【開業届】初心者でもわかる書き方とラクラク手続きのまとめ

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

個人事業主になったら出すといいと言われているのが「開業届」ですが、なんだか面倒そう・・と思う方も少なくないはずです。

そもそもなぜ出したほうがいいのか?メリット・デメリットとは?どのように書けばいいの?いつ、どこにどうやって提出すればいいの?カンタンに済ます方法とは?などを徹底解説。副業の場合でも出さないといけないのか、注意点などをまとめています。はじめて個人事業主になった方は必見です。

開業届

 

- 目次 -

そもそも開業届とは?

<個人事業の開業届出・廃業届出等手続>

新たに事業を開始したとき、事業用の事務所・事業所を新設、増設、移転、廃止したとき又は事業を廃止したときの手続です。(国税庁HPより)

 

そもそも開業届というのは、上記の国税庁HP引用文にあるように、「新たな事業を開始したとき」に提出する書類のことです。基本的に開業日から1か月以内に開業届を提出する必要があります。提出は義務ですが、提出しなくても法的に罰せられることはありません。

開業届を出す4つのメリットと2つのデメリット

では開業届を出すメリットとデメリットはそれぞれどのようなものがあるでしょうか。

メリット1・青色申告による最大65万円の控除

開業届を出すと、青色申告特別控除を受けることができます。要は開業届を出し、青色申告承認申請書を提出することによって、税金の支払いを節約できるということです。

では、具体的にいくらの控除を受けられるでしょうか。

今年、令和2年より青色申告特別控除を適用要件が変更になり、65万の控除を受けるには、「e-Taxによる電子申告または電子帳簿保存」を行う必要が出てきました。従来のままの申告方法だと、55万の控除になり、10万円分減額になってしまいますので注意が必要です。

<改正後65万の青色申告特別控除を受けるには>

  • 正規簿記の原則で記帳(複式簿記)
  • 貸借対照表と損益計算書を添付
  • 期限内申告
  • e-Taxによる電子申告又は電子帳簿保存

国税庁 | 令和2年分の所得税確定申告から65万円の青色申告特別控除の適用要件が変わります。https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/0019009-126.pdf

メリット2・赤字を繰り越せる

「青色申告を行っている事業者は、赤字を最長3年繰り越すことができる」のはご存じでしょうか?事業所得、不動産所得、譲渡所得、山林所得において発生した赤字損失においては翌年以降の所得に繰り越せます。

「赤字の繰り越し」というのは、確定申告をして赤字が出た場合に、その分の損失を翌年の利益から差し引き、翌年はその差額分に対しての税金計算ができるという仕組みです。つまり、今年度の赤字分だけ、翌年以降に節税できるというわけです。

メリット3・屋号で銀行口座が作れる

個人事業主として事業を展開し、取引先とのやり取りに個人の銀行口座で対応するのは、取引先に「プライベートの銀行口座で管理できるレベルの事業規模」だと思われ、信頼を下げてしまう恐れもあるので、「屋号付き銀行口座」を作るといいでしょう。

しっかりプライベートの銀行口座と事業用の銀行口座を分けることで経理処理も随分やりやすくなると思うので、開業届を出したのちには「屋号付き銀行口座」を開設することをおすすめします。

メリット4・家族に払った給料を経費にすることができる

青色申告をすることによって受けられる特典はまだまだあります。ご家族で事業を営んでいる個人事業主の方などは、家族に支払った給料を経費として計上することができます。青色専従者給与といって、「青色専従者給与に関する届け出」を税務署に提出することによって、15歳以上の家族に対する給料を経費にできるようになります。

デメリット1・扶養の問題

主婦(主夫)の方にとっては大きな問題である「扶養」。一般的に「扶養控除」とよばれるものには2つの種類があります。所得による扶養控除と社会保険に対する扶養控除です。

<所得に対する扶養控除>

収入から必要経費を引いた「所得」が38万円を超えないことが条件です。

パートなどをしていて、よく「103万以内に収入を抑えないといけない」と聞くこともあるかと思いますが、それは勤務先の事業所が年末調整時に給与所得控除65万を収入103万からひかれるためであって、個人事業主として開業したあとも同じことを行います。

個人事業主として開業後、年間売り上げが100万で必要経費が70万だった場合、所得は30万円となり、扶養内にとどまることができます。

<社会保険に対する扶養控除>

扶養主の方が入っている健康保険の組合によって、条件はそれぞれ異なってきます。個人事業主として開業届を出すことだけで、扶養とは認めないとしている組合もありますし、「収入130万まで」なら個人事業主として被扶養者が事業を行っていても大丈夫という組合もあります。扶養主の方が加入する組合の扶養認定基準をしっかり確認しましょう。

デメリット2・副業の場合、会社にバレる?

「開業届を提出すると、本業の会社に副業をやっていることがバレてしまうのではないか。」

そう考える人も少なくないでしょう。では、バレずに事業を行うことは不可能なのでしょうか?実は確定申告のやり方を工夫することで、本業の会社にバレる可能性を劇的に減らすことが出来ます。具体的にそのやり方を説明すると、確定申告書の第二表に、給与所得以外の所得に係る住民税の納付方法を選択できる欄があるため、当該欄にて「自分で納付する」を選択しましょう(普通徴収)。

副業での事業立ち上げに興味ある方は以下のリンク先の記事もご覧ください。

開業届の書き方はカンタン!わかりやすく説明

ここでは、開業届を提出するにあたって、手続きをしたことがない人のためにわかりやすく説明していきます。今回は実際に提出する開業届のイラストを使って、記入例を作ってみたのでそれに沿って説明していきます。

  • ①「個人事業の開業・廃業等届出書」の「開業」に〇をつける・
  • ②左上、「税務署長」の左に所轄の税務署名を記入 & 書類の提出日を記入
  • ③納税地には、自宅または事務所の住所を記入
  • ④氏名、生年月日、職業、屋号、マイナンバーを記入する。名前横の印鑑をz          忘れずに!
  • ⑤届出区分「開業」に〇をつける
  • ⑥開業・廃業等日に開業日を記入
  • ⑦開業・廃業に伴う届出書の提出の有無「青色申告承認申請書」を出すなら「有」、「消費税の~」は通常「無」
  • ⑧具体的な事業内容を記入
  • ⑨青色事業専従者、従業員に給与を支払う場合は「給与等の支払の状況」について記入

開業届書き方サンプル

 

国税庁 | [手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm

国税庁 | 個人事業の開業・廃業等届出書(提出用・控用)PDF

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/h28/05.pdf

提出情報、提出先などの情報まとめ

いざ開業届の記入が終わり、提出をするにあたって、いつ提出すればよいのか。そもそも提出方法はどんな方法があるのかについて説明していきます。

提出する時期・タイミング

提出する時期やタイミングについては、基本的に自由です。ただ、失業保険などを受けている方は、未就労状態でしか失業保険料の受給はできないので、開業届を提出してしまうと失業保険を貰えなくなってしまいます。すべて貰い終えた段階で開業届を提出するのも、ひとつのタイミングです。

提出先・提出方法

開業届をこれから提出するにあたって、どうやって提出したらよいのか、自分の状況を踏まえた上でこちらを参考にして、税務署まで届出を行っていただければと思います。

また、基本的に提出する税務署は、事業主であるかたの自宅住所管轄の税務署になります。これから事業所を新たに借りる方もいるかもしれませんが、個人で事業を行う方は基本的に、自宅住所を管轄する税務署で手続きをする必要があります。

<税務署に営業時間内に届出をする場合>

基本的に税務署の営業時間は平日の昼間になります。一般的には、この提出方法でご自身の管轄内の税務署に提出するのがいいでしょう。必要書類に不備があった場合などもすぐに対応することができ、比較的スムーズに手続きを行うことができるでしょう。

<税務署に営業時間外に届出をする場合>

平日の昼間に直接税務署に行けないが、夜間にならいけるという場合、「時間外収納箱」というポストのようなものが税務署の外に設置してあります。基本的に朝税務署の職員が箱の中身を回収し、その受領日は前日に投函されたものと考えます。提出に必要な書類は、郵送時の必要書類と同じです。

<税務署に郵送で届出をする場合>

「開業届提出が期限ぎりぎりになりそうで・・・」このような状況の場合、郵送をおすすめします。郵送は、開業届の受領日が「郵便局が発送した日」になるので、期限まで時間がなく、平日昼間に税務署に行けない方はこの方法で開業届を提出してみてください。ただし、郵送時には、返送用封筒と切手を同封することが必要になりますのでご注意ください。

開業届を出すにあたって気をつけないといけないこと

これから開業届を提出するにあたって、気を付けなければならない注意点や、開業届の提出方法や内容についてより詳しく説明していきます。

開業したら確定申告はマストなのか?

開業したからといって、確定申告をする必要はありません。一般的に開業間もない頃は、確定申告をする必要がない場合が多いですが、詳しくは以下のリンク先をご覧ください。年間収入が2000万以上の方や、2つ以上の企業から収入がある場合などは確定申告する必要性が出てきます。確定申告する必要がある方は、うっかり忘れてしまったりすると、ペナルティーとして延滞税や無申告加算税などの滞納を要求されることもあります。自分は確定申告する必要があるのか、しっかり確認しておきましょう。

国税庁 | 確定申告が必要な方https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki2017/a/01/1_06.htm

副業でも出すの?出すと会社にバれる?

結論から言うと、開業届を提出したからといって、勤めている会社にバレることはありません。ただ、確定申告のやり方を間違えると、バレてしまう可能性もあるので、十分に気を付けて申請を進めてください。

「職業」により税率が変わる

個人事業主が支払う必要がある地方税「個人事業税」。この支払額は行っている事業の種類によって異なります。以下のリンク先は、東京都で開業した個人事業主が支払う個人事業税の表になります。ぜひ一度ご確認してみてください。

東京都主税局 | 個人事業税
https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/kojin_ji.html

開業届を出さないとどうなる?

開業届については、出さないからといって、何か法的な処罰を受けることはありません。

住所はどこにするべき?

開業届で提出する事業所の住所は、個人で事業を行う方でしたら自宅住所で大丈夫です。ただし、賃貸契約をしている場合などは契約上事業所として使えない場合もあるので、その場合はご家族のご実家などを住所として登録することも可能です。またもし、自分でオフィスを借りる予定があるのであれば、そちらの住所を申請してください。

「開業届」よくあるQ&A

ドリームゲートに寄せられるたくさんの質問の中から、「開業届」に関するQ&Aをピックアップしました。

せどりをするのに開業届を出す必要はある?

Amazonせどりをされている方などは、開業届を提出することでメリットが得られることもあるので、開業届の提出はしてもいいですね。せどりを行っているということは、事業者にあたるので、開業届を出す義務はありますが、ただこれはほかの業種と同じで出さなくても何かの処罰を受けることはありません。

ブログ収入が増えた。開業届は出さないといけない?

これは結論として、確定申告する必要があるかないかによります。白色申告をする場合、開業届を提出する必要はありませんが、青色申告する場合は、開業届を管轄の税務署に提出する必要があります。

高校生だけど、LINEスタンプ販売で売り上げがある。開業届は何歳から出すべきなの?

法律上「児童が、満15歳に達した日以後の最初の三月三十一日が終了するまで、これを使用してはならない」となっていて、義務教育を受ける子供が開業届を提出することはできませんが、高校生であれば、開業届を提出することはできます。ただし、未成年ということもあり、法務局で発行する「未成年者登記簿」を発行し、開業届と一緒に管轄の税務署に提出する必要があります。

Uber Eatsで定収入がある。開業届を出す必要はあるの?

ここで大事なのが、「定収入がある」という点です。定収入があるということは、事業の定義である「対価を得て行われる資産の譲渡等を繰り返し、継続、かつ、独立して行うこと」に当てはまるため、開業届を出す必要はあります。

屋号に使える文字は?

  • 漢字
  • カタカナ
  • ひらがな
  • アルファベット
  • 数字(アラビア数字)
  • 記号(「&」「’」「.」「-」「.」「・」)

上記の文字ではないものは使用することができません。また、「株式会社」や「合同会社」のように会社の種類を使用することはできません。

まとめ

いかがでしたか?開業届を出すことは意外とカンタンです。
メリットはなんといっても「青色申告控除を受けられる」ということでしょう。

ご自身の収支を計算し、メリットがあるようでしたらこの記事を参考に提出してみましょう。

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