でないと採択は難しいでしょう。収支計画におけるマーケティング計画は、実現可能性が強く求められることを意識する必要があります。
採択されたら終わりではない
無事に採択された場合にも、必要に応じて認定支援機関から助言を受けながら、計画にもとづいて事業を進めなければなりません。補助金採択後に対応が必要な点は以下のようなものがあります。
- 5年間は経営状況等の年次報告が必要
- 補助金で購入した設備を処分や売却するときにはあらかじめ事務局の承認を受けなければならない
- 補助金が当初の予定とちがう用途に使われていないか、事務局や会計検査院の抜き打ち検査が入ることがある
- 補助金で購入した設備等の管理がルールから逸脱していた場合、補助金の返還を求められる場合がある
補助金の財源は税金なので、好きなように使えないのはある程度しかたのないことですが、人によっては事務や事後対応が面倒に感じることもあるかもしれません。こうした部分に不安がある人は、しっかり事後サポートまでしてくれる(長期的に信頼関係をもって付き合える)認定支援機関を選ぶとよいでしょう。
「無料」で相談できる、ドリームゲートアドバイザーの認定支援機関
事務手続きなどで面倒な部分はあっても、事業再構築補助金が魅力的な補助金であることは間違いありません。説得力のある事業計画書をつくって、ぜひとも補助金を獲得したいものです。
ドリームゲートには事業計画づくりや補助金申請に実績のあるプロが多数在籍しています。誰に相談したらいいかわからないという人は、ドリームゲートの専門家から選んでみるといいでしょう。
事業再構築補助金が獲得できる事業計画書の書き方
事業再構築補助金はいずれにしても認定支援機関のサポートが必須なため、具体的な計画策定まで自力で完結できなくても、認定支援機関からアドバイスを受けられます。しかし、大まかな注意点や審査のポイントは把握しておく必要があるでしょう。ここでは事業再構築補助金の申請でとくに重要な点について解説していきます。
なお、補助金の審査でチェックされる項目はあらかじめ公表されています。興味のある人はぜひ下記ページを読み込んでみてください。
補助金の概要をつかむには以下のページも参考になります。
2/5追記・特別枠が追加決定!「事業再構築補助金」について税理士が解説
事業計画書でカバーすべき4つのポイント
事業再構築補助金の事業計画書では、合理的で説得力のある内容が求められます。計画書のなかで以下のポイントをカバーできているかどうかチェックしましょう。続いて説明する「審査項目・加点項目」をすべて満たしていれば、おのずとこれらのポイントに触れることになるはずです。
事業再構築補助金の事業計画書では、合理的で説得力のある内容が求められます。計画書のなかで以下のポイントをカバーできているかどうかチェックしましょう。続いて説明する「審査項目・加点項目」をすべて満たしていれば、おのずとこれらのポイントに触れることになるはずです。
①補助事業の具体的取組内容
①-1
現在の事業の状況、強み・弱み、機会・脅威、事業環境、事業再構築の必要性、事業再構 築の具体的内容、今回の補助事業で実 施する新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、事業再編またはこれらの取組につい て具体的に記載します。
事業実施期間内に投資する建物の建設・改修等の予定、機械装置等の型番、取得時期や技 術の導入や専門家の助言、研修等の時期についても、可能な限り詳細なスケジュールを記載 する必要があります。
ここは必要に応じて図表等を用いて具体的に説明するといいでしょう。
①-2
応募申請する枠(通常枠、卒業枠、グローバルV字回復枠、緊急事態宣言特別枠)と事業 再構築の種類(「事業再編型」、「業態転換型」、「新分野展開型」、「事業転換型」、 「業種転換型」)に応じて、「事業再構築指針」に沿った事業計画を作成します。
①-3
補助事業を行うことによって、どのように他者、既存事業と差別化し競争力強化が実現するかについて、その方法や仕組み、実施体制など、具体的に記載します。
①-4
既存事業の縮小または廃止、省人化により、従業員の解雇を伴う場合には、再就職支援の計画等の従業員への適切な配慮の取組について具体的に記載します。
②将来の展望
事業化に向けて想定している市場および期待される効果について説明します。
②-1
本事業の成果が寄与すると想定している具体的なユーザー、マーケットおよび市場規模等について、その成果の価格的・性能的な優位性・収益性や課題やリスクとその解決方法などを 記載します。
②-2
この事業の成果の事業化見込みについて、目標となる時期・売上規模・量産化時の製品等の 価格等について簡潔に記載します。
ここも必要に応じて図表等を用いて具体的に説明するといいでしょう。
③この事業で取得する主な資産
この事業により取得する主な資産(単価50万円以上の建物、機械装置・システム等)の名称、 分類、取得予定価格等を記載します。(補助事業実施期間中に、別途、取得財産管理 台帳を整備する必要があります。)
④収益計画
この事業の実施体制スケジュール、資金調達計画等に関して具体的に記載します。
収益計画(表)には付加価値額を算出する必要がありますが、その算出根拠も必要です。
事業再構築補助金の審査項目・加点項目
事業再構築補助金は審査の結果で採択されるかどうか決まる補助金です。審査に通過しやすくするためには、公募概要に記載されている審査項目を網羅した計画をつくることが欠かせません。
ここで紹介する内容は、すべて公募概要に「審査項目・加点項目」として明記されているものです。ひとつひとつの条件を確実にクリアするのが補助金採択への近道になります。
1.補助対象事業としての適格性(補助金の要件を満たすかどうか)
補助金を受けたあとの3~5年計画で、「付加価値額」の年率平均が3.0%以上になる必要があります。(付加価値額とは営業利益、人件費、減価償却費を足したもののこと)
2.事業化点(新規事業の計画性や将来性など)
事業計画を実行するのに必要な人員、健全な財務体制が整っているか。計画を実現するのに十分なマーケットや市場規模があると検証されているか。など
3.再構築点(大胆な事業の再構築かどうか、コロナによる緊急性があるかどうかなど)
大胆な事業の再構築を狙ったものになっているか。事業環境の悪化が新型コロナウイルスの流行に起因するものかどうか。自社の強みと市場ニーズがうまくかみ合ったものになっているか。など
4.政策点(新規事業の内容やその優良性など)
先端技術を活用したものであるか。差別化ができているか。地域の雇用の創出や経済成長につながる計画になっているか。など
5.加点項目
- 令和3年の緊急事態宣言の影響で、2021年1月~3月のいずれかの月の売上高が前年(または対前々年)同月比で 30%以上減少していること。
- 上記①の条件を満たしたうえで、2021年1月~3月のいずれかの月の固定費(家賃+人件費+光熱費等の固定契約料)が同期間に受給した協力金の額を上回ること。※ 加点項目については、エビデンスとなる添付書類を提出し、各要件にあてはまることが確認できた場合にのみ加点される。
- 「データに基づく政策効果検証・事業改善を進める観点から、経済産業省が行うEBPMの取組に対して、採否に関わらず、継続的な情報提供が見込まれるものであるか。」という項目が2次公募から追加されました。こちらはチェックを入れるだけで加点されます。
審査項目・加点項目をうまく盛り込んでポイントの高い事業計画書をつくるには、専門家の協力が欠かせません。ドリームゲートには補助金採択に実績のある認定支援機関が多数在籍しています。
自己分析が説得力あるビジネスプランにつながる
SWOTとは、事業計画書をつくる際に用いられる定番の自己分析法です。
SWOTとはStrength(強み), Weakness(弱み), Opportunity(機会), Threat(脅威) の頭文字をとった略語で、自社の強みや弱みと市場環境をかけ合わせてビジネスモデルを考える手法です。
新規事業の計画は事業再構築補助金で一番重要なポイントなので、その完成度を上げるのが補助金採択への近道となります。
審査項目にも明示されているとおり、自社の強みと市場ニーズをマッチさせた計画であれば説得力がアップするのですが、そのためには自社の強み・弱みを利用して市場ニーズを獲得するための分析法であるSWOT分析がぴったりなのです。
SWOT分析のやり方はシンプルなので、自社を見つめ直す意味でもぜひ挑戦してみてください。
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事業再構築補助金の事業計画書テンプレートを買ってつくればいいのか?
事業再構築補助金の事業計画書を簡単につくれるとのうたい文句で販売されているテンプレートを目にします。本当にテンプレートを使って作成すれば採択されるのでしょうか?
たとえばドライブイン形式での食事のテイクアウト販売を始めたいイタリアンレストランと、半導体製造装置の技術を応用した洋上風力設備の部品製造を開始したい製造業の会社とが、同じページ構成の事業計画書でつくれるでしょうか?
また同じ業種であっても、自身の事業がもつ「強み・弱み」も違えば新しい事業に必要な要素も異なります。
本当に必要な要素だけで15ページ(もしくは10ページ)にまとめようとするならば、テンプレートは要らないのではないでしょうか。
公式発表されている事業計画書のサンプルを確認する
事業再構築補助金の公式サイトでは実際に1次で審査を通り採択となった事業計画書をサンプルとして公開しています。
こちらも非常に参考になりますので、確認すべきでしょう。
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/cases.php
まとめ
事業再構築補助金に採択されるには、公募要領に指示された審査項目を満たした事業計画書をつくる必要があります。15ページ(もしくは10ページ)のなかでカバーすべき内容が多岐にわたっているので、プロと相談しないとしっかりした計画書をつくるのは難しいでしょう。
これから事業再構築補助金を申請しようと思っている人は、自力で事業計画書をつくる方法を探すよりも信頼できる認定支援機関を見つけることのほうが大事です。
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