この記事では事業再構築補助金のスケジュールについて、第1回から第11回までの過去実施分のまとめと、第12回のスケジュールについて解説します。※最終更新日:2024年4月24日
- 目次 -
事業再構築補助金とは?
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上の回復が期待し難い中、ウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために新市場進出(新分野展開、業態転換)、事業・業種転換、事業再編、国内回帰又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的とします。
事業再構築補助金は令和3年度に、予算総額1兆1,485億円、予想採択数55,000件、補助額最大1億円という規模で設立されました。
令和2年度に最大200万円の持続化給付金がありましたが、事業再構築補助金はこの後継に当たる制度です。ただし事業再構築補助金には、事業主が主体的に事業転換・再編・新分野展開することを後押しする性質があります。
つまり持続化給付金は一定水準の売り上げ減と、事業継続の意思があれば給付されましたが、事業再構築補助金は思い切った事業再構築に取り組むことを明示する必要があり、その分採択の難易度は高いといえます。
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主要な申請要件
事業再構築補助金には7つの枠があり(第11回公募)、申請者は枠を選んで申請することになりますが、全枠に共通した要件があり、それは以下のとおりです。なお以下の全枠共通必須要件のほかに枠ごとの要件があり、それもクリアする必要があります。枠ごとの要件は次の章で紹介します。
①事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受ける
事業者(申請者のこと)自身で事業再構築指針に沿った事業計画を作成し、認定経営革新等支援機関の確認を受ける必要があります。なお補助金額が3,000万円を超える案件は銀行や信金、ファンドなどの金融機関の確認も必要になります。ただし金融機関が認定経営革新等支援機関を兼ねる場合は、金融機関のみでかまいません。
②付加価値額を向上させる
補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均を3.0~5.0%以上増加させるか、または従業員1人当たり付加価値額の年率平均を3.0~5.0%以上増加させる必要があります。
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補助金額・補助率は?(第11回公募要領より)
事業再構築補助金の7つの枠ごとに、1)対象、2)枠ごとの要件、3)補助金額と補助率を紹介します。
成長枠
1)対象
成長分野への大胆な事業再構築に取り組む中小企業等
2)この枠独自の要件
以下の3つの要件を満たす必要があります。
- 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均4.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均4.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること【付加価値額要件】
- 取り組む事業が、過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上拡大する業種・業態に属していること【市場拡大要件】
- 事業終了後3~5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること【給与総額増加要件】
3)補助金額と補助率
補助金額(補助上限額)と補助率は従業員数によって異なります。
従業員数 | 補助上限額 | 補助率 |
20人以下 | 2,000万円 | 中小企業:1/2(大規模な賃上げは行う場合は2/3)
中堅企業:1/3(大規模な賃上げを行う場合は1/2) |
21~50人 | 4,000万円 | |
51~100人 | 5,000万円 | |
101人以上 | 7,000万円 |
グリーン成長枠
1)対象
グリーン分野での事業再構築を通じて高い成長を目指す事業者
2)この枠独自の要件
グリーン成長枠にはエントリーとスタンダードがあり、それぞれ独自の要件があります。
エントリーの要件(以下の2つの要件を満たす必要があります)
- 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均4.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均4.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること【付加価値額要件】
- グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取組であって、その取組に関連する1年以上の研究開発・技術開発又は従業員の一定割合以上に対する人材育成をあわせて行うこと【グリーン成長要件】
- 事業終了後3~5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること【給与総額増加要件】
スタンダードの要件(以下の2つの要件を満たす必要があります)
- 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均5.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均5.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること【付加価値額要件】
- グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取組であって、その取組に関連する2年以上の研究開発・技術開発又は従業員の一定割合以上に対する人材育成をあわせて行うこと【グリーン成長要件】
- 事業終了後3~5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること【給与総額増加要件】
3)補助金額と補助率
補助金額(補助上限額)と補助率は以下のとおり。エントリーとスタンダードで補助金額(補助上限額)が異なります。
■エントリー
従業員数 | 補助上限額 | 補助率 | |
中小企業 | 20人以下 | 4,000万円 | 中小企業:1/2(大規模な賃上げは行う場合は2/3)
中堅企業:1/3(大規模な賃上げを行う場合は1/2) |
21~50人 | 6,000万円 | ||
51人以上 | 8,000万円 | ||
中堅企業 | ― | 1億円 |
■スタンダード
従業員数 | 補助上限額 | 補助率 | |
中小企業 | ― | 1億円 | 中小企業:1/2(大規模な賃上げは行う場合は2/3) 中堅企業:1/3(大規模な賃上げを行う場合は1/2) |
中堅企業 | ― | 1.5億円 |
卒業促進枠
1)対象
成長枠・グリーン成長枠の補助事業を通して、中小企業などから中堅企業などに成長する事業者
2)この枠独自の要件
以下の2つの要件を満たす必要があります。
- 成長枠又はグリーン成長枠に申請する事業者であること
- 成長枠又はグリーン成長枠の補助事業終了後3~5年で中小企業・特定事業者・中堅企業の規模から卒業すること【卒業要件】
3)補助金額と補助率
補助金額(補助上限額)と補助率は以下のとおり。
従業員数 | 補助上限額 | 補助率 |
成長枠、グリーン成長枠に準ずる | 中小企業:1/2
中堅企業:1/3 |
大規模賃金引上促進枠
1)対象
成長枠・グリーン成長枠の補助事業を通して、大規模な賃上げに取り組む事業者
2)この枠独自の要件
以下の3つの要件を満たす必要があります。
- 成長枠又はグリーン成長枠に申請する事業者であること
- 成長枠又はグリーン成長枠の補助事業終了後3~5年の間、事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引上げること【賃金引上要件】
- 成長枠又はグリーン成長枠の補助事業終了後3~5年の間、従業員数を年率平均1.5%以上増員させること【従業員増員要件】
3)補助金額と補助率
補助金額(補助上限額)と補助率は以下のとおり。
従業員数 | 補助上限額 | 補助率 |
ー | 3,000万円 | 中小企業:1/2
中堅企業:1/3 |
産業構造転換枠
1)対象
国内市場縮小等の構造的な課題に直面している業種・業態の中小企業等
2)この枠独自の要件
以下の2つの要件のいずれかを満たす必要があります。
- 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること【付加価値額要件】
- 現在の主たる事業が過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上縮小する業種・業態に属しており、当該業種・業態とは別の業種・業態の新規事業を実施すること、または地域における基幹大企業が撤退することにより、市町村内総生産の10%以上が失われると見込まれる地域で事業を実施しており、当該基幹大企業との直接取引額が売上高の10%以上を占めること【市場縮小要件】
3)補助金額と補助率
補助金額(補助上限額)と補助率は従業員数によって異なります。
従業員数 | 補助上限額 | 補助率 |
20人以下 | 2,000万円 | 中小企業:2/3
中堅企業:1/2 |
21~50人 | 4,000万円 | |
51~100人 | 5,000万円 | |
101人以上 | 7,000万円 |
物価高騰対策・回復再生応援枠
1)対象
業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む中小企業等、原油価格・物価高騰等の影響を受ける中小企業等
2)この枠独自の要件
以下の2つの要件のいずれかを満たす必要があります。
- 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること【付加価値額要件】
- 以下(a)(b)のいずれかを満たすこと
- (a)2022年1月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が対2019~2021年の同3か月の合計売上高と比較して10%減少していること(当該要件を満たさない場合は、2022年1月以降の連続する6か月のうち、任意の3か月の合計付加価値額が対2019~2021年の同3か月の合計付加価値額と比較して15%以上減少していることでも可。)【売上高等減少要件】
- (b)再生事業者(Ⅰ.中小企業活性化協議会等において再生計画を策定中の者又はⅡ.中小企業活性化協議会等において再生計画を策定済かつ再生計画成立後3年以内の者)であること【再生要件】
3)補助金額と補助率
補助金額(補助上限額)と補助率は従業員数によって異なります。
従業員数 | 補助上限額 | 補助率 |
5人以下 | 1,000万円 | 【中小企業】 2/3
ただし、従業員数5人以下の場合400万円、従業員数6~20人の場合600万円、従業員数21~50人の場合は800万円、従業員数51人以上の場合は1,200万円までは3/4 【中堅企業】 1/2 ただし、従業員数5人以下の場合400万円、従業員数6~20人の場合600万円、従業員数21~50人の場合は800万円、従業員数51人以上の場合は1,200万円までは2/3 |
6~20人 | 1,500万円 | |
21~50人 | 2,000万円 | |
51人以上 | 3,000万円 |
最低賃金枠
1)対象
最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい中小企業等
2)この枠独自の要件
以下の2つの要件を満たす必要があります。
- 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること【付加価値額要件】
- 2022年1月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が対20 2019~2021年の同3か月の合計売上高と比較して10%減少していること(当該要件を満たさない場合は、2022年1月以降の連続する6か月のうち、任意の3か月の合計付加価値額が対2019~2021年の同3か月の合計付加価値額と比較して15%以上減少していることでも可。)【売上高等減少要件】
- 2022年10月から2023年8月までの間で、3か月以上最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いること【最低賃金要件】
3)補助金額と補助率
補助金額(補助上限額)と補助率は従業員数によって異なります。
従業員数 | 補助上限額 | 補助率 |
5人以下 | 500万円 | 中小企業:3/4
中堅企業:2/3 |
6~20人 | 1,000万円 | |
21人以上 | 1,500万円 |
事業再構築補助金のスケジュール
事業再構築補助金のスケジュールを紹介します。
第1回の公募スケジュール (終了)
第1回の公募スケジュールは以下のとおりです。
- 公募開始:令和3年3月26日(金)
- 申請受付:令和3年4月15日(木)
- 応募締切:令和3年4月30日(金)18:00※5月7日(金)18時に延長されました。
- 採択結果公表:令和3年6月16日(水)18時発表
第2回の公募スケジュール(終了)
- 公募開始:令和3年5月20日
- 申請受付:令和3年5月26日
- 応募締切:令和3年7月2日 18:00
- 採択結果公表:令和3年9月2日
●第2次公募のスケジュールや第1次公募との変更点などはこちらの記事をご覧ください。
第3回の公募スケジュール(終了)
- 公募開始:令和3年7月30日
- 申請受付:令和3年8月30日
- 応募締切:令和3年9月21日 18:00
- 結果発表:令和3年11月30日
第4回の公募スケジュール(終了)
- 公募開始:令和3年10月28日
- 申請受付:令和3年11月17日
- 応募締切:令和3年12月21日 18:00
- 結果発表:令和4年3月3日
第5回の公募スケジュール(終了)
- 公募開始:令和4年1月20日
- 申請受付:令和4年2月17日
- 応募締切:令和4年3月24日 18:00
- 結果発表:令和4年6月9日
第6回の公募スケジュール(終了)
- 公募開始:令和4年3月28日
- 申請受付:令和4年6月8日
- 応募締切:令和4年6月30日 18:00
- 結果発表:令和4年9月15日
第7回の公募スケジュール(終了)
- 公募開始:令和4年7月1日
- 申請受付:令和4年8月30日
- 応募締切:令和4年9月30日 18:00 ※10月5日に延長
- 結果発表:令和4年12月15日
第8回の公募スケジュール(終了)
- 公募開始:令和4年10月3日
- 申請受付:令和4年12月16日
- 応募締切:令和5年1月13日 18:00
- 結果発表:令和5年4月6日
第9回の公募スケジュール(終了)
- 公募開始:令和5年1月16日
- 申請受付:令和5年2月15日
- 応募締切:令和5年3月27日 18:00
- 結果発表:令和5年6月15日
第10回の公募スケジュール(終了)
- 公募開始:令和5年3月30日
- 申請受付:令和5年6月9日
- 応募締切:令和5年6月30日 18:00
- 結果発表:令和5年9月22日
第11回の公募スケジュール(終了)
- 公募開始:令和5年8月10日
- 申請受付:令和5年9月13日
- 応募締切:令和5年10月6日 18:00
- 結果発表:令和6年1月下旬~2月上旬頃
令和5年の第11回事業再構築補助金の結果発表は令和6年1月下旬~2月上旬頃に延期されたと公式サイトで発表されています。
第12回の公募スケジュール(公募開始)
- 公募開始:令和6年4月23日(火)
- 申請受付:調整中
- 応募締切:令和6年7月26日(金)18:00
申請から補助金の支払いまでのスキーム
申請から補助金の支払いまでのスキーム(流れ)を紹介します。
1:申請者が認定経営革新等支援機関や金融機関から、事業計画の共同策定や事業化に向けた助言を受ける
2:申請者が電子申請を行う
●gBizIDプライムアカウントを取得して、電子申請システムに事業計画書などを入力して送信する
3:事務局が申請者に、補助金交付候補者に採択されたことを通知する(採択された場合)
4:申請者が事務局に交付申請を行い、事務局が申請者に交付決定を伝える
5:補助事業を実施する
6:申請者が事務局に実績を報告する
7:事務局が申請者に対して確定検査を行い、交付額を確定させる
8:申請者が事務局に補助金を請求する
9:補助金が支払われる
10:申請者が事務局に、事業化状況報告などを行う
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今すぐできること
事業再構築補助金は公募開始から応募締め切りまでの期間が短いため、申請を考えている場合は事前に準備をしておく必要があります。今すぐできることを2つ説明します。
gBizIDを取得しておく
申請は、電子申請システムでのみ受け付けます。本事業の申請には原則GビズIDプライムアカウントの取得が必要で
す。未取得の方は、速やかに利用登録を行ってください。(暫定プライムアカウントで応募した場合であっても、採択公表後の交付申請の受付(令和3年6月以降を予定)以降の手続きでは「GビズIDプライムアカウント」が必須となりますので、「GビズIDプライムアカウント」の取得手続きは順次進めていただけますようお願いいたします。)
gBizIDプライムアカウントID発行までの期間は3週間以上かかるとの情報もあります。早めの着手をおすすめします。
https://gbiz-id.go.jp/top/index.html
事業計画書は認定経営革新等支援機関の確認を受ける
認定経営革新等支援機関(認定支援機関)は、中小企業・小規模事業者から経営相談などを受ける機関で、国が認定しています。専門知識や実務経験が一定レベル以上ある企業や人などが認定支援機関になっています。事業再構築補助金の要件のひとつに、申請者が事業計画書を作成し、認定支援機関の確認を受ける、というものがあります。認定支援機関は、申請者が選びます。そのため早めに支援機関を決め、相談に乗ってもらいましょう。
ドリームゲートには認定支援機関に認定されているアドバイザーが多数在籍しています。無料でメール相談も可能です。
事業再構築補助金に関するよくある質問
Q.公募のスケジュールを教えてほしい。
第11回の公募期間は令和5年8月10日~10月6日です。
Q.売上高減少要件の「コロナ以前」とはいつを想定しているのか。
「コロナ以前」とは、2019年、または2020年1~3月を指します。
Q.認定経営革新等支援機関への報酬は必要か。また、報酬は補助対象となるのか。
認定経営革新等支援機関への報酬を必須とするような要件は設けられておらず、ご相談いただく機関と相談して決める必要があります。一般的には報酬は必要とされます。また、補助金への応募申請時の事業計画書などの作成に要する経費(認定経営革新等支援機関に対する事業計画策定のためのコンサルタント料など)は補助対象外となります。
Q.小規模事業者や個人事業主も対象となるのか。
小規模事業者や個人事業主も、この補助金の対象となります。
まとめ
事業再構築補助金は持続化給付金と違い、事業の転換の意向を明らかに示す必要があり、採択の難易度は高いといえます。どのような事業が該当するのか、自社やご自身のケースがどうか迷うこともあるでしょう。資金調達全般のアドバイスができるプロの専門家に一度相談してみることをおすすめします。ドリームゲートの無料相談をフル活用しましょう。