こんにちは、ドリームゲートアドバイザーの村野智範です。
これから起業しようとしている方のなかには、金融機関から融資を受けて開業資金を調達しようと考えている方も多いのではないでしょうか。
事業の経験や実績、事業計画など融資の審査基準となる項目はいくつかありますが、「自己資金」も融資の可否を左右する重要な要素です。
自己資金について間違った解釈をしていると、いざ融資を受けるときに自己資金とは認めてもらえず、審査に落ちてしまう可能性がありますので、今回はどのようなお金が自己資金として認められるのかについて解説します。
- 目次 -
自己資金として認められるお金を貯める7つの方法
自分自身の通帳でコツコツ貯める
自己資金とは、通帳で確認ができる自分自身で貯めてきたお金のことを指します。
創業時に利用する方が多い日本政策金融公庫の融資では、最低半年分の通帳の提出が必須です。
たとえば毎月の給料のなかから5万円ずつ貯蓄してきたなど通帳上で預金額が徐々に増えているのをみせることで、創業に向けてしっかりと準備してきた点をアピールでき、金融機関の担当者に事業に対する熱意や計画性を評価してもらえます。
配偶者や子ども名義の通帳に貯めたお金を使う
ご結婚されている方やお子さまがいらっしゃる方は、配偶者や子ども名義の預金も自己資金として認められます。
同一世帯の場合、お金を明確にわけていないケースや、子ども名義の貯金は両親が貯蓄したお金であるケースが多いためです。
ただし、自己資金として認めてもらうためには融資の際、通帳の提出が必要になるので、事前に配偶者に許可を取っておきましょう。
退職金を使う
現在お勤めされている会社を辞めて、創業する方もいらっしゃると思います。
退職金も自己資金として認めてもらえますので、勤め先に退職金の金額を事前に確認しておきましょう。
退職金を自己資金として認めてもらうためには口頭で退職金の金額を伝えるだけでは不十分なので、退職金共済手帳や会社の退職金規定など書面での提出が必要です。
解約返戻金のある保険を使う
解約返戻金のある積立型の保険に加入している場合、その解約返戻金も自己資金として認めてもらえます。
実際に保険を解約する必要はなく、現時点で解約した場合の解約返戻金がいくらになるのか事前に保険会社に確認しておきましょう。
保険会社に「現在の契約返戻金を知りたい」と連絡すると書類を発行してくれます。
他にも、保険証券に経過年数ごとの解約返戻金額が掲載されているので、概算を知ることも可能です。
ただし、解約返戻金しか自己資金がない場合には、保険を解約して入金しないとダメなケースもあります。とはいえ、融資決定が出る前に解約するのはリスクがあるので、事前に解約はしなくてOKです。
保有している株式・投資信託・有価証券を現金化する
預貯金だけでなく、株式や投資信託、有価証券等の金融資産も自己資金として認められます。
証券会社から発行された書類、またはホームページのマイページなどから保有状況を確認し、画面を印刷しておきましょう。
親や兄弟から贈与されたお金を使う
あなたの創業を応援して、親や兄弟、親族から開業資金を支援してもらえるケースもあるでしょう。返済義務のない贈与されたお金は自己資金として認めてもらえる可能性が高いです。
ただし、贈与されたお金を現金で受け取り、自分の通帳に入金してしまうと、お金の出どころが不明確で自己資金として認めてもらえなくなってしまいます。
両親から援助を受けた場合には、親名義の口座からあなたの口座に直接振り込んでもらうようにしましょう。可能であれば、親の通帳のコピーも一緒に金融機関に提出することでお金の出どころの証明になります。
なお、両親から援助されたお金があったとしても、ご自身で貯めた自己資金がゼロの場合、創業に向けた準備が不足しているということで融資を受けるのが難しくなる場合もあります。
事業のための支払い済みのお金
店舗や事務所を借りるための費用や社用車を購入した費用など、すでに事業のために使ったお金も自己資金として判断してもらえることが多いです。
その場合、支払い済みであることがわかる領収書を提出します。
注意点は事業計画にない設備などを購入しても、そのお金は自己資金として認めてもらえないということです。あくまで計画しているものを融資の面談前に購入した場合のみ、自己資金と判断してもらえると覚えておきましょう。
また、半年以上前に購入したものについては、事業用の購入で領収書があったとしても自己資金とみられないケースがありますので注意しましょう。
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自己資金として認めてもらえない3つのお金
自己資金について、誤った解釈をされている方は多いです。
これから説明する3つのお金に該当すると、融資の際、金融機関から自己資金とは認めてもらえず、審査に落ちてしまう可能性もありますので、事前に確認しておきましょう。
タンス預金
弊社にお問い合わせいただくお客様のなかには、「手元に現金で200万円あります」という方もいらっしゃいます。
本当に本人がコツコツと貯めてきたお金かもしれませんが、金融機関としては「一時的にどこからか調達してきたお金」との区別がつきません。
そのため、タンス預金といわれる自宅で現金保管しているお金は自己資金と認められません。
自宅に置いたままにするのではなく、月に1度は預金するなど通帳でわかるように貯めるようにしましょう。
出どころが不明確なお金
融資を受ける前にまとまった金額の振り込みがあった場合、出どころが不明確で説明ができないと自己資金とは認められません。
以前弊社が支援させていただいたお客様で、融資を受ける数か月前から20万円ずつ積み立てを始めた方がいらっしゃいました。しかし、急に積み立てが始まったこととこれまでの給料と積立額の整合性が取れないとのことで、自己資金とは認められず結果的に融資取り下げになりました。
タンス預金を一度に預け入れたり、誰からの振り込みかわからなかったりすると、自己資金と認めてもらえないケースが多いので、注意してください。
友人や知人から借りたお金
返済義務のある借りたお金は自己資金とは認められません。
自己資金が多くあるように見せるために融資を受けるときだけ一時的にお金を借りようとする方がいらっしゃいますが、「見せ金」と判断され金融機関からの評価を下げることに繋がりますので絶対やめましょう。
資本金は自己資金として認められる?
法人を設立した場合、資本金も自己資金として認められると考える方が多いです。
すべてあなた自身が貯めてきたお金を資本金に充てた場合は、自己資金として認められます。ただし、誰かから一時的にお金を借りて資本金として登記し、登記が終わりそのお金を返してしまった場合には、通帳上にお金がありませんので自己資金とは認められません。
たとえば、資本金100万円で会社設立した場合に、資本金を全額自分で出資して、それ以外にも自分の預金等に200万円あるのであれば、自己資金は300万円とみてくれます。
しかし、自分で出資したのが0円で自分の預金なども0円だとすると、自己資金は0円という評価になってしまいます。
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融資を受けるためにはどのくらい自己資金を貯めるべき?
融資審査は自己資金だけで判断されるわけではありませんので、一概にいくら貯めていれば必ず融資に受かるとはいえません。
自己資金は多ければ多いほど事業が安定しますので、融資を受けるまでになるべく多く貯めておくことをおすすめします。
なお、創業時の融資で利用する方が多い日本政策金融公庫の新創業融資制度では、「創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できる方」という要件があります。
10分の1以上の自己資金はあくまで最低ラインなので、融資を受けたい金額の3割程度を目安に自己資金は準備しておくのがよいでしょう。
まとめ
自己資金は融資の可否を左右する重要な要素です。
金融機関の担当者もさまざまな経営者の融資審査をしていますので、見せ金でごまかそうとしてもバレてしまいます。見せ金はあなたの印象を悪くして融資を受けるのは難しくなってしまうため、金融機関からの融資を検討している方は、毎月コツコツを通帳で確認できるようにお金を貯めていきましょう。
自己資金が少なくても状況によっては融資を受けられる可能性もありますので、審査に不安のある方は一度専門家に相談してみるとよいでしょう。
執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 村野 智範
(むらの とものり) /株式会社SoLabo
資金調達支援を専門に取り扱う株式会社SoLabo(ソラボ)にて2,400件以上の融資実績を基に経営者の資金調達をサポート。
トップコンサルタントとして毎月30件以上の資金調達支援を実施。これまでに400件以上の経営者をサポートして参りました。創業者からベテラン経営者まで、事業をどう続けていくのか、中長期を視野に入れたアドバイスをいたします。
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