中小企業や小規模事業者など(以下、中小企業等)の設備投資などを支援する、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(以下、ものづくり補助金)の第13次公募の日程が公表されました。以下のとおりです。
第13次公募の日程
- 公募開始日:2022年10月24日
- 申請開始日:同11月7日
- 申請締切日:同12月22日
この記事では、ものづくり補助金の概要と13次のスケジュールなどについて解説します。
https://portal.monodukuri-hojo.jp/about.html
https://portal.monodukuri-hojo.jp/common/bunsho/ippan/13th/reiwakoubo_20221024.pdf
- 目次 -
ものづくり補助金とは
中小企業等は今後複数年にわたって、働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入といった制度変更に直面します。
ものづくり補助金は、これらに直面した中小企業等が、革新的サービスの開発・試作品の開発・生産プロセスの改善を行うために必要となる費用の一部を補助してくれるものです。
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ものづくり補助金第13次のスケジュール
ものづくり補助金第13次公募のスケジュールを紹介します。なお、13次締め切る分の採択発表は、2023年2月中旬に予定されています。また、13次締切以降の公募予定は未定です。
■申請締め切り日(2022年12月22日)締め切りまでに申請する
↓
■申請方法
申請は、電子申請システムで行います。
申請にはGビズIDプライムアカウントを取得する必要があります。
↓
■審査結果が通知される
審査の結果、採択案件(補助対象予定者)が決定すると、申請者全員に採択・不採択の結果が通知されます。
↓
■交付申請手続きを行う
補助対象予定者は、補助対象経費を精査して、補助金の交付申請手続きを行います。
↓
■交付決定の通知がくる
↓
■補助事業を実施する
中間検査を受けたり、補助事業実施・実績報告を行ったりします。
↓
■補助事業が完了する
↓
■確定検査を受け、補助金の交付額が確定する
↓
■補助対象予定者が補助金を請求する
↓
■補助金が支払われる
↓
■事業化状況報告や知的財産権等報告などを行う
これらの発注・納入・検収・支払等のすべての事業を補助事業実施期間内に行う必要があります。この補助事業実施期間bの期限が従前の扱いと異なっているので注意してください。
補助事業実施期間期限:交付決定日から10か月以内または2023年12月20日までのいずれか早い日まで。
ものづくり補助金は5つの枠・型で多角的に支援する
ものづくり補助金は、中小企業等の取り組みを幅広く支援するため5つの枠と型を用意しています。
申請者(中小企業等)は、自社の取り組みにマッチした枠・型を選んで申請することになります。
5つの枠・型
一般型 |
通常枠 |
回復型賃上げ・雇用拡大枠 |
|
デジタル枠 |
|
グリーン枠 |
|
グローバル展開型 |
「通常枠」と「その他の型・枠」にわけて考えてみては
5つの枠・型の選択に悩んだとき、「通常枠」と「その他の型・枠」があると考えてみるとよいでしょう。
補助金の上限額や補助率は、「その他の型・枠」のほうが優遇されているので、「その他の型・枠」に該当する場合はこちらで申請し、該当しない場合は「通常枠」で申請することをおすすめします。
補助金の上限額と補助率は次の章で紹介します。
また、回復型賃上げ・雇用拡大枠とデジタル枠は、この枠で申請して審査の結果不採択になっても、通常枠で再審査されます。再審査の結果、通常枠で採択されれば、通常枠の条件が適用されます。
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5つの枠・型の補助上限と補助率
5つの枠・型の補助金の上限額と補助率は以下のとおりです。
|
補助上限 |
補助率 |
|
一般型 |
通常枠 |
750万~1,250万円 |
原則1/2 小規模事業者等2/3 |
回復型賃上げ・雇用拡大枠 |
2/3 |
||
デジタル枠 |
|||
グリーン枠 |
1,000万~2,000万円 |
||
グローバル展開型 |
3,000万円 |
原則1/2 小規模事業者等2/3 |
補助金の上限額はグローバル展開型が最も高く3,000万円となっています。次に高額なのがグリーン枠の1,000万~2,000万円です。他の枠よりかなり優遇されていますが、その代わりこれらは申請要件が厳しくなっています。
通常枠、回復型賃上げ・雇用拡大枠、デジタル枠は補助金の上限額は同額ですが、回復型賃上げ・雇用拡大枠とデジタル枠は全申請者が2/3になっていて、これは1/2より優遇されています。
要件について~基礎要件+α
ものづくり補助金を申請するには、いくつか要件をクリアする必要があります。
要件は2段階あり、基礎要件をクリアすると通常枠で申請することができます。その他の枠・型で申請するには、基礎要件をクリアしたうえで、さらに、それ専用の要件をクリアする必要があります。
基礎要件
■基礎要件(これをクリアすれば通常枠で申請できる)
- 事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加
- 事業計画期間において、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にする
- 事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加
これらの要件をすべて満たす3~5年の事業計画を策定していれば、通常枠への申請が可能です。
その他の枠・型専用の+αの要件
通常枠以外のその他の枠・型の要件を紹介します。基礎要件に加えて、以下の+αの要件をクリアできれば、その他の枠・型で申請することができます。
回復型賃上げ・雇用拡大枠の+αの要件
以下のすべての要件に合致する必要があります。
- 前年度の事業年度の課税所得がゼロ以下であること
- 常時使用する従業員がいること
- 補助事業を完了した事業年度の翌年度の3月末時点において、その時点での給与支給総額、事業場内最低賃金の増加目標を達成すること
デジタル枠の+αの要件
以下のすべての要件に合致する必要があります。
●次の①または②に該当する事業であること
- DXに資する革新的な製品・サービスの開発
- デジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善
- 経済産業省が公開するDX推進指標を活用して、DX推進に向けた現状や課題に対する認識を共有するなどの自己診断を実施するとともに、自己診断結果を応募締切日までに独立行政法人情報処理推進機構(IPA)に対して提出していること。
- IPAが実施する「SECURITY ACTION」の「★(1つ星)」または「★★(2つ星)」いずれかの宣言を応募申請時点で行っていること
グリーン枠+αの要件
以下のすべての要件に合致する必要があります。
●次の①または②に該当する事業であること
- 温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービスの開発
- 炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供の方法の改善
●3~5年の事業計画期間内に、事業場単位または会社全体での炭素生産性を年率平均1%以上増加する事業であること。
●これまでに自社で実施してきた温室効果ガス排出削減の取組の有無と、有る場合はその具体的な取組内容を示すこと
グローバル展開型の+αの要件
以下の4つの類型のうち1つを満たす必要があります。
●1類型:海外直接投資
- 国内事業と海外事業の双方を一体的に強化し、グローバルな製品・サービスの開発・提供体制を構築することで、国内拠点の生産性を高めるための事業であること
- 具体的には、国内に所在する本社を補助事業者とし、補助対象経費の2分の1以上が海外支店の補助対象経費となること、または海外子会社の事業活動に対する外注費、もしくは貸与する機械装置・システム構築費に充てられること
- 国内事業所においても、単価50万円(税抜き)以上の海外事業と一体的な機械装置などを取得(設備投資)すること
- 応募申請時に、海外子会社などの事業概要・財務諸表・株主構成が分かる資料、実績報告時に、海外子会社などとの委託(貸与)契約書とその事業完了報告書を追加提出すること
●2類型:海外市場開拓
- 国内に補助事業実施場所を有し、製品などの販売先の2分の1以上が海外顧客となり、計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有していること
- 応募申請時に、具体的な想定顧客が分かる海外市場調査報告書、実績報告時に、想定顧客による試作品などの性能評価報告書を追加提出すること
●3類型:インバウンド市場開拓
- 国内に補助事業実施場所を有し、サービスなどの販売先の2分の1以上が訪日外国人となり、計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有していること
- 応募申請時に、具体的な想定顧客が分かるインバウンド市場調査報告書、実績報告時に、プロトタイプの仮説検証の報告書を追加提出すること
●4類型:海外事業者との共同事業
- 国内に補助事業実施場所を有し、外国法人と行う共同研究・共同事業開発に伴う設備投資などであり、その成果物の権利(の一部)が補助事業者に帰属すること
- 応募申請時に、共同研究契約書又は業務提携契約書(検討中の案を含む)、実績報告時に、当該契約の進捗が分かる成果報告書を追加提出すること
デジタル枠とグリーン枠の具体的な補助事業
ものづくり補助金の対象となる補助事業は「革新的サービスの開発・試作品の開発・生産プロセスの改善を行うために設備投資」なわけですが、これでは「具体的に何をすればよいのかわからない」かもしれません。
そこで、ものづくり・商業・サービス補助金事務局は、デジタル枠とグリーン枠の補助事業の具体例を示しています。
ただこれらの具体例はあくまで例示なので、これらに類するものであれば補助事業とみなされる可能性があります。
デジタル枠の補助事業の具体例は以下のとおりです。
- AI・IoT技術、センサー技術、デジタル技術を活用した遠隔操作や自動制御、プロセスの可視化の機能を有する製品・サービスなどの開発
- AIやロボットシステムの導入によるプロセス改善、受発注業務のIT化、複数の店舗や施設にサービスを提供するオペレーションセンターの構築
グリーン枠の補助事業の具体例は以下のとおりです。
- 省エネ・環境性能に優れた製品・サービスの開発、非石油由来の部素材を用いた製品・サービスの開発、廃棄物削減に資する製品・サービスの開発
- 生産工程の労働生産性向上を伴いつつ脱炭素化に資する設備投資、水素・アンモニアを活用する設備導入による燃焼工程と生産プロセスの最適化、複数ラインの作業工程を集約・高効率化
補助対象経費
補助金の支援対象となる経費は、本事業の対象として明確に区分できるものであり、その経費の必要性および金額の妥当性を証拠書類によって明確に確認できなければいけません。
■機械装置・システム構築費
- 専ら補助事業のために使用される機械・装置、工具・器具(測定工具・検査工具、電子計算機、デジタル複合機など)の購入、製作、借用に要する経費
- 専ら補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システムの購入・構築、借用に要する経費
- 上記2点と一体で行う、改良・修繕、据付けに要する経費
■技術導入費
本事業の実施に必要な知的財産権などの導入に要する経費
■専門家経費
本事業の実施のために依頼した専門家に支払われる経費
■運搬費
運搬料、宅配・郵送料などに要する経費
■クラウドサービス利用費
クラウドサービスの利用に関する経費
■原材料費
試作品の開発に必要な原材料、副資材の購入に要する経費
■外注費
新製品・サービスの開発に必要な加工や設計(デザイン)・検査などの一部を外注(請負、委託など)する場合の経費
■知的財産権等関連経費
新製品・サービスの事業化に当たって必要となる特許権などの知的財産権の取得に要する弁理士の手続代行費用、外国特許出願のための翻訳料などの知的財産権等取得に関連する経費
■海外旅費(グローバル展開型のみ)
海外事業の拡大・強化を目的とした、本事業に必要不可欠な海外渡航、宿泊などに要する経費
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ドリームゲートには、補助金申請の支援に実績のある専門家が数多く登録しています。
ものづくり補助金は、上限額が高額で魅力的な制度ですが、その代わり申請のための要件は厳しめに設定されています。
補助金申請に慣れていない企業は、ドリームゲートの専門家が頼りになるはずです。お気軽にご相談ください。
執筆者プロフィール:ドリームゲート事務局 月見里
ドリームゲートは経済産業省の後援を受けて2003年4月に発足した日本最大級の起業支援プラットフォームです。
運営:株式会社プロジェクトニッポン
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