中小企業庁は、中小企業等を対象にした事業再構築補助金について、令和4年版で変更を加える方針を示しました(*1)。
変更のコンセプトは「クリーンエネルギー」「成長と分配の好循環」となっています。
大きく6つの変更点があるので、1つずつ解説します。
*1:https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/hoseiyosan_gaiyou.pdf
- 目次 -
令和4年は第5回公募から
事業再構築補助金は公募期間が細かく区切られていて、令和3年は、12月21日に締め切りになる第4回公募が最終になります。
令和4年は第5回公募から始まり、そのスケジュールは以下のとおりとなっています。
<事業再構築補助金の令和4年の予定>(令和3年12月上旬現在)
- 第5回公募:令和4年1月中を予定
- 第6、7、8回公募:令和4年中に実施
中小企業庁は今回、第5回と第6回の公募分の変更箇所を公表しました。
変更に伴う追加予算(令和3年度補正予算案額)は6,123億円と、かなりボリュームがあります。
6つの変更点の「タイトル」を紹介
6つの変更点は次のとおりです。
- 売上高10%減少要件の緩和(第6回公募から)
- 回復・再生応援枠の創設(第6回公募から)
- グリーン成長枠の創設(第6回公募から)
- 通常枠の補助上限額の見直し(第6回公募から)
- 新事業売上高10%要件の緩和(第5回公募から)
- その他
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1、売上高10%減少要件の緩和(第6回公募から)
事業再構築補助金には、売上高10%減少要件というルールがあります。
ただし従来は、売上高10%減少要件には例外的に「令和2年10月以降の連続する6カ月間のうち、任意の3カ月の合計売上高がコロナ以前と比較して5%以上減少していること」というルールがありましたが、これを第6回公募から撤廃します。
第6回公募からは要件は「令和2年4月以降の連続する6カ月間のうち、任意の3カ月の合計売上高が、コロナ以前と比較して10%以上減少していること」のみになります。
2、回復・再生応援枠の創設(第6回公募から)
引き続き業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む事業者への支援として、第6回公募から「回復・再生応援枠」が創設されます。
その対象となる事業者は次のとおりです。
<回復・再生応援枠の対象事業者>
●通常枠の申請要件に加えて以下の2項目のうち、どちらかを満たす
1、令和3年10月以降のいずれかの月の売上高が対令和2年、または令和元年同月比で30%以上減少していること
2、再生支援協議会スキーム等に則り再生計画を策定していること
回復・再生応援枠の補助金額と補助率は従業員数によって異なり、以下のとおりです。
従業員数 | 補助金額 | 補助率 |
---|---|---|
5人以下 | 100万~500万円 | 中小企業3/4 中堅企業2/3 |
6~20人 | 100万~1,000万円 | |
21人以上 | 100万~1,500万円 |
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3、グリーン成長枠の創設(第6回公募から)
第6回公募からグリーン成長枠を創設します。これは、グリーン分野で事業再構築を行い、高い成長を目指す事業者を支援する狙いがあります。
グリーン成長枠の対象になる事業者の要件は以下のとおりです。
<グリーン成長枠の対象事業者>
- 事業再構築指針に沿った事業計画を認定経営革新等支援機関と策定すること(補助額3,000万円超は金融機関も必須)
- 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均5.0%以上増加、または従業員1人当たり付加価値額の年率平均5.0%以上増加の達成を見込む事業計画を策定すること
- グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取り組みとして記載があるものに該当し、2年以上の研究開発・技術開発、または従業員の一定割合以上に対する人材育成をあわせて行うこと
14分野は以下のとおりです(*2)。
- 洋上風力・太陽光・地熱
- 水素・燃料アンモニア
- 次世代熱エネルギー
- 原子力
- 自動車・蓄電池
- 半導体・情報通信
- 船舶
- 物流・人流・土木インフラ
- 食料・農林水産業
- 航空機
- カーボンリサイクル・マテリアル
- 住宅・建築物・次世代電力マネジメント
- 資源循環関連
- ライフスタイル関連
グリーン成長枠の要件はかなりハードルが高いのですが、その分、補助金額が大きい特徴があります。
対象事業者 | 補助金額 | 補助率 |
---|---|---|
中小企業 | 100万~1億円 | 1/2 |
中堅企業 | 100万~1億5,000万円 | 1/3 |
*2:
https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/ggs/index.html
4、通常枠の補助上限額の見直し(第6回公募から)
第6回公募から、通常枠の補助上限額を見直します。
従来の上限額は「4,000万円、6,000万円、8,000万円」の3種類でしたが、第6回公募から「2,000万円、4,000万円、6,000万円、8,000万円」の4種類になります。
補助率は変わりません。
さらに詳しく紹介すると、以下のようになります。
従業員規模 | 補助金額 | 補助率 | |
---|---|---|---|
第5回公募まで | 第6回公募から | ||
20人以下 | 100万~4,000万円 | 100万~2,000万円 | ●中小企業 ・原則2/3 ・6,000万円超は1/2 ●中堅企業 ・原則1/2 ・4,000万円超は1/3 |
21~50人 | 100万~6,000万円 | 100万~4,000万円 | |
51~100人 | 100万~8,000万円 | 100万~6,000万円 | |
101人以上 | 100万~8,000万円 |
通常枠の要件は以下のとおりです。
<通常枠の対象事業者>
- 令和2年4月以降の連続する6カ月間のうち、任意の3カ月の合計売上高が、コロナ以前(令和元年、または令和2年1~3月)の同3カ月の合計売上高と比較して10%以上減少していること
- 事業再構築指針に沿った事業計画を認定経営革新等支援機関と策定すること(補助額3,000万円超は金融機関も必須)
- 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加、または従業員1人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上増加の達成を見込む事業計画を策定すること
5、新事業売上高10%要件の緩和(第5回公募から)
第5回公募から、事業計画のルールについて次のような変更が行われます。
- 第4回まで
3~5年の事業計画期間終了後に、「新たな製品等の売上高が総売上高の10%以上となる事業計画」を策定すること
↓ - 第5回から
「新たな製品等の売上高が総売上高の10%以上となる事業計画」に加えて、「付加価値額の総付加価値額(※)の15%以上となる事業計画」でも認める
(※)付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費 - 第5回からの新ルール
令和3年11月以前に終了する事業年度の売上高が10億円以上の事業者で、事業再構築を行う事業部門の売上高が3億円以上であれば、新事業の売上高が当該事業部門の売上高の10%以上でも要件を満たすこととする
6、その他
その他の変更は次のとおりです。
●補助対象経費の見直し
・「建築費」は原則、改修に限り、新築の場合は一定の制限を設ける(第6回公募から)。
・「研修費」は、補助対象経費総額の1/3を上限にする(第6回公募から)。
・「貸工場賃借料」は、補助事業実施期間内に工場の改修等を完了して貸工場から退去することを条件に、貸工場の賃借料についても補助対象経費として認める(第5回公募から)。
ただし、一時移転に係る費用(貸工場の賃借料、貸工場への移転費等)は補助対象経費総額の1/2を上限とする。
●複数企業等連携型を新設(第6回公募から)
1者あたり各申請類型の上限額を上限として、最大20社まで連携して申請することを認め、一体的な審査を行う。
ただし、売上高10%減少要件は、①各者で要件を満たすこと、②連携体合算で要件を満たすこと(ただし同月を用いる)のいずれかを満たすことで要件を満たすこととする。
●事前着手の対象期間の見直し(第6回公募から)
事前着手の対象期間を現在の令和3年2月15日から見直す。
既に事前着手を開始している事業者は、第6回公募以降は対象経費として認められなくなる場合があるのでご注意ください。
まとめ~自社にとってよい条件を探しましょう
令和4年の事業再構築補助金について解説しました。対象になったり、対象にならなかったりするケースも起こりえるので注意が必要です。
また、第6回公募から変わる内容と、第5回公募から変わるものがあります。自社にとって条件のよいほうを選びたいので、変更点をしっかり確認することをおすすめします。
執筆者プロフィール:ドリームゲート事務局
ドリームゲートは経済産業省の後援を受けて2003年4月に発足した日本最大級の起業支援プラットフォームです。
運営:株式会社プロジェクトニッポン
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