「事業再構築補助金」の第6回の申請受付が、6月上旬よりスタート予定です。「申請したいけど、何を準備すればよいかわからない」「採択されるかどうか不安」と感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、事業再構築補助金の採択に向けた準備として、概要や公募期間、第5回公募からの変更点、申請に必要な準備、採択を受けるためのコツなどを解説します。
- 目次 -
事業再構築補助金とは
事業再構築補助金とは、「事業再構築」を実施しようとする中小企業・中堅企業・小規模事業者を支援する補助金制度です。
事務局が採択した事業計画書をもとに補助事業を実施し、その際の設備導入や開発などでかかった経費(補助対象経費)を申請し、経費額に応じた補助金が国から支給されます。
計算式は、「補助対象経費×補助率」です。
事業再構築とは、次のことを指します。
- 新分野展開:メインの業種またはメインの事業を変更せずに、「新しい製品の製造や新商品・新サービスの提供(以下、新製造等)」などによって新しい市場に進出すること
- 事業転換:新製造等によってメインの業種を変更せずにメインの事業を変更すること
- 業種転換:新製造等によってメインの業種を変更すること
- 業態転換:製品・商品・サービスの製造方法または提供方法を相当都度変更すること
- 事業再編:会社法上の組織再編行為(合併、会社分割、株式交換・移転など)を実施した
新しい事業形態の下で、新分野展開・事業転換・業種転換・業態転換のいずれかを行うこと
一般的な応募枠は「通常枠」です。通常枠以外へ応募する場合は、枠ごとに設定された要件をプラスアルファで満たす必要があります。
第6回となる今回の公募では、要件緩和や枠の新設・廃止、補助額の変更など、さまざまな面で見直しが行われました。
中小企業・中堅企業の定義については、公募要領や中小企業庁の公式サイトなどにてご確認ください。中小企業の定義のみ、以下で引用します。
第6回公募の受付は5月下旬よりスタート予定
第6回の公募期間は、令和4年3月28日~令和4年6月30日までです。
実際に申請の受付が始まるのは令和4年5月下旬~6月上旬、締切が令和4年6月30日の18:00の予定となっています。
締切に間に合うように早めの準備を進め、余裕を持って申請できるようスケジュールを組みましょう。
枠ごとの補助金上限額
第6回の公募では、通常枠の補助額の上限が見直されました。事業規模や従業員数に応じて4,000万~8,000万円の範囲で設定されていましたが、今回からは範囲が2,000万~8,000万円となっています。
通常枠以外の上限額については、グリーン成長枠が加わり最大1.5億円となりました。ただし第5回と異なり、「回復・再生応援枠」「グリーン成長枠」の新設と、「卒業枠」「グローバルV字回復枠」「緊急事態宣言特別枠」の廃止が行われています。
【通常枠】
事業再構築を実施する事業者の挑戦を支援する枠。
従業員数 |
補助金額 |
補助率 |
---|---|---|
20人以下 |
100万~2,000万円 |
【中小企業等】 2/3(6,000万円超の部分は1/2) 【中堅企業】 1/2(4,000万円超の部分は1/3) |
21人以上50人以下 |
100万~4,000万円 |
|
51人以上100人以下 |
100万円~6,000万円 |
|
101人以上 |
100万円~8,000万円 |
【大規模賃金引上げ枠】
多くの従業員を雇用しつつ、継続的な賃金引上げと従業員の増員による生産性の向上を目的とした事業再構築を支援する枠。
従業員数 |
補助金額 |
補助率 |
---|---|---|
101人以上 |
8,000万円超~1億円 |
【中小企業等】 2/3(6,000万円超の部分は1/2) 【中堅企業】 1/2(4,000万円超の部分は1/3) |
【最低賃金枠】
最低賃金引上げの原資の確保が困難な事業者の事業再構築を支援する枠。
従業員数 |
補助金額 |
補助率 |
---|---|---|
5人以下 |
100万~500万円 |
【中小企業等】 3/4 【中堅企業】 2/3 |
6~20人以下 |
100万~1,000万円 |
|
21人以上 |
100万~1,500万円 |
【回復・再生応援枠】
新型コロナウイルスの影響によって、経営などが厳しい事業者が取り組む事業再構築を支援する枠。
従業員数 |
補助金額 |
補助率 |
---|---|---|
5人以下 |
100万~500万円 |
【中小企業等】 3/4 【中堅企業】 2/3 |
6~20人以下 |
100万~1,000万円 |
|
21人以上 |
100万~1,500万円
|
【グリーン成長枠】
研究開発・技術開発・人材育成を行いながら、グリーン成長戦略の実行計画14分野の課題を解決するために事業再構築に取り組む事業者を支援する枠。
従業員数 |
補助金額 |
補助率 |
---|---|---|
指定なし |
【中小企業等】 100万~1億円 |
【中小企業等】 3/4 【中堅企業】 2/3 |
【中堅企業】 100万~1.5億円 |
過去の採択率
事業再構築補助金の採択率は、全枠の合計で約40~50%、通常枠のみだと約35~40%で推移しています。
|
応募総数 |
採択数 |
採択率 |
---|---|---|---|
第1回 |
19,239 |
8,016 |
41.7% |
第2回 |
18,333 |
9,336 |
50.9% |
第3回 |
18,519 |
9,021 |
48.7% |
第4回 |
19,673 |
8,810 |
44.78% |
平均で考えると、10社のうち4~5社が採択されるとの結果が出ています。ものづくり補助金やIT導入補助金より、やや採択の難易度は高いといえるでしょう。
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第6回に変更された主な7項目
第6回になる事業再構築補助金の公募では、第5回から以下の7項目について変更がありました。
- 売上高10%減少要件の緩和
- 回復・再生応援枠の新設
- グリーン成長枠の新設
- 通常枠の補助上限枠の見直し
- 補助対象経費の見直し(建物費・研修費)
- 複数企業等連携型の新設
- 事前着手の耐用期間の見直し
1.売上高10%減少要件の緩和
事業再構築補助金の要件の1つであった「売上10%減少要件」が、第6回より緩和されました。
具体的には、「2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高(もしくは一定の付加価値額)が、コロナ以前(2019年または2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること」のみクリアすれば、要件を満たせます。
なお、売上減少要件以外の「事業再構築要件」「認定支援機関要件」「付加価値額要件」については、第5回と同じです。
- 事業再構築要件:先述した事業再構築に当てはまる事業であること
- 認定支援機関要件:事業計画を認定支援機関(認定経営革新等支援機関)と策定すること。補助金額が3,000万円を超える案件は認定支援機関および金融機関(金融機関が認定支援機関であれば当該金融機関のみでも可)と策定していること
- 付加価値額要件:補助事業終了後 3~5 年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加、または従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること
2.回復・再生応援枠の新設
回復・再生応援枠とは、「新型コロナウイルスの影響によって業況が厳しい事業者」や、「事業再生に取り組んでいる事業者」を支援する目的で新設された、事業再構築補助金の枠です。
申請するには通常枠の要件に加えて、次の要件のうちどちらか一方を満たす必要があります。
- 2021年10月以降のいずれかの月の売上高(もしくは一定の付加価値額)が、2020年または2019年同月比で30%以上減少していること
- 中小企業活性化協議会等から支援を受け、再生計画等を策定していること
回復・再生応援枠の新設に伴い、類似の枠である緊急事態宣言特別枠が廃止されました。
3.グリーン成長枠の新設
グリーン成長枠とは、研究開発・技術開発または人材育成などを行いながら、グリーン成長戦略(2050年のカーボンニュートラル・脱炭素社会達成に向けて策定された国の目標)における「実行計画」14分野の課題解決への取組を行う事業者を対象にした、事業再構築補助金の枠です。
出典 2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略 (METI/経済産業省)
グリーン成長枠への申請は、次の要件を満たすことが条件になります。
- グリーン成長戦略「実行計画」14 分野に掲げられた課題の解決に資する取組14組であって、その取組に関連する 2 年以上の研究開発・技術開発または従業員の一定割合以上に対する人材育成をあわせて行うこと
- すでに事業再構築補助金で取り組んでいる、または取り組む予定の補助事業とは異なる事業内容であること
- 既存の事業再構築を行いながら新たに取り組む事業再構築を行うだけの体制や資金力があること
- 事業再構築要件、認定支援機関要件、付加価値額要件を満たすこと
事業再構築補助金の枠の中で、唯一売上に関する要件がないのが特徴です。なおグリーン成長枠の新設に伴い、卒業枠とグローバルV字回復枠は廃止されました。
カーボンニュートラル・脱炭素社会については、世界や日本国内でのSDGs・ESG投資などが広がっています。世界中で脱炭素の取組自体をビジネスチャンスと捉える流れが加速しています。
今後のビジネス展開として、脱炭素に対応する新しい製品やサービス、生産工程を導入するにあたり、グリーン成長枠は有効な枠といえるでしょう。
4.通常枠の補助上限枠の見直し
通常枠の補助上限枠が、従業員数に応じて次のように見直されました(補助率は変更なし)。
見直し前(第5回) |
見直し後(第6回) |
||
---|---|---|---|
20人以下 |
100万~4,000万円 |
20人以下 |
100万~2,000万円 |
21人以上 |
100万円~6,000万円 |
21人以上 |
100万~4,000万円 |
51人以上 |
100万円~8,000万円 |
51人以上 |
100万円~6,000万円 |
|
|
101人以上 |
100万円~8,000万円 |
全体的には縮小といってよいでしょう。「限られた予算のなかで、必要な事業者により行き渡らせるため」と、経済産業省は説明しています。
5.補助対象経費の見直し(建物費・研修費)
補助対象経費について、建物費と研修費が次のように見直されました。
- 「建物費」については、原則、改修の場合に限ることとし、新築の場合には、一定の制限を設ける。
- 「研修費」については、補助対象経費総額の1/3を上限とする。
建物費においては、第6回の公募要件でも「補助事業の実施に真に必要不可欠であること、および代替手段が存在しない場合に限り認められます。」との記載がありますが、実際には建物費の申請はかなりハードルが高いと考えたほうが良いでしょう。
6.複数企業等連携型の新設
1者あたり各申請類型の上限額を上限として、最大20者まで連携して申請することを認め、一体的な審査を行うとされます。
特徴は次のとおりです。
- すべての企業が必要不可欠であることを証明する:「連携の必要性を示す書類(代表申請者用)」を提出し、すべての企業が必要であることを証明しなければなりません。
- 事業計画書が最大20ページとなる:複数の事業者が連携して事業に取り組む場合には、最大20ページで事業計画書を1つ作成し、代表者が提出します。
- すべての企業が申請要件を満たしている必要がある:申請要件を満たさない事業者がいた場合には、その連携体の申請は不採択として取り扱われます。
- 認定支援機関要件が免除される:補助金額が3,000万円を超える事業計画について、金融機関と協同で策定することを除いて認定支援機関要件が免除されます。
引用 https://www.dreamgate.gr.jp/contents/column/jigyousaikouchiku-6th
7.事前着手の耐用期間の見直し
事前着手とは、交付決定前にスタートした補助事業にかかった経費について、事前に承認を受けた事業者に限り、さかのぼって申請できる制度です。この事前着手制度の対象期日が、2021年12月20日以降に見直されました。
事業再構築補助金の申請に必要な5つの準備
事業再構築補助金の採択率を上げるには、早めの準備が必要不可欠です。申請において必要な、5つの準備をご紹介します。
準備1:GビズIDを取得し公募要領をよく読む
事業再構築補助金の申請受付は、第5回以前と同じくすべてオンラインで行われます。使用するIDも、これまでと同じく「GビズIDプライム」です。
GビズIDとは、1つのID・パスワードを設定すれば複数の行政サービスにアクセスできる、法人・個人事業主向けの認証システムです。ものづくり補助金やIT導入補助金などの他の補助金申請でも使用します。
事業再構築補助金で必要になるのは、プライム・メンバー・エントリーの3種類のうちプライムです。アカウントの発行にかかる時間は原則として1週間ですが、申請状況によっては数週間かかる可能性があります。早めに申請しておきましょう。
GビズIDの取得(経済産業省公式サイト)
また、事業再構築補助金への応募前には公募要領をよく読んでおいてください。公募要領には「補助金の目的」「応募要件」「申請方法」など、採択を受けるために必要なあらゆる情報が記載されています。
添付書類を除くと40ページと非常に多いですが、必ず1度は目を通しておきましょう。
準備2.過去の採択事例を見る
過去にどのような事業が採択されたのかを調べるには、事業再構築補助金の公式サイトにて公表されている過去の採択事例をチェックしましょう。
2022年5月時点では、第1~第3回までの事例集が確認できます。例えば、第3回の事例において以下のようなものが紹介されています。
- 洋菓子店が商品開発力や発信力を活かし、生産者と消費者が直接交流・販売ができるマルシェに進出した。
- 自動車部品や大型衛星などの精密部品の設計・加工などを請け負ってきた企業が、技術や知見を活かして超小型衛星システムの開発や商品化を行う事業に進出した。
事例に加えて、「採択された企業の事業計画書」や「活用イメージ集」なども公表されています。事業計画書の作成時の参考にしてください。
事例を確認しつつ、「自分のアイデアが事業再構築のコンセプトに合致しているか」などをチェックしましょう。
準備3:資金計画を練る
事業再構築補助金を始めとする補助金は、「補助事業を実行した後に経費を請求する」が原則です。つまり、後払いになります。
具体的な補助金を受け取るまでの流れは以下のようになります。
- 採択通知
- 交付申請
- 交付決定
- 補助事業実施
- 実績報告
- 確定検査
- 補助金の請求
- 補助金の支払い
補助金が振り込まれる前に資金が枯渇しないよう、事前に資金計画をしっかりと練っておきましょう。
資金計画については事業計画書にも明記する必要があります。自己資金でまかなえるのか、金融機関から融資を受けるのか(返済計画はどうするか)などを明記します。
事務局が「計画通りの事業を進められそうだ」と判断できるような現実味のある資金計画を策定しましょう。
準備4:採択のコツを知る
公募要領に従った事業計画書を作成したとしても、それだけでは採択される可能性は高くありません。事業再構築補助金に採択されるには、事前に採択されるコツを知っておきましょう。
例えば、次のことを意識して準備を進めてみてください。
- 事業実施のための体制を体制図として作成し、かつ具体的な従業員の割振りやスキルなどを記載しておく
- 金融機関からの融資に関して具体的な金額・返済計画・担当者名などまで記載しておく
- 基準を満たすことで加点がもらえる「加点項目」を満たしている場合は、できる限り申請する
- 経営者や自社担当者だけで進めるのではなく、経営や金融に関する専門家(中小企業診断士や税理士、経営コンサルタントなど)に支援を依頼する
- イラストや写真を交えつつ、事務局が理解しやすい事業計画書作成を心がける
準備5:認定支援機関を探す
認定支援機関とは、中小企業の支援に関して一定レベル以上の専門的知識・実務経験がある者として、国が認定した支援機関・者(中小企業診断士、税理士、公認会計士、税理士法人、商工会、商工会議所、金融機関など)です。
事業再構築補助金の申請には、事業計画に関する認定支援機関の確認書が必要になります。
認定支援機関にも、個々の得意分野や強みなどに違いがあります。
そのため採択率を上げるには、「事業再構築補助金に関する実績がある」「売上回復が見込める事業再構築計画の作成・実行を的確にサポートできる」といった、事業再構築補助金に強い認定支援機関を選ぶことが重要です。
事業再構築補助金に強い認定支援機関の選び方については、こちらの記事でまとめています。ぜひ参考にしてください。
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事業再構築補助金申請の準備はお早めに
事業再構築補助金の申請にはさまざまな準備が必要になるため、早い段階での着手が大切になります。事前に事業計画を練ったり、専門家へ相談したりして、余裕をもって事業計画書を見直せるようにスケジュールを組んでおきましょう。
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執筆者プロフィール:ドリームゲート事務局 月見里
ドリームゲートは経済産業省の後援を受けて2003年4月に発足した日本最大級の起業支援プラットフォームです。
運営:株式会社プロジェクトニッポン
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