大手芸能プロダクションのアーティストマネジメントから一念発起して鍼灸按摩マッサージ指圧師の学校で3年間学び、2003年に31歳でマッサージ整体院を開業したドリームゲートアドバイザーの伊澤宜久さん。
1人で始めたサロンは18年間で銀座・表参道・浅草など5店舗となり、年間2万人以上が来店。現在はサロン開業・集客アドバイザーとしても活動し整体スクールも運営、自店からも毎年のように独立開業者を輩出しています。
そんな伊澤さんが2022年2月に出版されたのが、『サロン開業・経営の教科書』(自由国民社刊)。オビには「サロン型ビジネスを成功に導くノウハウのすべて」とあり、サービス業のリアル店舗における開業・運営に広く役立つ内容となっています。この新刊をどう役立ててもらいたいのかを、伊澤さんに伺いました。
- 目次 -
サロン業をはじめ、小さな店舗で営むサービス業全般で役立つ
―本書はどういう方に向けたものですか?
サラリーマンをやっていて何かしら行き詰ったり、心が磨り減ってしまいそうな方に、自身で開業するものとして、サロン経営をお勧めしたいですね。美容師や鍼灸師は国家資格が必要ですが、私が18年営んできた整体やボディケアセラピーでは不要。最初はマンションの1室でスタートするのも可能で、それであれば100万円くらいの資金で始められます。
もともと私自身が1人でサロンを開業し、少しずつ店舗を増やして今は5店舗のオーナーです。実は数年前から、そのノウハウを同業者からよく聞かれるようになったので、「整体開業コム」(現在は「サロン開業ラボ」)というサイトで秘訣を紹介してきました。そうして会員向けにメルマガを配信したり、塾としてノウハウを共有するうちに、自身の体験以外にもさまざまなサロン開業・運営の事例も集まりました。それらを形にしたのが本書です。
―すると想定される読者は、サロンを開業したい人やすでに開業していて見直しや立て直しを図りたい人でしょうか。
サロンに限らず、小さな店舗で行うサービス業全般に通用する内容になっていますので、幅広くいろいろな方に手にとってもらいたいですね。集客や接客、サービス、Web戦略、空間づくり、経営について、かなり細かく具体的にお伝えしています。「こんな細かいことまで考えるのか!」などと気づいてほしいです。また、私自身が不動産業経験もあるので、店舗の賃貸における裏側にもかなり触れています。一般的にWebや書籍では公表しないようなことまでもお伝えしています。
―サロン業は、フランチャイズで始める選択肢もありますが、自分でやるメリットは何でしょうか。
実際にフランチャイズ加盟で開業されていて、相談に来られる方も少なくありません。当初の加盟金も大きかったし、もともと利益率の高い業界ではないので、月々のロイヤリティも負担。販促物を制作するにも本部を通すので、割高な気がする、などといわれます。
自分で開業するなら、ベッド1台の身の丈にあったサイズ感で始めればよく、自分1人が生活していけるくらいには、すぐなれます。そうして大手チェーンの価格競争などとは距離を置き、サービス内容や空間演出でこだわりを出して、客単価を上げられるよう考えればよいのです。本書には、そのためのノウハウがぎっしり詰まっています。
―コロナ禍で非接触が求められていますが、サロン運営で変化は起きていませんか。
実は本書の企画は、8年前にある出版オーディションイベントに向けて考えたのが最初でした。そのときには出版には至らなかったのですが、2年ほど前に出版社に持ちかけたところ、すんなり企画が通りました。その企画内容としては、Web戦略部分はアップデートされていますが、ほかは大きくは変わっていません。
コロナ禍でいえば、もちろん感染防止のための消毒などにはさらに手をかけるようになりましたが、大きな方向転換は考えていません。密を避ける意味ではむしろ、ベッド数の多い大手チェーンより、1ベッドの小ぶりなサロンが好まれるようになっている面があります。また、経営者の考えを運営にすぐ反映できますので、お客様のニーズなど、必要に応じて変化が求められる今のような時代には小規模サロンのほうがマッチしているといえるでしょう。
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現場経験の集大成で、実践できるノウハウが充実
―巻頭の「あなたのサロンがうまくいくためのちょっとしたヒント集」から始まり、全11章ありますが、特にお勧めのパートはありますか。
どれも、こだわりを持って書いていますが、「知っておけば避けられる落とし穴」の章は、特に覚えておいてほしいポイントとなっています。「共同経営は止めておこう」「友人に仕事を発注するのも止めておこう」といった内容もあります。理由は、ぜひ本書を見てみてください(笑)。そもそも自分が実際にやってきたことを元に、机上の空論ではない、現場の話を盛り込みましたので、実際的な内容になったと自負しています。
また、「立地と物件の賢い選び方」では、「駅からの距離は、精神的な距離で測る」と伝えています。信号や歩道橋を渡ると集客がガクンと減るからなのですが、そんな風になかなか気づかない、知っておくとよい話がいくつもあります。転ばぬ先の杖として、ぜひ目を通しておいてもらいたいですね。
―購入者の特典としてダウンロードできる資料もたくさんありますね。
「開業前にやることスケジュール」は、実際に開業した方からも、事前にイメージしにくかったとよくいわれるもの。特に、資金の借り入れと物件契約のタイミングは難しく、あらかじめ時期を合わせるようにして進める必要があります。そうしたことが、スケジュールで全体観をつかんでもらえると、分かるでしょう。
また、私が実際にある店舗の準備で使った、初期費用や備品購入リストも提供しています。あくまで一例ではありますが、「こんな項目があるのか」と把握しておくと、スムーズに準備を進められるのではないでしょうか。
そのほかに、「集客チェックリスト」や「キャッシュフローを含めた損益計算書」「Excel版カウンセリングシート」があります。カウンセリングシートは、来店客に記入していただく問診表で、そのまま店舗で活用いただけます。
―最後に、この記事をご覧の方にメッセージをお願いします。
サロン業というのは、自分の城を持って自らがベストだと思ったことをやっていける仕事であり、未経験から始めるにもハードルがさほど高くはありません。1人で開業、運営していっても十分に暮らしていける収入を確保でき、お客さんに喜ばれ、心豊かにやっていけます。ですから、興味をもたれたら本書でどのようなものなのかを見ていただき、仲間として業界を一緒に盛り上げていければと思います。
そして、私もいま5店舗のオーナーですが、そのように組織運営をし、後進を育てていくのも非常にやりがいがあるものです。そうした展開もできますので、いろんな未来を描けるといえるでしょう。
不安なこと、本を読んでみて不明なことがありましたらいつでも私の方へご相談ください。
執筆者プロフィール:ドリームゲート事務局
ドリームゲートは経済産業省の後援を受けて2003年4月に発足した日本最大級の起業支援プラットフォームです。
運営:株式会社プロジェクトニッポン
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