【ものづくり補助金】不採択→採択に変えるビフォーアフターを公開!

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 赤星 宏一

【はじめに】採択されない理由が納得できない経営者の方へおすすめ記事

令和2年3月頃より、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」(以下、ものづくり補助金)の公募が開始されます。

例年と異なり、

  1. 基金形式への変さらにより3年間にわたり「通年公募」「複数締め切り」の見込みがある
  2. そのため予算額が例年の3倍以上
  3. グローバル展開型といった海外事業支援補助の増額
  4. ビジネスモデル構築型のメニューが増加

となりました。

また、公募要件はまだですが、過去の採択要件からも重要なのは「革新性」の有無です。これは変化しないと考えています。革新性をアピールするには、難しいことに取り組むための

  1. 技術アイデア
  2. 実効性
  3. 事業の持続発展性があること

を示せばいいのです。

なぜなら成長が期待できる分野、収益が見込める分野に対して、本事業名前のとおり生産性向上を目的とした革新的な取り組みに対して、補助金を交付するからです。

今回は審査の目的である革新的な開発、生産性向上に沿わない事例のBefore/Afterを挙げてみます。この記事を期に、採択率平均約40%に入る申請書の書き方を知って、事業の発展に役立ててください。

不採択になる書き方はこれ!設備更新したい!だけでは、補助金は採択されない

不採択になる多くの事例は、「単なる設備更新」による「生産性向上」にしか見えない申請書のことです。例えば、

「20年前の加工機では顧客の要求する加工精度が出にくく、熟練工が必要。歩留まりも悪いため要求納期に応えられない。それが熟練でなくてもできる最新設備を導入したい。」

という申請内容ではどうでしょうか?
簡単に言うと、既存の設備の機能を高めて生産性を向上させる設備投資ですね。

この内容であれば「不採択」グループになります。

確かに現実はそうかもしれませんが、もし採択されても一過性の生産性向上にしかならないため、採択要件である「付加価値額+3%以上/年」を満たさないと判断がされます。
当然、事業の成長が見込めないのであればその他の要件である事業計画3~5年間にわたって「給与⽀給総額が年率平均1.5%以上向上」、「事業場内最低賃⾦が地域別最低賃⾦+30円以上」を満たすことも不可能と判断されます。

「はじめに」にでも述べたように、革新性をアピールするには、難しいことに取り組むための①技術アイデア②実効性③事業の持続発展性があることを示さなければなりません。また、①自社にとって新しい取り組みであったり、②他社でも一般的でない、③地域・業種内での先進性が示されていなければなりません。

では、どのようにすればいいのでしょうか?

設備更新する目的が明確になれば書き方が変わる

一過性の生産性向上では、一社員の改善レベルにすぎません。経営者の改善視点とは、「組織の持続可能性」です。

例えば、

「この設備を導入すれば、他の事業へ水平展開できるかも?」

「今ある他の事業のへの展開ができるかも?」

「設備投資をきっかけに設備を利用した新しいアイデアが具現化できる」

など・・・です。

このように設備更新する「目的」を中長期的視点で考えなければ、採択要件を満たせる事業計画が作成できないのです。

では、先ほどの「既存の設備の機能を高めて生産性を向上させる設備投資」の視点を変えて書くとどうなるか見てみましょう。

不採択文章のAfter

まずは、「難しいお題」について考えます。

事業を行う上で、テーマがあります。例えば、発注先からの要求事項です。ただし、加工精度向上、納期短縮といった、設備投資で解決することではありません。具体的には、次の経営革新につながることが重要です。

  1. 新製品の開発又は生産
  2. 新役務の開発又は提供
  3. 商品の新たな生産又は販売方法の導入
  4. 役務の新たな提供の方式の導入その他の新たな事業活動

つまり審査項目にある「技術面」では、自社でなく他社といった想定的に見ても、一般的でない新製品・新サービス・新技術の開発および新生産方式・提供方法でなければなりません。

もう少し掘り下げると、「既存技術の転用」であるか?または「隠れた価値の発掘」であるかが「革新性」が生まれる要素です。

さらに掘り下げると、既存技術の転用とは、「自社で培ってきた技術を新しい分野・商品・技術に活かすこと」です。また、隠れた価値の発掘とは、「これまで見ていなかった顧客ニーズに応えること」なのです。

つまり、この2つが書かれていれば「革新性がある」ということにつながるのです。あとは、①自社にとって新しい取り組み、②他社でも一般的でない(今まで他がしていないこと)、③地域・業種内での先進性(取引先等でも目新しいこと)が示されていればいいのです。

具体例を挙げてみます。

Before>
20年前の加工機では顧客の要求する加工精度が出にくく、熟練工が必要。歩留まりも悪いため要求納期に応えられない。それが熟練でなくてもできる最新設備を導入したい。
After>
熟練でなくても加工精度が出やすいジグを開発し、その開発したジグを用いた新規設備でジグの内製化を行うことで、今後も顧客要求に合わせたジグの開発・製品精度・納期対応が可能になる。

ジグの開発は、「既存技術の転用」です。また、ジグの内製化は、「隠れた価値の発掘」です。あとは、顧客や業界でこの取り組みがあまりされていない(一般的でない)というのであれば、「革新性がある事業」として認められるのです。

更なる加点で採択率アップを狙うには

革新性は最重要ポイントなのですが、採択されるには更なる加点項目を追加して、政策面・事業化面を強化する必要があります。そのポイントは次の2つです。

1.一石二鳥!加点ポイントとなる中小企業施策を活用する

例えば、「経営革新計画」や「経営力向上計画」、「他地域経済牽引事業計画」、「事業継続力強化計画」、「連携事業継続力強化計画」のいずれかの申請または承認を受けていることです。昨年までは上記の要件が加点要件でした。最新の公募がされしだい確認しましょう。

2.経営力向上計画と先端設備等導入計画は投資メリットを拡大できる

「先端設備等導入計画」は、固定資産税が3年間免除から1/2まで減額(市町村により異なる)されることです。最先端設備投資の最大化が可能になります。

また、「経営革新計画」も①即時償却又は税額控除、②固定資産税が3年間半分、③低利融資等の金融支援があります。

この2つのどちらかの施策を活用することをお薦めします。

まとめ

いかがでしたか?ものづくり補助金は、生産性向上を目的とした革新的な取り組みに対して、最高1億円の補助金が交付される魅力的な補助金です。ぜひ事業の継続発展には、ほしい設備でなく事業が発展する設備申請を検討して申請をしてください。

また、いま必要だからでなく、将来のために必要という経営者としての鷹の目視点から考えた「革新性」「事業化面」「政策面」のバランスが取れた申請書作成をしましょう。

執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 赤星 宏一(赤星宏一技術士事務所)

モノづくりのスペシャリストとして、30%生産性向上を実現。 2018年7月には、赤星宏一技術士事務所を開所。 現在、経験を活かしたモノづくり企業の技術力向上を支援(生産改革・商品開発・5S人財育成等)を行いつつ、モノづくり補助金審査を行う。「国語力+技術力」を強みに、刺さる審査書類の書き方を教えます。

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ドリームゲートアドバイザー 赤星 宏一

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