持続化給付金や家賃支援給付金をこれから申請するという方もまだまだいると思います。
私が税理士として関わっている案件でじっさいに持続化給付金や家賃給付金の申請手続きをしてみると、思わぬ困難があることがわかりました。
ニュースで取り上げられている通り、下請けや孫請けでいろいろな会社が給付金審査にかかわっていることも関係しているのか、マニュアルや要綱の範囲外とも考えられる指摘で申請書類の再提出を求められるケースがあります。
書類の再提出があると、その分給付金の支払いが遅れてしまいます。申請時のリスクヘッジのためにも、申請時に引っかかった事例を紹介しますので、これを参考にできるだけ審査に引っかからないスムーズな申請を目指しましょう!
- 目次 -
売上台帳に代表印と横版の押印を求められたケース
持続化給付金、家賃支援給付金のいずれも申請時には、売上台帳の提出が必須となります。この売上台帳というものは、一般的にフォームが定義されているものではないので、各会社で管理しているソフトなどから作成・提出しているケースが多いです。
ここで簡単に持続化給付金の公式サイトに掲載されている売上台帳のフォーマットについて、おさらいしてみましょう。
サイトには、
フォーマットの指定はありませんので、経理ソフト等から抽出したデータ、エクセルデータ、手書きの売上帳などでも構いません。書類の名称も「売上台帳」でなくても構いません。
とあります。
もちろん、売上台帳の内容に何の嫌疑がない場合は、とくに指摘されることもなく申請が受理されます。しかし実際に申請してみるとまれに、売上台帳の信ぴょう性を充分にするため、経済産業省側から
「当該売上台帳の余白部分に、会社の横版と代表印の押印をして、再提出してください。」という訂正依頼が入るケースがありました。
もちろんこれはマニュアルや要綱に明記されていない内容なので、審査機関が独自に判断したものと考えられますが、何度かこのようなケースがあったので、実務的に行われているチェック方法の1つと想定されています。
売上台帳には念のため、会社の横版と代表印の押印をするといいでしょう。
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税理士署名における税理士法人の横版と代表印
今回の給付金を受けるためのルールのうち、昨年開業していてまだ確定申告が終わっていない事業者については、売上台帳に税理士署名を記載することと明記されています。
税理士署名の記載方法などはとくにフォームが明記されておりません。
■持続化給付金に係る収入等申立書(中小法人等向け/個人事業者等向け)
・税理士による署名または記名押印を得たものであること。
そのため、日付と税理士名を筆記で記載して申請が受理されているケースも多くあるのですが、一方で、審査が厳しい機関では税理士署名の部分は税理士法人の横版と代表印の押印が必要である、という理由で再提出を依頼されたケースもあるのです。
さらに付け加えると、前期開業でも確定申告を行っていた場合は、売上台帳に税理士署名は原則不要なのですが、審査機関の判断で、念のため税理士署名も記載して再提出を依頼されたケースもあります。
念のため、まだ確定申告が終わっていない事業者については税理士署名欄に税理士法人の横版と代表印の押印をして、さらには前期開業でも確定申告を行っていた場合は売上台帳に税理士署名をしてもらうといいでしょう。
「口座名義入力編(-)」
給付金の振込先金融機関の口座名を記載する欄でも思わぬ落とし穴があります。
たとえば、このような口座名の場合。
カーリーグ (カ
給付金申請のサイトで会社名を登録するさい気をつける点があります。
NG例1 カ₋リ₋グ(カ
この場合はグ と ( の間に、半角のスペースが必要とされ、NGでした。
NG例2 カーリーグ (カ
一見わかりづらいのですが、「-」については半角ハイフンをつかわなければならないとされ、NGでした。ほかにも口座名義については細かなミスが許されないケースがありますので、前回のコラムも参考にしてください。
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まとめ
再申請は手間が二重に発生するだけでなく、入金が遅れてキャッシュフローを脅かしかねません。
これらのように、細かい申請ミスがしやすい留意点がありますので、これから申請する方はご留意ください。
執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 加賀谷豪(税理士、ファイナンシャルプランナー)
株式会社ピクシス 代表取締役/税理士法人アクシオン 代表社員
1981年 北海道札幌市生まれ
同志社大学卒業後、税理士事務所業界経験12年の内、起業者の税務顧問をメインとして携わる中で、より起業支援に特化した研修、勉強会などのサービス提供を目的として、平成26年に株式会社ピクシスを設立。マーケティング戦略・ネット集客に係るプランニングにより、売上のビジョンを明確化するという目的と、それによる充実した事業計画を作成活用することで、融資対策につながるご提案を目的とした起業者向け勉強会を継続的に行っている。平成28年に税理士登録とともに、税理士法人アクシオンを設立
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