最大50億円?!中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 坂井 優介

こんにちは。ドリームゲートアドバイザーで、認定経営革新等支援機関V-Spirits総合研究所株式会社の坂井です。

コロナ禍前後で中小企業への手厚い補助金施策などが取られてきました。体力のある大企業でもない、従業員が2,000人以下の中小企業を卒業した企業には積極的な補助政策はあまりありませんでした。国は2024年を「中堅企業元年」とし、中堅企業の成長を促進するパッケージを策定しました。

その中に「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」があります。今までは補助金を活用しにくかった中堅企業が活用できることに加えて、補助金額も中堅企業が活用するにふさわしい多額の補助金額が準備されています。大規模な投資をお考えの中堅・中小企業様は是非活用していただければと思います。

この補助金は、中堅・中小企業が労働生産性の抜本的な向上と事業規模の拡大を図るために行う、工場等の拠点新設や大規模な設備投資に対して補助を行い、持続的な賃上げに取り組めるよう支援する事を目的としています。そのため、人手不足に対応し、労働生産性を向上させていく計画を練る必要がありますことご注意ください。

本記事では制度の概要と意外な落とし穴についてご案内をしていきます。

制度概要

制度概要は次の通りです。

  • 予算額: 総額3,000億円(令和8年度までの国庫債務負担含む) ※令和5年度補正予算1,000億円
  • 補助上限額 :50億円(補助率1/3以内)
  • 補助事業期間 :交付決定日から最長で令和8年12月末まで※ただし、補正予算の早期執行の観点から、極力、令和6年度(令和7年3月)末までに設備等の支払い・設置を前倒しする投資計画の策定が望ましい。 
  • 補助対象者 :中堅・中小企業(常時使用する従業員数が2,000人以下の会社等)※単体ベース ※一定の要件を満たす場合、中堅・中小企業を中心とした共同申請(コンソーシアム形式:最大10社)も対象※みなし大企業や実施する補助事業の内容が農作物の生産自体に関するものなど1次産業を主たる事業としている場合は補助対象外。 

補助事業の要件 

① 投資額10億円以上(専門家経費・外注費を除く補助対象経費分) 

② 賃上げ要件(補助事業の終了後3年間の対象事業に関わる従業員等1人当たり給与支給総額の年 平均上昇率が、事業実施場所の都道府県における直近5年間の最低賃金の年平均上昇率以上)

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対象となる費用

成長投資計画の事業に必要なものが対象となります。事前に対象となる経費を十分にチェックしてから申請する計画書を作成すると良いでしょう。

対象経費

  • 建物費:成長投資計画の実施に不可欠と認められる建物の建設、増築、改修、中古建物の取得に要する経費

※1 建物の単なる購入や賃貸、土地代、撤去・解体費用は補助対象外
※2建物における構築物(門、塀、フェンス、広告塔等)は補助対象外

  • 機械装置費(器具・備品費含む):

①機械装置、工具・器具(測定工具・検査工 具等)の購入、製作、借用に要する経費

② ①と一体で行う、改良・修繕、据付け又は運搬に要する経費

※構築物、船舶、航空機、車両及び運搬具に係る経費は補助対象外

  • ソフトウェア費:

①ソフトウェア・情報システム等の購入・構築、借用、クラウドサービス利用に要する経費

②①と一体で行う、改良・修繕に要する経費

※1自社の他事業と共有する場合は補助対象外
※2パソコン・タブレット端末・スマートフォンなどの本体費用は補助対象外

外注費:加工や設計、検査等の一部を外注(請負・委託)する場合の経費

※1外注先が機械装置等の設備やシステム等を購入する費用は補助対象外

  • 専門家経費:本事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費

※応募申請時の成長投資計画の作成に要する経費は補助対象外

注意点

①本事業に補助金交付候補者として採択された場合 であっても、応募申請時に計上した経費がすべて補助対象になるとは限りません。

②補助対象経費は、補助事業期間内に補助事業のために支払いを行ったことを確認できるものに限ります。交付決定より前に契約(発注)した経費は、いかなる事情があっても補助対象になりません。支払いは、銀行振込の実績で確認を行います。現金払・手形払は対象外となります。

③交付申請手続きの際には、可能な範囲におい て相見積もりを取り、相見積もりの中で最低価格を提示した者を選定(一般の競争等)ください。また、契約(発注)先1件あたりの見積額の合計が 50 万円(税抜き)以上になる場合は、 原則として 3 社以上の同一条件による相見積もりを取ることが必要です。

相見積もりを取っていない場合又は最低価格を提示した者を選定していない場合には、その選定理由を明らかにした理由書と価格の妥当性を示す書類を整備ください。市場価格と乖離している場合は認められません。

④経済産業省から補助金交付等停止及び契約に係る指名停止措置が講じられている事業者に発注・ 契約した場合、その経費は補助金の対象外となります。

⑤補助金交付申請額の算定段階において、消費税等は補助対象経費から除外して算定ください(免 税事業者及び簡易課税事業者を除く)。

⑥ 本事業の目的や成長投資計画に対して不適当と考えられる経費が見込まれているときは、交付決定の手続きに際して、事務局から補助対象経費の見直しを求めます。 

⑦補助事業により建設した財産に担保権設定は事務局承認が必要。根抵当権設定は不可。担保実行時は残存簿価を国庫納付する必要がある。

➇割賦払に係るもので所有権を移転するものについては、その全額を資産として含むものとします。 

⑨補助事業により建設した建物等の施設又は設備を対象として、保険又は共済による損害を補償するもの(付保割合 50%以上)に加入することを強く推奨します。

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補助事業の要件

投資額と賃上げについて要件が決められています。

特に賃上げ要件については未達の場合は返還する義務が発生するため要注意です。

投資額について

投資額 10 億円以上(外注費・専門家経費を除く補助対象経費分)であること

※ 1 投資場所が複数地域になる場合も対象となりますが、補助事業の目的・内容が一体的であること が必要
※ 2 共同申請(以下、「コンソーシアム形式」という。)も可能。コンソーシアム形式での申請には追加の要件が必要になる。

賃上げ要件

補助事業の終了後 3 年間の補助事業に関わる従業員(非常勤含む。以下同じ。)及び役員の1人当た り給与支給総額の年平均上昇率 が、補助事業実施場所の都道府県における直近5年間(2018 年度を基準とし、2019 年度~2023 年度 の5年間を指す。)の最低賃金の年平均上昇率(以下、「基準率」という。)以上であることが必要です 。

具体的には、申請時に基準率以上の目標を掲げ、その目標を従業員等に表明の上、達成することが要件となります。

※給与支給総額:給料、役員報酬、賞与、各種手当(残業手当、休日出勤手当、職務手当、地域手当、家族(扶養)手 当、住宅手当)等。

※持続的な賃上げを実現するため、補助金の申請時に掲げた賃上げ目標を達成できなかった場合、未達成率に応じて補助金の返還を求めます(天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合を除く。事業者名は公表しない。)

申請の方法と流れ

申請の方法

申請は、電子申請システム(jGrants)でのみ行うことができます。また、申請にはGビズIDプライムアカウントの取得が必要となります。

gBizIDはマイナンバーがあれば法人でもオンラインでの取得が可能になりました。しかし、余裕を持って取得をしておくことをお勧めします。

スケジュール

  • 1 次公募申請 令和 6 年 3 月 6 日(水)~4 月 30 日(火)17:00 
  • プレゼンテーション審査 5 月中旬~6 月中旬頃(予定) 
  • 採択発表 6 月中下旬頃(予定)

2次公募も予定されていますが、まだ詳細なスケジュールは出ていません。

審査基準について

申請時に提出する成長投資計画書に従い審査を行います。

審査は以下の項目を定量的・定性的に審査し、採択事業者を決定するため、審査項目をしっかりと認識して計画書を作成する必要があります。

計画書を読み込まないと理解できないようなものだと、プレゼンテーション審査の際に説明できない可能性が高くなります。申請要件や審査項目を満たしつつ、エビデンスに基づくわかりやすい計画書を作成すべきでしょう。

経営力

企業はメガトレンドを踏まえた長期ビジョンと3~5年の戦略を持ち、補助事業の成果目標と管理体制が整っているか。

先進性・成長性

競合分析に基づく自社の差別化計画、労働生産性向上、補助事業による持続的売上成長が見込めるか。

地域への波及効果

地域経済への波及効果、投資により創出された利益を賃金として従業員へ還元する賃上げの計画の具体性、リーダーシップによる相乗効果、地域成長への貢献できるか。

大規模投資・費用対効果

企業は収益に見合ったリスクをとった大規模成長投資を行い、成長・賃上げへの意欲を示しているか。また、補助事業としての費用対効果が高いか。

実現可能性

事業実施のための体制や最近の財務状況等から補助事業を適切に遂行できる大成である必要があります。また、中長期課題の検証、製品・サービスの市場ニーズが明確で、金融機関の計画妥当性確認を受けているのかも重要です。

まとめ

本補助金は中堅企業でも活用できる珍しい補助金です。補助金額も上限が50億円と今までにない大型の補助金です。そして建物費が認められるだけでなく、”建設”まで対象になる補助金は中々ありません。新しく生産施設を作る際に活用していくのがいいのではないでしょうか。

ただ、建設も含む大規模な投資となるとスケジュールがとても重要になってきます。補助事業実施期間内に終わらなければ補助金がもらえないこともあります。応募の段階で綿密に計画を立て、実施期間内に補助事業を終えられるようにするべきでしょう。

補助金特有のルールをおさえつつ、実施可能なスケジュールをたて、説得力のある計画書を作成するのは難しいかと思います。経産省の認定経営革新等支援機関が補助金支援などを行っているので相談をするといいでしょう。弊社でも認定経営革新等支援機関としてご相談を受け付けております。是非お問い合わせください。

 

執筆者プロフィール:坂井 優介(さかい ゆうすけ) V-Spirits総合研究所株式会社

V-Spiritsグループで資金調達を担当している坂井アドバイザー。
ものづくり補助金の採択率は9割超え、リベンジでの採択を含めると100%という高い採択率をお持ちです。補助金についてサポートを望んでいる方は是非ご相談ください。

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坂井優介

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