中小企業庁は2022年3月28日、コロナ禍で打撃を受けながら事業再構築に取り組む中堅企業や中小企業(以下、中小企業等)を支援する事業再構築補助金の第6回公募を開始しました。
申請受付は5月下旬から、締切は6月30日です。
第6回では最大1億5000万円の補助となる新たな申請枠の追加など、主に7つの変更点(見直し・拡充)があるので、これまでの公募と異なる点を中心に、事業再構築補助金の全体についても把握できるよう、解説します。
- 目次 -
第6回のスケジュール
第6回公募のスケジュールは次の通りです。
- 公募開始:令和4年3月28日(月)
- 申請受付:令和4年5月下旬~6月上旬予定
- 応募締切:令和4年6月30日(木)18:00
- 結果発表:令和4年8月下旬~9月上旬予定
事業再構築補助金公式ホームページより
事業再構築補助金は令和4年度であと2回程度、実施されることが発表されています。
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第6回の主な7つの変更点について解説
ここでは2022年3月28日に発表された第6回の公募要領をひもとき、7つの大きな変更点について分かりやすく説明します。
参照)
事業再構築補助金 令和3年度補正予算の概要
事業再構築補助金第6回公募要領
変更点①売上高10%減少要件の緩和
事業再構築補助金の主な2つの補助対象要件のうち、売上高10%減少要件が第6回から緩和されました。
売上高10%減少要件について、「2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高がコロナ以前と比較して5%以上減少していること」を撤廃し、「2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前と比較して10%以上減少していること」のみを要件とするよう要件を緩和。
これにより、一旦はコロナ拡大により売上が下がったものの、現在は回復傾向にあったとしても申請できることになります。
なお「コロナ以前」とは、2019年または2020年1月~3月をさします。
※売上高に代えて付加価値額を用いることも可能です。
※グリーン成長枠については売上減少要件は課されません。
変更点②回復・再生応援枠の新設
引き続き業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む事業者への支援として、第6回公募から「回復・再生応援枠」が新設されました。対象となる事業者は次のとおりです。
<回復・再生応援枠の対象事業者>
通常枠の申請要件に加えて以下の2項目のうち、どちらか一方のを満たすこと(回復・再生要件)
- 2021年10月以降のいずれかの月の売上高が対2020年、または2019同月比で30%以上減少していること
- 中小企業活性化協議会等から支援を受け再生計画等を策定していること
回復・再生応援枠の補助金額・補助率は次の通りです。
従業員数 | 補助金額 | 補助率 |
---|---|---|
5人以下 | 100万~500万円 | 中小企業3/4 中堅企業2/3 |
6~20人 | 100万~1,000万円 | |
21人以上 | 100万~1,500万円 |
これに伴い緊急事態宣言特別枠は廃止され、実質的には緊急事態宣言特別枠と取って代わるものとなります。
変更点③グリーン成長枠の新設
第6回公募からグリーン成長枠が新設されました。研究開発・技術開発または人材育成を行いながら、グリーン成長戦略「実行計画」14 分野の課題の解決に資する取組を行う中小企業等の事業再構築を支援するものです。
グリーン成長枠の対象になる事業者の要件は以下のとおりです。
<グリーン成長枠の対象事業者>
- 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均5.0%以上増加又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均5.0%以上増加の達成を見込む事業計画を策定すること(※通常はそれぞれ年率平均3.0%以上増加)
- グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取組として記載があるものに該当し、2年以上の研究開発・技術開発又は従業員の一定割合以上に対する人材育成をあわせて行うこと
グリーン成長戦略「実行計画」14分野とは
グリーン成長枠には2つの大きな特徴があります。
売上高10%減少要件がない
事業再構築補助金において唯一、売上高10%減少要件がありません。そのため売上が上がっている、または創業したばかりの事業者でも申請が可能です。
過去に事業再構築補助金で採択されていても再度申請できる
既に過去の公募回で採択(※辞退した場合を除く)又は交付決定を受けている事業者がグリーン成長枠に申請する場合は、【別事業要件】、【能力評価要件】について確認し、一定の減点を行った上で、採否を判断します。申請に当たっては、「別事業要件及び能力評価要件の説明書」を提出してください。ただし、支援を受けることができる回数は2回を上限とします。
つまり過去に採択されていても、一定の条件を満たしていれば多少減点されるので基準は厳しいが、再度採択される可能性があるということです。
グリーン成長枠の補助金額・補助率は次の通りです。
対象事業者 | 補助金額 | 補助率 |
---|---|---|
中小企業 | 100万~1億円 | 1/2 |
中堅企業 | 100万~1億5,000万円 | 1/3 |
変更点④通常枠の補助上限額の縮小
第6回では通常枠の補助上限額が下がりました。通常枠の補助金額・補助率は次の通りです。
従業員規模 | 補助金額 | 補助率 |
---|---|---|
20人以下 | 100万~2,000万円 | ●中小企業 ・原則2/3 ・6,000万円超は1/2 ●中堅企業 ・原則1/2 ・4,000万円超は1/3 |
21~50人 | 100万~4,000万円 | |
51~100人 | 100万~6,000万円 | |
101人以上 | 100万~8,000万円 |
変更点⑤補助対象経費の見直し
第6回から補助対象経費において2つの見直しがあります。
- ① 「建物費」については、原則、改修の場合に限ることとし、新築の場合には、一定の制限を設ける。
- ② 「研修費」については、補助対象経費総額の1/3を上限とする。
建物の新築においては「補助事業の実施に真に必要不可欠であること及び代替手段が存在しない場合に限り認められます。」と記載されており、厳しく審査されることが予想されます。できる限り新築ではなく改修の範囲で経費を申請するほうがよさそうです。
変更点⑥事前着手の対象期間の見直し
補助金の交付決定前にさかのぼって経費を申請できる「事前着手制度」の対象期日が2021年12月20日以降となりました。これより第5回で申請し再チャレンジを検討している方は対象とできる経費の範囲が変わりますのでご注意ください。
変更点⑦複数企業等連携型の新設
1者あたり各申請類型の上限額を上限として、最大20社まで連携して申請することを認め、一体的な審査を行うとされます。
これにも特徴がいくつかあります。
全ての企業が必要不可欠であることを証明する
「連携の必要性を示す書類(代表申請者用)」を提出し、全ての企業が必要であることを証明しなければなりません。
事業計画書が最大20ページとなる
複数の事業者が連携して事業に取り組む場合には、最大20ページで事業計画書を1つ作成し、代表者が提出します。
全ての企業が申請要件を満たしている必要がある
申請要件を満たさない事業者がいた場合には、その連携体の申請は不採択として取り扱われます。
認定支援機関要件が免除される
補助金額が3,000万円を超える事業計画について、金融機関と協同で策定することを除いて認定支援機関要件が免除されます。
その他の細かい変更点
以上で挙げた7つの変更点のほかにも知っておきたい細かな変更点があります。
審査項目の追加
くわしくは第6回公募要領の37ページ以降に記載があります。
- 政策点に追加・・・「ウィズコロナ・ポストコロナ時代の経済社会の変化に伴い、今後より生産性の向上が見込まれる分野に大胆に事業再構築を図ることを通じて、日本経済の構造転換を促すことに資するか。」
- 加点項目が変更・・・緊急事態宣言の影響を受けた事業者への加点項目がなくなり、大きく売上が減少しており業況が厳しい事業者に対する加点が追加
- 体制事業者に対する加点の内容が変更
- 特定事業者であり、中小企業者でないものに対する加点が追加
リース会社との共同申請
機械装置・システム構築費についてはリース料を補助金としてリース会社へ支払うことが可能になります。くわしくは第6回公募要領の28ページ目に記載があります。
そもそも、事業再構築補助金とは
事業再構築補助金とは、ポストコロナ・ウィズコロナの時代の経済社会の変化に対応するため、中小企業等の事業再構築を支援し、日本経済の構造転換を目的とした補助金制度です。
申請するためには以下の3つの要件を満たす必要があります。*前述の通り、必ずしもすべての申請において必要となるわけではありません。
- コロナにより売上が下がっている
- 事業再構築に取り組む
- 認定支援機関と一緒に事業計画を策定する
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認定支援機関をさがすなら
事業再構築補助金は認定経営革新等支援機関(認定支援機関)と一緒に事業計画書を作成する要件があり、申請のときに認定支援機関確認書を提出しなければなりません。
ドリームゲートには事業再構築補助金の採択率が高くサポート経験が豊富な認定支援機関が多数登録しており、事業再構築補助金申請のサポートを積極的に行っています。