パーソナルジム開業に必要な資金や資金調達方法、事業計画書の書き方について徹底解説

この記事はに専門家 須田 幸宏 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

パーソナルジムを開業するにはどのくらいお金がかかるのか?どのようにすれば失敗せず運営していけるだろうか?そんな疑問をお持ちではないでしょうか。
パーソナルジム開業にかかる資金は最低でも500万以上のコストがかかる一方で市場規模は前年度に比べて横ばいとなっています。この記事では、パーソナルジム開業にかかる開業資金や運転資金、その資金調達方法から開業に必要な資格・届出と、できるだけ初期コストを抑えて開業して成功するためのステップについて解説します。

パーソナルジムは儲かる?

パーソナルジムは高単価のサービスを提供できるため、収益性が高いビジネスモデルとして注目されています。特に、個別指導を重視するパーソナルジムでは、一人当たりの単価が一般的なフィットネスジムよりも高く、安定した収益を確保しやすいと言えます。しかし、日本のフィットネスクラブの市場規模は令和4年が4,503億円だったのに対し、令和5年が4,886億円となり、伸び率は8.5%となった。令和4年の市場規模は、前年比9.5%だったため、伸び率は落ち着きつつあるといえます。

そのため、成功するためには単にジムを開業するだけでなく、ターゲット層を明確にし、差別化を図ることが重要です。パーソナルジムは適切な戦略を持って運営すれば十分に儲かるビジネスですが、競争が激化しているため、他社との差別化や効果的な集客施策が求められています。

図・情報の引用元:日本のフィットネス市場、令和5年は4,886億円(フィットネスビジネス

開業資金や運転資金はどれくらい必要

パーソナルジムを開業する際、必要な費用には物件取得費、内装費、設備投資費用、広告費などが含まれます。自宅の一部を活用する場合は比較的低コストで始められますが、テナントを借りて本格的に運営する場合は、最低でも500万円以上の資金が必要になることが一般的です。
また、ランニングコストとして、毎月の家賃、光熱費、人件費、広告費、消耗品費などの運転資金も考慮する必要があります。特に、開業初期は会員数が安定しないため、半年〜1年分の運転資金を確保しておくのが理想的です。

参照元:パーソナルトレーナーの開業資金(J-Net21)

開業にかかる費用資金は?

パーソナルジムの開業には、以下のような費用が発生します。

  • 物件取得費:テナント型では、敷金・礼金を含め100万〜500万円程度。
  • 内装費:ジムの雰囲気を整えるため、100万〜300万円。
  • 設備投資:トレーニングマシン、ダンベル、マット、鏡などに100万〜300万円。
  • 広告費:SNS広告やWebサイト制作費として、20万〜50万円。
  • その他:保険料、運営ソフトウェア導入費などを含め、総額800万〜1,000万円程度の資金が必要になります。

開業に必要な物品は?

パーソナルジムを開業する際に必要な設備や備品には以下のものがあります。

  • トレーニング機器(バーベル、ダンベル、スミスマシン)
  • フリーウェイトエリアのマット、ミラー
  • ストレッチエリアのヨガマット、バランスボール
  • カウンセリングスペースのデスク、椅子
  • 受付用のパソコン、決済システム
  • シャワー設備、ロッカー(必要に応じて)

必要な運転資金は?

パーソナルジムの運営には、毎月の固定費として家賃、光熱費、人件費、広告費などがかかります。

  • 家賃:テナント型では10万〜50万円程度。
  • 光熱費・通信費:5万〜10万円程度。

開業直後は会員が安定しないため、最低でも半年分の運転資金を確保しておくことが望ましいです。

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融資や補助金を詳しくご紹介

資金調達は、事業を成功させるために欠かせません。主な方法として、日本政策金融公庫の融資や政府の補助金などがあります。それぞれの特徴や申請のポイントを押さえ、自社に合った資金調達手段を選びましょう。

融資

パーソナルジム開業のための資金調達方法として、日本政策金融公庫の「新規開業資金」や銀行のビジネスローンがあります。日本政策金融公庫の融資は無担保・無保証で借りられる場合もあり、開業資金が少ない場合でも活用しやすい制度です。

しかし融資を受けるためには一定の自己資金が求められるケースが多く、自己資金がゼロの状態では借り入れが難しくなります。公式のWebサイトによると融資希望額の24%程度の自己資金を用意しておくと金融機関からの信用が高まり、審査が通りやすくなります。

一概には言えませんが、日本政策金融公庫総合研究所の「新規開業実態調査」のデータによると、創業資金調達総額に占める自己資金の割合は24%となっています。同調査によると、事業開始からおよそ1年間のうちに黒字基調となった企業は全体の約60%との結果が出ています。借入に依存した計画では、思っていたほど売上が上がらなかったり、予想外の出費がかさんだりすると、資金繰りが苦しくなる場合があります。自己資金と借入金のバランスを考え、ゆとりを持った資金計画を立てることが大切です。

引用:Q4:自己資金はどれくらいあればよいですか?(日本政策金融公庫・創業計画Q&A)

また、創業支援融資の審査では、綿密な事業計画書の提出が求められます。特に、収支計画やターゲット市場の明確化、競合分析などをしっかりと行い、説得力のある計画を作成することが重要です。開業後の具体的な運営計画や、収益を上げるための戦略がしっかりと示されていないと、融資の審査に通過するのは難しくなります。そのため、事業計画書の作成には時間をかけ、専門家に相談するなどの対策を講じることをおすすめします。

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開業にあたって受けられる補助金

パーソナルジムの開業には、以下の補助金が利用できる場合があります。

創業支援補助金:各自治体や商工会議所が実施している補助金で、設備投資や人件費の一部を補助を受けることが可能です。
IT導入補助金:オンライン予約システムや決済システム導入時、Webサイト作成時などに補助が可能です。ただし、開業してから1期を経過しないと申請する際に必要な書類を準備できないため、開業してから1年度目の決算を終えてない事業者は申請できません。これらの補助金は申請に時間がかかるため、開業前に早めに情報収集を行うことが重要です。

パーソナルジム開業に特別必要な資格や届出はある?

パーソナルジムを開業するのに必須の資格はありませんが、トレーナーとして活動するためには以下の資格を取得しておくと信頼性が向上するほか、対応しておくことで税金がお得になる手続きがあります。

必要な資格

パーソナルジムを開業するにあたって信頼性ために以下の資格を取得しておくことをおすすめします。

  • NSCA-CPT(NSCA認定パーソナルトレーナー)
  • NESTA-PFT(NESTA認定パーソナルトレーナー)
  • JATI-ATI(日本トレーニング指導者協会認定資格)
  • 健康運動指導士・健康運動実践指導者

また、パーソナルジムを運営する上で、管理栄養士や栄養士などの栄養系資格を持っていると非常に有利です。トレーニングと食事管理は密接に関係しており、適切な栄養指導ができることで顧客の満足度向上や継続率の向上につながります。また、専門的な知識を活かして食事プランを提案できるため、他のジムとの差別化にもなります。特にダイエットやボディメイクを目的とする顧客に対して、総合的なサポートが可能となる点が大きなメリットです。

必要な届出

個人事業主としてパーソナルジムを開業する場合は、税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出する必要があります。法人として運営する場合は法人設立手続きを行いましょう。個人事業主の場合、確定申告は原則として白色申告となりますが、青色申告を選択することで節税メリットを享受できます。

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開業方法別のメリット・デメリット

パーソナルジムの開業にはテナント型の開業、自宅の一室での開業、シェアジムでの開業と3つの手法に分けることができます。それぞれのメリットデメリットは以下の通りです。

開業方法 メリット デメリット
テナント型開業 立地によっては高い集客効果が期待できる
店舗のブランド力を高めやすい
家賃や内装費が高額
集客が安定するまでの運転資金が必要
自宅開業 初期費用を抑えられる 集客が難しい
住居物件の規約に注意が必要
シェアジム開業 初期費用を大幅に抑えられる
設備投資の必要がない
競合が多くなる可能性がある
シェア施設のルールに従う必要がある
オンラインジム 初期費用を大幅に抑えられる
設備投資の必要がない
集客にはSNSやWeb広告といった専門性の高い施策が必要になる

テナント型での開業

テナント型とは、ビルの一室などを借りて、一から開業する方法のことを指します。テナント型でパーソナルジムを開業する場合、立地による集客効果が期待でき、ブランド力を高めやすいのが特徴です。特に、駅近や商業施設の近くに出店することで、一定の顧客流入が見込めます。しかし、物件取得費や内装費が高額で、開業後もしばらくは固定費の負担が大きいため、安定した会員獲得が必要不可欠です。資金計画をしっかり立て、長期的な視点で事業運営を行うことが重要です。

自宅開業

自宅の一室を活用してパーソナルジムを開業する形態は、初期費用を抑えられる点が大きなメリットです。特に、テナントを借りる場合と比べて家賃や内装工事費を大幅に削減できるため、資金に余裕がない場合でもスタートしやすいのが特徴です。しかし、一般的な住居用物件では事業用としての使用が制限されている場合がほとんどで、大家さんに許可をもらいにいくか「SOHO(Small Office Home Office)」と言われるような物件を契約する必要があります。

SOHO物件は一般的な物件検索サイトなどで条件に合ったものを探すことが可能です。ただし、パーソナルジムは不特定多数の顧客が訪れる業態であるため、SOHO物件であっても利用制限が設けられていることがあります。さらに、騒音や振動の問題が発生しやすいため、近隣住民とのトラブルを避けるためにも、契約前にオーナーや管理会社と営業可能な時間帯や利用ルールを詳細に確認しておく必要があります。

シェアジムでの開業

シェアジムでの開業は、設備投資が不要で初期費用を大幅に抑えられる点が魅力です。既存のジムスペースを時間単位で借りることで、個人トレーナーとして柔軟に働くことができたり、SNSで集客したお客さんにとって都合の良いシェアジムを探して出張サービスのような展開をすることも可能です。ただし、同じ空間を複数のトレーナーが利用するため、競争が激しくなる可能性があります。また、シェアジム側のルールや契約条件に従う必要があり、自分の理想とするジム運営が難しいケースもあります。シェアジムはスペースマーケットやインスタスペースといった場所の時間貸しマッチングプラットホームで探すことができます。

オンラインジムでの開業

オンラインジムは、ZoomやGoogle Meetなどのビデオ通話ツールを活用して遠隔でトレーニング指導を行う形式のジムです。物理的な設備やスペースを必要としないため、テナントを借りる必要がなく、初期費用を大幅に抑えることができます。また、インターネット環境さえ整っていればどこでも指導が可能なため、地理的な制約を受けずに全国の顧客をターゲットにできるのが大きなメリットです。

しかし、オンラインジムは集客を完全にデジタルマーケティングに依存するため、SNSやWeb広告の活用が成功の鍵となります。特にInstagramやYouTubeなどのプラットフォームで認知度を高め、顧客との信頼関係を築くことが重要です。また、対面指導に比べてフォームチェックやトレーニング効果のフィードバックが難しいため、オンラインならではの工夫が求められます。

パーソナルジムを開業する際には綿密な準備を

パーソナルジムの開業には、最低でも500万以上の資金が必要です。物件取得費、内装費、設備投資費などの初期費用だけでなく、半年〜1年分の運転資金もを確保することが重要です。また、資金調達には融資を活用し、事業計画書をしっかり作成することで、開業後の運営をスムーズに進めましょう。開業方法もテナント型、自宅開業、シェアジムなどさまざまな選択肢があるため、自分のビジョンに合った方法を選ぶことが成功の鍵となります。

監修者プロフィール:須田 幸宏(すだ ゆきひろ)
東北の起業家のみなさまをサポートします! 三楽る(みらくる)オフィス

東北を拠点に資金調達の支援で活躍する須田アドバイザー。元日本政策金融公庫融資課長で、日本公庫に33年勤務し、融資を通して、延べ2万以上の事業者、5,000以上の起業家をサポートされてきました。非常に親切・温厚なお人柄で、事業だけでなくライフプランニング(生活・家計の設計・見直し)もサポートされていますので経営者の強い味方となるでしょう。

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ドリームゲートアドバイザー 須田 幸宏

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